no.2
まさかね、と思い僕はきょろきょろと声の主を探す。
猫が話をするはずがない。
するとまた、その声が聞こえてきた。
『アタシが喋ってんの、やっぱり分かるのね』
そう言って、声の主は僕の目の前にちょこんと座った。
「リリア?! 」
僕は心臓が止まるかと思うくらいびっくりした。
なぜなら、僕の目の前に猫が自らやってきたからだ。
あぁ!
なんて素敵な猫だろう。
僕は思わずうっとりと見つめる。
『あんた。なんでびっくりしないの?
やっぱり、アタシの言葉、わかんないの?』
リリアは首を傾げた。
言葉なんてこの際どうでもいいのだ。
猫が喋ろうと知ったことではない。
僕は思わす、リリアに話しかける。
「あのさ、君に触れても、いい?」
リリアはびっくりした顔をすると、きっぱりとこういった。
『いやよ』
僕はがっくりと肩を落とす。
『あんたやっぱりアタシの言葉がわかるのね』
リリアは尻尾をぴんと伸ばしながら言う。
「そうだね。
でも、これ、僕の夢なんだろ」
僕はがっかりして、目を足元に伏せながら話す。
そう、これはきっと僕の夢だ。
だって猫が話をするはずがない。
僕が猫を撫でたいと思ってベッドに横になるから、うっかり見てしまった夢なのだ。
『夢? 』
リリアは大きな目をことさら丸くした。
そして大きな声で笑う。
僕は猫ってこんなに笑う生き物なのだなと少し感心した。
そしてリリアは、急に僕の頬に、猫パンチを食らわせた。
あまりに突然の猫パンチ!
しかし、痛みよりも先に、僕はリリアのピンクの肉球に心を奪われていた。
なんてきれいなピンクの肉球!
あの、肉球をぷにぷにしたらどんな感触なんだ?
さ、触ってみたい!
そんなことを考えていた僕に、リリアははっきりとした口調で話す。
『あんた、これはゆめじゃないわよ。
現実よ。げ・ん・じ・つ! 』
上目遣いで僕を見るリリア。
僕は猫パンチされた頬をゆっくりと撫でる。
「現実……」
そう呟いては見たものの、全く実感できない。
そんな僕を知ってか知らずか、リリアは話を続ける。
『あんた、猫界でかなり有名みたいよ。
猫の言葉が分かる人間ってことで』
「え? そうなの? 」
僕は吃驚した。
猫と話したのは今日が始めてのはずなのに、
なんで猫界で有名になってるんだ?