番外.ある愚かな男の末路⑥
あけましておめでとうございます。
キリがいいので1日繰り上げ+年の変わり目での投稿です。
今年もよろしくお願いします。
一週間後、ようやくエリザベスが目を覚ましたと、使用人が知らせて来た。
「そうか」
(これでやっと解放される)
この一週間ずっと針の筵だった。
「私が悪いんじゃない、盗んだアイビーが悪いんだ」と言っても、誰も耳を貸さなかった。
妻はずっとエリザベスにつきっきりで、食事もエリザベスの部屋で取っていた。アイビーも謹慎中は自室で取っていた。大人しく反省している態度だったので謹慎を解いたが、翌日には「給仕係が感じ悪いから」とまた自室に引っこんだ。
1人きりの晩餐が酷く侘しかった。
そのうえ妻も使用人も用件以外はいっさい口を開かず、人を無視し続けたり、睨みつけたりしてきた。
こちらが悪いのはわかっているが、文句を言うと「気のせいです、やましい事があるからそう見えるんでしょう」と返されて何も言えず、仕事と称して執務室に篭もり、なるべく顔を合わせないようにした。
だがそれも今日で終わりだ。
とりあえず機嫌取りの為、私付きのメイドに花束を持って行かせた。
10分後花束を持たせたメイドが、戻って来た。
「エリザベス様が受け取りを拒否なさいました」
そう言って花束をこちらに返してくる。
「あとエリザベス様から伝言です。『話があるから来るように』と」
「何だと!親に向かって、来いとは何事だ!用があるなら、向こうから来るべきだろう!」
(人が下手に出ていれば、調子に乗りおって!)
腹を立てる私を、メイドが冷ややかな目で一瞥した。
「旦那様のせいで本調子でなく、歩くのも辛いそうです」
「……」
そう言われては、ぐぅの音も出ない。
仕方なく仕事が一段落してから、行く事にした。
夜が更けて、廊下に誰もいないのを見計らってから部屋を出る。
親が子の言いなりになるなど、前代未聞だ。
だが相手は病み上がりだからな。仕方なく譲歩してやるのだ。
そう自分に言い聞かせながら、エリザベスの部屋に行く。
「来たぞ、調子はどうだ」
部屋に入ると、ベッドから起き上がったエリザベスと目が合った。
そのまま、付き添い用の椅子に腰かける。
こちらに若干非があるとはいえ、私は当主でこの家で一番偉いのだ。
どちらが上か、はっきりさせなければいけない。
決して、娘に舐められてはいけないのだ。
エリザベスの話はやはりアイビーの行いについてだった。
ここは父親として、姉妹喧嘩の仲裁をするべきだろう。
そう考えてエリザベスに和解を促したが、予想外の事を言われた。
アイビーは全く反省しておらず、あの後も盗みを働いていたというのだ。
(おのれアイビー!)
てっきり反省したと思っていたのに、またしても人の顔に泥を塗りおって!
これでは信じた私が馬鹿ではないか!
その後もエリザベスから、驚愕の事実を聞いた。
社交界では私がアイビーの傀儡だと思われているというのだ。
(確かに心当たりはある…)
顎に手をやり考える。
前々から数人の友人に「アイビー嬢を甘やかしすぎじゃないか?」「どっちが当主かわからないぞ」と言われていた。てっきりからかわれていると思っていたが…
(それでなくても、最近アイビーは調子に乗り過ぎだ…ここらでビシッと、自分の立場を認識させる必要があるか…)
エリザベスの要求通り、一月後のパーティでエリザベスが次期当主だと、招待客の前で宣言した。
案の定アイビーが駄々をこねたがはっきりと拒絶し、自分の立場を認識させた…つもりだった。
幼少の頃から甘やかされたアイビーは、もはや手のつけようがないという事を、数か月後思い知ることになる。
お正月企画として、もう1つの連載の方も投稿してます。
読んでいただけると嬉しいです。




