11.訪れた破滅
たくさんのブックマーク、評価ありがとうございます。ラストスパート頑張ります。
「どうしよう…」
ヘンリー様と2人廊下をトボトボと歩く。
先ほどまでアナスタシア様に国王へのとりなしを頼んだけど全く取り合ってもらえなかった。
「少しは自分の行いを振り返って反省なさい」と言われて部屋から放り出された。
(振り返るような悪い事なんてしてないじゃない!)
私の思い通りに動かない周りが悪いのだ。
「そもそも君のせいだぞ俺の支持者を減らして!」
突然ヘンリー様がそんなことを言い出した。
「そんな!私悪くないです、周りが悪いのに」
無理な課題をふっかけたり嘘ついて私を陥れたりしてるのは向こうなのに!
「君に問題があるから周りが離れていくんだろう!おかげで俺まで父上と母上に叱られた!」
私を悪者扱いするヘンリー様にカチンとくる。
「それを言うなら散財して借金こさえたのが悪いんでしょう!人のせいにしないでよ」
「何だと!?誰の気晴らしだと思ってるんだ!」
「誘ったのはそっちじゃない!」
「何!?」
怒ったヘンリー様が手を振り上げる。
殴られると思った時―――
「兄上、こんなところで痴話喧嘩ですか?」
声がした方に顔を向けるとルイス王子とリカルド様がいた。
ヘンリー様の矛先がルイス様に向かう。
「ルイス!?お前には関係ない、引っこんでいろ!」
するとルイス様は困った顔で受け流す。
「関係はありませんがここは王城の廊下で人目がありますので…続きは自室でする事をオススメしますよ?」
言われてみると遠巻きに兵士や使用人達がこちらを見ている。
「…っ!チッ」
言い返せずヘンリー様がそっぽを向く。
とりあえず殴られずに済んでよかった、ルイス様に感謝だわ。
改めて見るとルイス様が古びた本を抱えてるのに気づく。
「ルイス様それは何ですの?」
私の視線に気づいてルイス様が手元を見る。
「あぁこれはクラーク伯爵からお借りしていた古書です。そろそろお返ししようと思って…何でも貴重な本で巷では大枚はたいても中々手に入らないとか」
「「!」」
何気ないルイス様の言葉に私とヘンリー様は目を瞠る。
古臭い本にしか見えないけどそんなに高値で売れるなら…
私とヘンリー様は視線を交わすと頷きあった。
「ご苦労だなルイス。それなら俺から伯爵に返しておこう、さぁよこせ」
ヘンリー様が手を差し出す。
「え、でも僕がお借りしたのですからやはり僕から直接返した方が…」
ルイス様が困惑するがそれがヘンリー様の気に障ったようだ。
「いいからよこせと言ってるだろう!」
「うわっ!」
怒ったヘンリー様がいきなりルイス様を突き飛ばす。衝撃でルイス様は後ろに倒れかけリカルド様に支えられる。床に落ちた本はその隙にヘンリー様が拾った。
「ふんお前がサッサと渡さないのが悪いんだ。これくらいで倒れかけるなんて鈍くさい奴だな」
ヘンリー様が嘲るが正直同感だ、余計な手間を取らせないでほしい。
「ふんどうせ本をダシにクラーク伯爵と親密になろうとしたんだろうが残念だったな。このオンボロ本は俺から伯爵に返してやるよハハハハハ」
「それじゃあルイス様御機嫌よう」
私達はすぐに街へ行き本を売り払った。
思った以上の高値で売れていい気分だった。
それから私達はいろんな物を売り払った。
城にはいろんな調度品が飾られているから売り物に事欠かないし、ルイス王子の留守中に部屋に忍びこんだりもした。疑いの目は向いたようだがヘンリー様に文句を言えるものもおらず、ルイス様はお姉様のように部屋に鍵をかけることもなかったので簡単だった。
しかしある時決定的な事が起こった。
城で王妃の首飾りがなくなったのだ。
国王の王冠と共に代々伝わる国宝で正妃の死後、宝物庫に保管されてたのがルイス王子が持ち出し部屋に置いて外出した後無くなっており盗まれたのではないかと騒然となった。
最初はルイス王子が疑われたが昔から時々『形見の品を眺めて母を偲びたい』と首飾りを持ち出していたのは周知なので自室の捜索とボディチェックだけですぐ疑いは晴れた。
容疑者が見つからないので城中の人間が厳しくチェックされ私とヘンリー様が城の調度品やルイス王子の部屋の物を持ち出して売り払ってた事がバレた。しかもその中に王妃の首飾りも入っていた。
それだけでなくルイス王子が貸し借りしていた貴族の持ち物も売り払っていた為クラーク伯爵を始め複数の貴族に訴えられ窃盗の罪で牢に放りこまれ処罰を待つことになった。
数日後裁きの間に連れてこられ罰を言い渡された。
「お前達は国宝を始めとした数多くの貴重品を盗み、売り払い私腹を肥やした罪により王家から籍を外し絶縁する。今後は王家直轄領の1つラッセル領主として生涯領の発展に尽くすべし」
「何ですって!」
「そんな!」
ラッセル領は話には聞いたことがある。西の国境沿いの荒れ地で碌に作物も育たない貧しい領だ。そんなところに行かなけらばならないなんて!
「そんな!それではまるで追放ではないですか!?」
ヘンリー様も同じ考えだったようで必死に取りすがる。
「その通り追放だ。お前達はそれぐらいしなければ反省しないだろう。今まで好き放題やった分ラッセルの地で国のために尽くすがいい」
「陛下の言う通りよ。お前達は悔い改めなさい」
そう言って国王陛下は退出する。側妃もそれだけ言って後に従った。
「お待ち下さい父上母上!」
「待って下さい今度こそちゃんとしますから!」
しかしいくら言っても2人は戻らず私達は兵士に無理やり連れ出され身1つで罪人用の馬車に放りこまれた。




