表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/57

番外.欲張り令嬢の記録㉑

ブックマークがどんどん減っていく…

王宮から屋敷に戻ると、執事が父が呼んでると伝えてきた。

「失礼します」

執務室に入ると父が上機嫌で机に座っており、その横で母が心配そうにこちらを見てきた。

(嫌な予感がする)

楽天的で家の事しか頭にない父と、心配性の母とどちらの態度を参考にするかなど、考えるまでもない。

部屋に入るなり父が笑顔で言った。

「喜べエリザベス。お前とヘンリー王子との婚約が決まった」

「は?」

予想外の内容に、とっさに聞き返すしかできなかった。

すると母が口をはさんできた。

「あなた…まだ決まった訳ではありません。あくまで王家からは打診で、我が家なら断ることも…」

すると父は心外そうに母を見た。

「何を言う。王家と縁続きになれるのだぞ?こんな良い話を断る必要が、どこにある」

「ですがヘンリー王子が侯爵令嬢に手を上げたのは、有名な事実です。エリザベスまでそのような目に合ったら…」

「昔の話だろう。あれ以来ヘンリー殿下が暴力をふるったという話は聞かない。あの頃は殿下も子供だったんだ。いつまでもとやかく言っては、殿下に失礼だろう」

(相変わらず自分に都合よく考える人だ)

確かにヘンリー王子が暴力をふるったという噂は聞かないが、それはあまり公の場に出てこないからだ。王子の年齢を考えても、将来の側近の2~3人や婚約者が出来てもおかしくないが、そう言った話は全く聞かない…どう考えても相手が辞退しているか、国王が「王子の側に人を置けない」と判断してるかだろう。


「とにかくせっかくの王家からの縁談だ、喜んで受けるべきだろう」

「そうやって受けて、後でエリザベスが暴力を受けたらどうするのです!傷が残ったりしたら取り返しがつかないのですよ!?」

「その時はその時考えればいいだろう。痕が残るくらいの怪我なら、充分婚約破棄の理由になる」

考えてる間に両親の話が進んでいくのを、冷めた目で見ていた。

(どうせ怪我をしても破棄なんかしない癖に)

賭けてもいいが、その時になったら父は「それくらい我慢しなさい」というだろう。

「エリザベスもそのつもりでいいな」

話が終わったのか、父がこちらに向けてくる。

「…少し考えさせて下さい、返事はまだ保留にして下さい」

そう言って背を向けて、部屋を後にする。

背後で父が喚く声と母が宥める声がしたが、そのまま無視した。

(ルイスに会いたい)

きっと彼の耳にも入っているだろう。私がヘンリーの婚約者にさせられるのをどう思っているのか、知りたかった。


馬車を出してもらい再び王宮に向かう。

書庫に行くと、予想通りルイスがいた。

「ルイス様、私…」

しかしルイスは冷めた目をしてこちらを見ると、私の言葉を遮って言った。

「兄上とのご婚約おめでとうございます、グローリア公爵令嬢。これからも兄上をよろしくお願いします」

そう言って頭を下げてくる。

冷水をかけられた気がした。

(突き放された)

内心少しは期待していた。

立場上反対はできなくても、少しは憤ってくれてるか、嫌がってくれるかと…でも目の前のルイスはそんなそぶりは全く見せず、いつも通り微笑んでいた。

ショックで何も言葉が浮かばず、ただひたすらルイスの顔を見返すしかできなかった。

するとルイスがちょっとだけ困った顔をして笑って言った。

「公爵令嬢、僕が言った事を覚えてますか?」

「え?」

ボーッとしたまま、反射的に聞き返す。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その言葉にハッとする。

ルイスが言っていた「厄介事」とはこの事なのだろう

(なら私は…)

「承知しました。()()()()()為、()()()()()()()()()()()()()()()()()

公爵令嬢らしく、カーテシーをとる。

意図が通じたルイスが、笑って「よろしく」と言った


(まだ手の震えが止まらない)

帰りの馬車の中で不安と緊張を抱えながら、強張った指を押さえていた。

これはルイスからの試練だ。

ヘンリー王子と婚約し、内側から崩せと。

上手くやればヘンリー王子は失脚し、難なく婚約破棄できるだろう。

「大丈夫…私は見捨てられたわけじゃない。私は見捨てられたわけでは…」

屋敷につくまでの間、ひたすら自分に言い聞かせた…そうしないと足元が崩れそうな不安で、立つ事もままならなかった。

屋敷に戻ってすぐ父に婚約の承諾を伝えると、父は喜んで王宮に伝令を飛ばした。

こうして私は正式にヘンリーの婚約者になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ