番外.ある愚かな男の末路②
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それからも私は事あるごとに、エリザベスを叱った。エリザベスは自分ばかり叱られるのが不満らしく、アイビーを泥棒のように言う事があった。そのたびにアイビーが傷ついて泣き喚き、妹を虐めるなと手を上げる羽目になった。
「全くエリザベスにも困ったものだ…いくら言ってもアイビーを泥棒のように言う」
私は自室にてイライラしながら、着替えをしていた。
「……」
身支度を手伝ってくれるセオドアは、何も言わない。
きっと私と同じく、エリザベスに憤りを感じているのだろう。
何も言わない事が、相手に賛成している事だとは限らないと、この時の私は気づいていなかった。
そのままいつものように、エリザベスへの愚痴をこぼし続ける。
「全く…クレアが甘やかすから、あんな傲慢な性格に育つんだ」
「…エリザベス様は奥様にそっくりですね、お気の毒です」
珍しくセオドアが口を挟んだ。
私は私の意見にセオドアが賛同してくれたと思い、さらに饒舌になった。
「全くだ!経済観念がしっかりしているところは私似だが、性格が悪いのはクレアに似たんだな!あんな姉を持ったアイビーが、可哀想だ!」
「……」
「おまけにせっかくの誕生日パーティも、少しも楽しそうにしない!開いて貰っているのだから、もっと楽しそうにしたらどうなんだ!」
毎年開いている2人の誕生日パーティを、今年は合同にしたらどうかという妻の提案で、一緒に行われることになった。
(2人分のパーティという事で規模が大きくなり、コックや使用人達も大変だというのに!)
この時私は準備の殆どをエリザベスが行っている事も、アイビーが増長している事も、気づいていなかった。
パーティ当日。
招待客と歓談していると、派手な音と悲鳴が聞こえた。
「一体何事だ!」
駆けつけると、倒れたテーブルとエリザベス、その前で仁王立ちしているアイビーがいた。
「お父様~お姉様が意地悪するの~怖かったぁ~~」
私の顔を見た途端、アイビーが抱きついてくる。
私はエリザベスを叱るが、エリザベスも反論してきた。
(何て生意気な!)
しかし言ってる事は事実なので、言い返せない。
だがこのままでは当主の威厳も形無しだし、何より騒ぎが大きくなって公爵家が恥をかくことになる。
私はとっさにエリザベスが転んだことにして、不注意を叱り言い繕った。
何とかパーティは私とアイビーの尽力で無事に終わったが、その場にいた妻と使用人達から、無言で非難の眼差しを浴びせられ、居心地が悪かった。
(さすがに言い過ぎたか?)
晩餐で様子を見る限り、アイビーが何か言うたびにエリザベスが顔を顰めて、さすがに後ろめたかった。
翌日エリザベスが、来年から自分の誕生日パーティを行わないでくれと言ってきた。
(そこまで怒っているのか)
大人げないとは思うが、被害にあったのも事実なので、エリザベスの要求をのんだ。
とりあえず怒りを宥めようと「アイビーはまだ子供だから~」と言っておいた。
この時私はアイビーも成長すれば、分別がついて大人しくなると本気で思っていた。
その期待はすぐに裏切られることになった。




