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2014年の1月25日。
下関駅東口。
時刻は夕方にさしかっているにもかかわらず、気温は日中とかわらず、雑踏の中の風景は蒸し暑さをかもしだしている。
その東口の大手ショッピングセンター正面玄関入り口前には、十代の女子高生が
「きゃぴきゃぴ」
と一体何の話をしているのか話の脈絡はつかめないが、
「まじ?」「やばい」「うけるんだけど」
といった単語はかろうじて聞き取れる。また、耳にスマートフォンをあて声の調子を半音あげてしゃべっているスーツすがたのサラリーマン。
白や黒の薄手のブラウスにスカートの姿や、リクルートスーツのOLがスマートフォンを見ながら、人差し指を横にスライドさせている。
それぞれ何人かがちらばっている。
その前を、いかつそうな男性のキャッチがところせましとあるきまわっては、二人連れ以上の通行人に
「居酒屋いかかですか」
とこえをかけている。
そんな中へ飯田 翔(23)がスマートフォンを片手に持ちながら、きょろきょろと視線を左右に動かしている。
「目印は、黒髪のロングヘアにところどころまばらに茶色がかっている。それに多分スカートルックで。手にはスマートフォン」
翔、周囲みまわして。
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・う~ん。いないな」
そう思って、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で連絡をとろうとした矢先、
雑踏のなかから、某アイドル似の目のくりっとした女の子が、
「あのー」
とあきらかに翔のほうに近づいてくる。
翔は思わず心のなかで
「かわいい」
と叫ぶ。きたーw(゜∀゜ 三 ゜∀゜)