番外.欲張り令嬢の記録③
番外更新するたびにブックマークが減っていく…心折れそう(>_<)
結局その後もアイビーは主催者側としての仕事を全て私に押し付け、自分は呑気に晩餐の席で「パーティ楽しみね」と父に言ってるだけだった。父には何度かアイビーの分の準備までしているところを見られたが、アイビーが要領よく「お姉様にちょっと手伝ってもらってるの、共同だしね」と言ったので少し手伝ってるくらいだと思っている。実際は丸投げだが言ってもアイビーが「私だってやってるのに酷い!」と言って癇癪を起こし、父に殴られるのは目に見えてるので言わない。
(アイビーがやってるのなんて私に文句を言う事だけなのに)
料理や飾りつけも「私好みにするよう言っといて」というだけで分かるわけがないのに、料理長やメイド達と決めた内容を伝えると「好みと違う、何でこんな事も分からないのか!」と人を怒鳴りつけてはお詫びと称して私の物を持っていく。
そんな事を数回繰り返しながらようやくパーティ当日を迎えた。
昨年までは家族と使用人だけだったが、今年からは社交の一環として顔見知りの相手も招く。
これをきっかけに友人を作りたい。今日はその一歩だ。
頑張ろうと思い会場に足を踏み入れる。
父と私とアイビーが挨拶をした後パーティが始まった。
父と母は離れた場所で大人の人達と雑談をし、私とアイビーは令嬢子息から順番にお祝いの言葉とプレゼントを受け取る……筈だった。
「お誕生日おめでとうございます、エリザベス様」
「ありがとう」
最初に挨拶してくれたのは以前知り合った伯爵令嬢だった。
「これ、大したものではないのですが…」
「ありがとう」
そう言って受け取ろうとした時…
「ありがとう、貰っておくわね」
「「え?」」
横からアイビーが手を伸ばしてプレゼントを奪う。
私も伯爵令嬢もアイビーの前に並んでお祝いを述べてた令嬢も呆気にとられる。
が、すぐに気を取り直してアイビーに抗議する。
「ちょっとアイビー、それは私宛のプレゼントよ」
するとアイビーは顔を顰めて言う。
「いい加減にして、同じ事を何度言わせれば気が済むの!?今日の主役は私!お姉様はおまけ!お情けでパーティに出させて貰ってるだけ感謝してしかるべきなのに、人のプレゼントまで横取りしようなんて!!」
これにはさすがに我慢できず反論する。
「いい加減にしてほしいのはこちらの方だわ。今回のパーティは共同だと言ったのに貴方何もしてないじゃない、おまけに私への贈り物まで取ろうだなんて」
「人聞きの悪いこと言わないでよ、ちゃんと共同よ!お姉様が準備をして私がプレゼントを貰ってお客様をもてなす、ほら共同じゃない」
あまりの言い分に呆気にとられる。よくもそんな図々しい事を言えるものだ。
周囲の人達もポカンとしている。
「もう1度だけ言うけど今日は私の為のパーティなんだからプレゼントはすべて私の物なのよ、だからこれも私の物なのよ」
そう言って奪ったプレゼントを抱えて「フン!」と鼻を鳴らす。
思わず頭に手をやる。
(頭が痛い)
招いた令嬢子息達が困ったようにアイビーと私を見比べる。
ともかくこれ以上大きくなる前に納めないと。
「アイビー、貴方の言動はパーティにふさわしくないわ。部屋で頭を冷やしてらっしゃい」
「はぁ?何でよ、私は正しい事しか言ってないわ」
部屋に戻るよう促すと「心外だ」というような顔をする。
「周りをよく見なさい、貴方の言動を正しいと思ってる人はいないわ」
言われてアイビーも周囲を見渡し周りの冷ややかな視線に気づいたようだ。
「何あれ」
「姉に言う台詞か」
「よくもあれだけ図々しい事を言えるものだ」
「あれで公爵令嬢だなんて」
周囲の言葉に私もアイビーも顔を赤くする。
(恥ずかしい)
言われてるのはアイビーだが、それが妹だと思うと隠れたいくらい恥ずかしい。
だがアイビーの赤面は羞恥のせいではなかった。
「何よお姉様のせいで恥かいたじゃない!!」
そう怒鳴って思い切り私を突き飛ばした。
「「「「!」」」」
ガシャーン!!
思い切り突き飛ばされた私はすぐ近くにあったテーブルに突っこみ、テーブルごと倒れてしまった。
「痛っ!」
すぐに起き上がろうとしたが、痛みを感じて立てなかった。どうやらテーブルの上のグラスや食器の破片が刺さったようだ。よく見れば腕や手から血が出ている。
「フン、お姉様のくせに私に説教するから天罰が下ったのよ。いい気味!」
勝ち誇るアイビーを睨みつけると足音がした。
「何をやっている!!」
父が怒鳴りながら近づいてくる。さすがに騒ぎに気付いたようだ。
「エリザベス、アイビー何があった!」
「お父様~お姉様が意地悪するの~怖かったぁ~~」
途端に猫撫で声で父にしがみつくアイビー。アイビーの台詞を聞いたとたん父がこちらを睨んでくる。
「エリザベス、アイビーに何をした!こんな公の場で妹を虐めるなんて恥ずかしくないのか!!」
私も負けずに睨み返す。
「恥ずかしいことなどしてません。アイビーが私宛の贈り物まで奪おうとしたから、注意したらいきなり突き飛ばされたんです。人の贈り物を横取りしたり、こちらの言い分も聞かずに虐めたと決めつけて責め立てるのは恥ずかしくないのですか?」
反論すると父は「うっ」と黙りこみ、周囲を見渡すと予想外の事を言ってきた。
「エリザベス!転んでテーブルを倒すなど礼儀がなってないぞ、そんなみっともない格好で恥さらしな!お前はパーティにふさわしくない、終わるまで部屋に引っこんでいなさい」
「!」
「そうよお姉様、お姉様みたいな辛気臭いのがいたらせっかくのパーティが台無しだわ~。奥で引っこんでなさいよ。心配しなくてもお客様をもてなすのはちゃんと私がするわ~」
アイビーが父にしがみつきながらこちらを見てニヤニヤ笑う。
(それが答えか)
父は体面を取り繕うために私1人を悪者にして責任をかぶせたのだ。
ここで反論したところで殴られて無理矢理部屋に戻されるだけだろう。
「…失礼します」
腸が煮えくり返る思いをしながら、一礼して会場を後にする。
招いた知人達が心配そうに見ていたので、そちらにも一礼した後使用人に怪我の手当てをしてもらい後は部屋に戻ってずっと泣き続けた。




