ハジマリノウタ
学園長である、百合原先生の協力により始動したアオハルクラブ。櫻ちゃんが忘れてしまった青春をもう一度やり直すのが目的だけど、そんな堅苦しい活動はしたくなかった。そんなことを思っていると、百合原先生から
「せっかくだし、創設記念にカラオケでもいかね?春守さんも梅島君も一人暮らしだろ?」
「えっ、春守さんって一人暮らしなの!?」
「あー、知らなかったのか梅島君は、すまんな春守さん、言わない方がよかったか」
「いえ、いずれは自分で伝えるつもりだったので!」
「おう、そうか。とはいえ許可なく公表したのは俺に責任がある。というわけで、俺が奢るからカラオケに行こう」
「それって、僕と春守さんをダシにして自分が行きたいだけでは?」
「んー?そうとも言うかもな!」
自分の欲に正直な百合原先生。だからこそ、学園長という役職も務まるんだろうな。この人は、自分のやりたいことに正直で、真っ直ぐに進む人だ。
それはそれとして、カラオケか……僕は歌うのがそんなに得意じゃないけど、僕の記憶が正しければ当時の櫻ちゃんは歌が上手かったイメージがあるから、聞くのが楽しみだ。
「春守さん、どうする?」
「私が決めていいの?」
「え?だってこのクラブは春守さんのためのクラブなんだから春守さんがやりたいようにやろう?」
「うーん、じゃあ行きたい!」
「決まりだな、そうと決まれば2人とも準備してくれ。俺が運転するから車で行こう」
テンションの高い百合原先生に連れられて、僕達はカラオケ店に移動する。
「さぁさぁ、たくさん歌おうじゃないか!!」
変わらずテンションの高い百合原先生をニコニコしながら見守る櫻ちゃん。これじゃあ誰のための活動なのやら。
「さぁ、まずは春守さんが歌いなさい。このクラブの代表として、ね?」
「私からですか!?……わかりました。じゃあ、歌いますね!!」
櫻ちゃんが選んだのは、今流行りのアイドルの歌。昔と変わらず歌がうまい。聞き惚れてしまうその歌声に、あの頃のことを思い出した僕は自然と涙が零れてしまう。楽しい場の雰囲気を壊してしまいかねなかったけど、きょとんとする櫻ちゃんと、優しい笑みを浮かべる百合原先生がそこにいた。
「2人ともごめん。なんだか懐かしい記憶を思い出しちゃって、涙出ちゃった。先生、次は僕が歌ってもいいですか?」
「もちろんだよ、梅島君」
先生からマイクをもらった僕が選んだのは、僕達が小学生の時に流行っていたアニメ映画の主題歌。当時苦手だった歌だけど、これは好きでいつも櫻ちゃんの前で歌ってたっけ。
そんな曲を僕は歌う。
「何度生まれ変わっても、ここでまた物語は動き出す。これはハジマリノウタ」
歌い慣れたこの曲も、櫻ちゃんを前にすると力がこもってしまう。うまく歌えてるかわからないけど、櫻ちゃんだけじゃなくてなぜか百合原先生まで泣いていた。
「この曲、なんだか懐かしい気がするね」
「春守さん!?」
「なんの曲かとかいつ聴いたのかとかも思い出せないけれど、なんだか懐かしい気がする」
「そっか」
「おうおう、なんかいい雰囲気だなぁ?俺もしかして邪魔だったかな?」
「茶化さないでくださいよ先生!!」
と、ツッコミはいれつつも先生の存在に感謝する僕だった。
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