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Rain girls  作者: 赤城ケイ
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レインガールズ

 雨が好き。私は雨が好きだ。その音も匂いも湿度の上がるような感じも。そんな風にいつの頃からか思っていて、私の趣味は”小雨の降る夜に散歩をする”というものになっていた。

 トコトコトコ。たまに水溜りを避けながら歩く私は、クリーム色の傘をさして、黒いTシャツとジーンズパンツを身に付けている。手にカバンは持っていないし、リュックも背負っていない。この身軽なスタイルがいつの間にか染み付いていて、それは今日も同様。

 季節の流れは早いもので、気がつけばもう夏になってしまっていた。通っている高校も二年生に上がって少し環境も変わった。毎日のように眠たい授業を受けて、たわいもない会話をしていたら時間が経つのがあっという間なのもうなずける。

「こんな感じでこのまま卒業しちゃうのかな」

 そう小さく言葉にするとほんの少しため息が出た。私が毎日通っているのは至って普通の女子校だけど、なんとなく大人しめの子が多いように感じる。私もその一人で、人との関わりも多い方ではないし、きっと周りから見ても控えめな性格だ。だからなのか、静かな夜に雨の中を歩くというちょっと変わった趣味が私にピタッとはまっているように思う。

 ……こんなとき、話し相手がいたらいろんなお話ができるだろうな。

 今日の私はそんなふうに、いつもは思わないようなことが頭に浮かんでいた。

 ……私の親友であるツユネちゃん。こんな変わった趣味にも付き合ってくれたりするのかな。

 うーん。どうなんだろう。ちょっとだけ勇気を出してさそってみようかな。断られたら何となく気まずくなりそうだけど、ちょっと聞いてみるだけなら……なんて。親友なんだからあまり気遣わなくたっていい気がするけど、私はちょっと慣れていないみたいだ。

「明日、ちょっと勇気出してみようかな」

 傘に当たる雨の音を聞きながら、少しだけ自分の心に素直になれた気がした。

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