番外.欲張り令嬢の記録⑫
ちょっと暴力シーンありご注意
「あ、あの…」
メイド達が出ていくのを見届けると、男爵令嬢が声をかけてきた。
当初の勢いはすっかりなくなっていた。おびえた目でこちらを見上げてくる。
「さて今度は私の番ね。どんな罰を受けてくれるのかしら?」
「ば、罰?」
「謝罪は…?」
取り巻き達の動揺に、おかしくなって笑う。
「まさか謝るだけで許されると?あれだけの仕打ちをしておいて?アイビーに甘やかされて忘れてるようだけど、私は公爵令嬢で貴方達は男爵令嬢とただの平民なのよ?ねぇ男爵令嬢、貴方も貴族の端くれならわかるでしょう?高位の貴族に下の者が無礼を働けばどうなるか」
「あ…」
男爵令嬢がガタガタと震えだす。
貴族なら上の者に対しての不敬がどれほど罪深く、厳しい処罰を受けるかきちんと学んでいる筈だ。ましてや「死ね!」などと言って暴力をふるったのだ。彼女達の行いは間違いなく取り潰しや処刑レベルだ。
メイド達が頭を下げるだけの謝罪で引き下がったのも、私が処罰すると分かってたからだ。
「お、お許し下さい、お許し下さい!!」
ひたすら泣きながら土下座を繰り返す。
「エ、エミリア様?」
後ろで取り巻き達が訳が分からないといった風に、戸惑っている。
(あぁそうか彼らは平民だから、貴族の厳しさが分からないのね。でも平民でも貴族に無礼を働けば、ムチ打ちくらいはされると教わってる筈なのに…よっぽどのバカなのか、これまで運よく貴族の不興を買わずにいたのか…まぁどちらでもいいか)
「アンタ達もサッサと謝りなさい!家族諸共処刑されたくなかったら!」
「「「「「!!」」」」」
涙目で怒鳴りつける男爵令嬢に、ようやく自分達の立場がわかったようだ。
「「「「申し訳ありませんでした!!!!」」」」
ひたすらぺこぺこと頭を下げる彼らを見ていたが、やがて飽きてきた。
そのうち焦れた1人が食ってかかってきた。
「おい、いつまで人に頭を下げさせ…」
頭を上げかけた男の頭を、足で踏みつけて下げさせる。
「誰が頭を上げていいと言ったの?」
「くっ…」
悔しそうな声が漏れるが、足を払いのけようとはしない。
「これはちょっと面白いわね。私が飽きるまでこうしてみる?もしかしたら気が済んで、許すかもしれないわよ?」
「ううっ…」
ヒールで男の頭を踏みにじってやると、痛かったのかうめき声が漏れる。
「痛いでしょう?私もいつも痛かったわ。貴方達に暴力を振るわれて、心無い言葉を投げつけられて。おかげで心も体も傷だらけよ」
嗤いながらしばらく踏みにじってると、男爵令嬢が声をかけてきた。
「あ、あの…どうすればお許しいただけますか?」
「そうね…」
足をどかして少し考える…フリをする。
実は当初から彼らをどうするか決めていた。ただ勿体ぶる事で交換条件の価値を上げたのと、あとはちょっとした意趣返しだ。
「私に従うなら、見逃してもいいわ」




