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第4話 星が落ちた日


「ふぅ、さっぱりした~」

 夕飯を食べて、お風呂から上がった後、俺は自分の部屋のベッドに座り込んだ。

「ひとまず、帰りに京介(きょうすけ)と作戦を決めたし、明日波風さんに話しを聞いてみるか」

 放課後に波風さんから感じたあの感覚が一体何なのか、どうしても気になった俺はもう一度話しをしてみたいと思った。

 ただ、普段から女子に話しかけることすらまともに出来ない俺からすると、かなりの難題だった。

ずっと、教室でヒーローの話をしているせいか女子はあまり俺に声を掛けてくることはない。仮にあっても、京介に用事がある女子が挨拶してくるだけ。

高校2年生にもなって、まともに女子と話せないというのも問題かもしれないが実際何を話したら良いのかが分からない。

いつもは京介が代わりに話しをしてくれていたのだが、今回は自分で頑張れとのことだった。

「いつものように京介(きょうすけ)に助けて欲しい。いや、うんざりせずに一緒に作戦考えてくれただけでもありがたい話しだな」

 近くにあったスマホを手に取り、ネットニュースを確認してみる。

 もちろん確認するのは、ヒーローのこと。それ以外は、タイトルだけ目を通していく。

「新しい情報は、特に無いか。でも、被害が出ている情報も無いからきっとヒーローが怪物を倒してくれたんだな」

 家では、ニュースを確認したり、アニメや漫画を読んで過ごしている。ヒーローが出て来るものを基本的に見ているが、それ以外にも気になった漫画などはチェックしている。

 アニメを見ていると、小腹が空いてきた。家の中に何か残っていないか確認するが、これといって食べられる物は無かった。

「夕飯の量足りなかったかな?」

 時計を見ると、午後10時を過ぎようとしているところだった。

「10時か。う~ん、もう今日は寝て、明日早く起きてご飯食べた方が良い気はするけど・・・」

 どうするか悩んでいたが、この何かを入れたい空腹感に負けてしまい近くのコンビニにおにぎりでも買いに行くことにいた。

 半袖のTシャツと短めのジャージのズボンに履き替え、上着を着るか悩んだ。

 5月も終わろうとしていたが夜はまだ少し肌寒い。

「コンビニは、すぐそこだし別に良いか」

 結局、上着は着ずに財布と家の鍵、一応スマホを持って外に出た。



 コンビニで適当に食べ物を買って、外に出ると綺麗な星空が広がっていた。

「うわ~、凄いな。この時間は、いつも家にいるから新鮮だな~。たまには夜に外に出てみるのもありかもしれないな」

 夜空を見て感動していると、1つの星が動いているように見えた。

「ん?」

 気のせいでは無く星は実際に動いていて、近くにある山の中に静かに落ちていった。

 星が落ちたことで山に何かあったわけじゃない。山が削れたり、火事が起きているわけでもない。特に何か変わった様子はない。

 それでも、俺は自然と星が落ちた山の方に向かった。

 最初は、ゆっくりと歩いて向かっていたのが徐々にスピードが上がっていき全力で走っていた。

 星が落ちたことを確認したのは一瞬。夜の中、何処に落ちたのかなんて分かる筈も無いのに山の中で俺は足を止める事は無かった。

「はあ、はあ、・・・っはあ、はあ」

 息も絶え絶えになりながら、広い場所に出た。

 頂上の方にまで来ていたようで、町の光が見える。

 俺は、息を整えながら前に進んで行く。すると、誰かが倒れているのを見つけた。

 慌てて近づこうとすると、後ろから何か嫌な視線を感じた。

 ゆっくり、後ろを向くとそこには牛の怪物が立っていた。二足で立っている牛の怪物は3階建ての建物と同じくらいの大きさをしていた。

 大きな2本の角を持ち、真っ赤な目でこちらを見ている。

 すぐに逃げ出したくなるほどの恐怖が目の前にある筈なのに、何故か俺は冷静だった。

 死を悟っているからなのか、理由は分からない。

 ただ、自分はここで死ぬことは無いと思ってしまった。


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