動き始める物語 2
僕の話に興味深げな表情を浮かべる先生。ただ、先に言っておきたいのはあくまでもこの話は僕の推測でしかないということ。実際に櫻ちゃんがどう思っているかは本人しか知りえないことだから。
その上で僕が立てた考えを口にする。
「春守さんは、失われてしまった中学2年までの思い出という時間を、高校でまた取り戻していきたいんじゃないでしょうか」
「と、言うと?」
「春守さん、事故で想い出の記憶をほぼ全て失ってしまったじゃないですか?そのせいで、最後の中学生活もうまくいかなかった。そんな春守さんだからこそ、ある意味では高校デビューって言うんですかね?新しく今までの分まで想い出を作っていきたいんだと思うんです」
「なるほど?だからアオハルクラブというわけか。青春はアオハルと読めるからな」
「そういうことになりますね」
本人がいないところで予想で盛り上がることに少しだけ罪悪感を覚えるけど、それよりも先生に理解し、協力してもらうことの方が大事だった。そのせいで僕は、別方向からの一撃をクリーンヒットさせられる。
「春守の意図は理解できたよ。事情を知っている身としては協力してもいいと思う。ただな?」
「ただ?」
「……なぜ梅島、お前と2人で創設するんだ?1人だと校則的にも難しいしクラブの活動内容を見てもそうはしないと思うんだが、複数人でもなく梅島、お前を1人だけ連れてきた春守の意図はなんだ?」
「……え?」
櫻ちゃんのやりたいことをやる事しか考えられていなかったけれど、言われてみればそうだ。なんで僕だけ声をかけたんだろう。
僕は嬉しかったけれど、疑問は消えない。
「春守は、本当に記憶を失っているのか?お前が何か隠しているだけじゃないのか?」
「……あ?」
「そんなピンポイントで小学校の約束だけ残っているのも不思議な話だ。本当は記憶なんて失っていないんじゃないのか?」
「……先生」
「なんだ?」
「これ以上その口を開かないでください。入学早々暴力沙汰とか格好がつかないですから」
「……っ!?」
「僕のことをどうこう言うのはいいですよ、気にしないんで。ただ、僕を通して他の人の、春守さんの事を悪く言うのはやめてもらえますか?……あんたみたいな大人の存在が春守さんの心を傷つけてるってことに気づいてくださいね?」
穏便に済ませたかったし、上手くいきそうだったのに先生の言葉に僕が我慢できなかった。これじゃ、クラブ活動の許可も降りるわけがないな。櫻ちゃんになんて謝ろう。先生に背を向け、職員室を後にしようとすると、横の扉が開いた。僕には関係ない事だと思ったのに、そこから伸びた手に引き込まれる。
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