表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1話 ヒーローはカッコイイ



 ヒーローというのに憧れていた。

 悪に対抗する心を持ち、弱い人の為に力を使う。

 ボロボロになりながらも敵に立ち向かう姿が、ずっと眩しく見えていたんだ。



「京介―――――!!!! 今朝のニュース見た!?」

 俺は、昼休みに入るとすぐに教室の一番後ろの窓際に座っている男子のところに向かった。

 彼の名前は、小峰(こみね) 京介(きょうすけ)。中学からの同級生だ。

(あきら)、教室でそんな大きな声を出さなくてもちゃんと聞こえるから」

「少しでも早く京介と話したかったんだよ。真面目に聞いてくれるのは京介だけだし」

「暁の熱量が凄すぎて皆ついていけないだけだよ。ほら、ご飯食べながら聞くからお弁当持って来て」

「よし、ちょっと待っていてくれ」

 すぐに自分の席に戻って鞄の中に入っているお弁当を取ろうとしたが、面倒だったので鞄ごと持っていくことにした。

「お待たせ!!」

「いや、鞄ごと持ってこなくても・・・」

 俺は、近くの席の椅子を借りて京介と向かい合わせになるようにして座った。

「それで!? 今朝のニュース見た!?」

「例の怪物が、また出たんだってね。今回の奴で、6体目だったかな?」

「そう!! 怪物が出た!! 怪物が出たということは、つまり!?」

「避難に必要な物とか改めて準備しておかないとな」

「違うよ!! そこじゃ無いよ!! いや、それも大切な事なんだけど・・・。ほら、怪物以外にも重要な何かが映っていたでしょ?」

「ああ~~、そう言えば、犬が映っていたな。何て言う犬種だったんだろう?」

「犬のことじゃないよ! むしろ、あの映像の中に犬が映っていることすら分からなかったよ!」

「ちょっと、薄めの茶色い毛をしていたんだよな~。俺の髪の色と同じくらいだったかな」

「どうしてそこまで見ているの!? そもそも、怪物の次に確認したの犬なの!?」

「いや、犬が一番最初」

「・・・本当に映っている? 俺、何回か見直してたんだけど」

「犬の話しじゃなくて、ヒーローの話をしたいんじゃないの?」

「そう!! ヒーロー!!」

 ヒーローという言葉を聞き、俺は目を輝かせながら勢いよく立ち上がった。

 大きな声を出したおかげで、皆の視線が俺の方に向けられていた。

 京介は、俺の代わりに皆の方を向いて軽く頭を下げて謝り、冷静に対処していた。

「声が大きいよ。それと、食事中にいきなり立たないでね。危ないから」

「ごめん、ごめん。それで、ヒーローが現れた映像、ちゃんと見た?」

「見たよ。今回も怪物と戦ってくれていたね」

「そう! 怪物が町を襲い人々を恐怖に陥れようとした時、颯爽と現れ俺達を救ってくれる正義のヒーロー!!」

「これまで、何度も怪物を倒してくれているけど、正体は謎のまま。色んな噂が出て来て、実は同じ怪物じゃないのかっていうのまで出てきるね」

「ヒーローっていうのは謎が多いものさ。だけど、俺達と同じ人間であることは間違い無い」

「どうして分かるの?」

「勘だ」

「勘なんだ。まあ、見た目は人と変わらないよね。身長とか」

「だが、戦隊ヒーローに出て来るような、あの格好は人類以外には再現出来ない筈だ」

「そんなことは言い切れないと思うけど。まあ、どうしてヒーローって呼ぶようになったのかは、あの見た目も理由の1つだけどね」

「全体的に白を基調とした衣装でマントも白。うん、カッコイイ」

「怪物と戦って汚れないのかな?」

「お馬鹿! そんなことを考えるな! きっと、色んな物をはじく性能があるんだ」

「まあ、(あきら)がそう考えるならそれで良いよ。ほら、ご飯も食べながら話さないと昼休みの時間無くなるよ」

「大丈夫、その気になれば5分もあれば食べ終わる」

「ご飯くらいゆっくり食べなよ」

まだまだ話し足りなかったのだが、俺の相手をしていて京介があまりご飯を食べられていなかったので、ひとまずここで話しを終わることにした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ