第一話 俺 後半その二
もはやコレが私のペースなんだなと立ち直り始めた今日この頃。
でもこれから速度をあげるよう頑張るつもりです。
今回はいつもより長いです。
では、どうぞ。
『お前の前世だ。』
「お前が俺の・・・・・・前世?」
前世・・・・・・・・?????
前世とは、俺が《橘 龍斗》として生まれる前に、この世で生きていた時の自分のこと。
つまり劉が前世と言うなら劉が俺であるということになる。
「ちょっと待て!
それっておかしくないか?
俺の前世としては、お前は俺と性格がちがい過ぎないか?」
『そのことに関しては後で説明する。
とにかく俺は橘 龍斗の中に《残った前世の人格》であり
《第二の人格》だ。
つまり俺はお前自身ということになる。』
「もう一人の僕的存在ですか!??」
よくアニメや小説とかで出てくるもう一つの人格ってやつですか!!??
『そんな感じだ。』
俺二重人格になっちゃたってこと!!??
『初めからだがな。』
「ぇええええええええ!!??」
マジですか!!??
『マジだ。だが俺のことよりまずこの世界、邪界を出なければな。』
劉は辺りを見渡し、俺達がゴミの洞窟に入って来た穴を見つめた。
怪鳥が壁を叩く音が聞こえてくる。
そういえば、劉のインパクトがデカすぎて自分が今危機的状況にあることを忘れていた。
「なあ、劉何なんだよあの怪鳥は!?」
『簡単に説明する。
アレはある《この世に在ってはいけない力》に当てられて、人間が変化したものだ。《この世に在ってはいけない力》を《邪》といい、
人間の魂が《邪》に当てられると《邪鬼》となる。』
アレ元々は人間!!??
んじゃ怪鳥が土屋だと感じていたのは!!???
『あの怪鳥は土屋 ルレだ。俺は力が貯まるまでお前に知らせていた。』
アレが土屋・・・・・・・・!?
彼女の魂に何があったのかは分からないが、彼女がアレと同一だなんて、信じられなかった。
あのとき感じてはいたけど、心でずっと否定していた。
『邪鬼は魂が消えるまで破壊行動を繰り返す。』
「なぁ、魂が消えたらどうなるんだ?」
『存在そのものが消える。』
劉は周りにある黒い霧を指に絡めながら、続ける。『魂が消えた者は、体も消滅し、
あらゆる文献からも名が消え、
この世の者達の記憶からも消える。
創からいなかったかのように・・・・・・・・・』
『ここから出るには、方法は二つ。
一つは、このまま魂が消えるのを待つか
一つは、土屋 ルレを元に戻すか・・・・・・・・・・・・』
そう劉が言ったら、後ろから怪鳥が壁を突き破り、顔がこちらに入ってくる。
『チッもう来たか。とにかく、
土屋 ルレの魂、
橘 龍斗の魂。後者を選べば、お前は今までの日常どころか、前世の記憶に苦しむことになる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前自身の問題でもある!!
お前が選べ!!!』
俺か、土屋か、
このままなら、土屋は、消えてしまう。
また、失うのか?
大切な誰かを・・・・・
でも、あの時とは、ちがう。
やれることがあるんだ。
失わないためにやれることがあるのなら・・・・・・・・・
「俺は・・・・土屋を戻したい!!」
やれることをやるだけだ!!
『そうか。その言葉、後悔するなよ。』
劉は、やはりといった感じの顔をしながら、俺の額に人差し指と中指を置いた。
『土屋 ルレを戻すには、アレを倒さなければならない。
それには、魂の力が必要だ。それは、《魂の掟》で前世と今世の記憶が交わらなければ、力は使えない。
とにかく時間がない。
俺の記憶とお前の記憶の間の扉を強制的に開ける。』
劉はゆっくりと指の間を徐々に広げ始めた。
「痛っ!!」俺の頭の中に何かが開いた感覚がし、それと共に目には見えない映像が見えてきた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まず見えたのは、刀を構えている着物をきた男が二人。
その男達は、豪華な着物をきた中年の男性を護るように囲っている。町はシーーーンっと静まり返っていて、微かに鈴虫の声が聞こえる。
俺は、男達に刀の先を向けていた。
俺?いや多分、なんとなくだけど、劉だと思う。
俺は今、劉の記憶を見ているんだ。
劉が呟く。
“こいつが裏で攘夷志士共を支援している貴弐衛門か・・・・・”
中年の男が叫んだ。
“誰かあ奴を斬らぬか!!!!”
それに応えた二人の男達が劉に斬りかかっていく。
劉は、そいつらの刀を表情を変えず受け止めた。
“やはり、周りにいるのは攘夷志士共だな。”
またポツリッと呟く。
ここから恐ろしい光景が広がっていった。
刀を振るう劉。刀が舞うごとに
血飛沫がはじけ、
男達の体の一部が飛び、
この京の町から二人の男の命が散った。
劉が人を殺した・・・・・・?
こんな事をするはずがない!!
劉も俺なんだよな?
俺は劉なんだよな?
俺が人を殺した・・・・・・・?
何故?・・・・・・・それは・・・・・・・・・
“ききき貴様!!??何者!!!???
“新撰組の人斬り”
“は?”
“普通の隊士が斬れない、隠れた者を斬る者”
冷たい声と共に貴弐衛門はこの世から去った。
劉あんたは、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
意識が戻ったあたりで、なにかが溢れてくる。
だけど、なんか頭がボーっとしている。
なんだろう?体の中に力を感じる。
俺の髪が伸びる。
無意識に眼帯を外すと、右目を包帯が覆う
くせっ毛を残したまま伸びた後ろ髪を包帯が結う。
俺の姿は、半分俺、半分劉になっていた。
意識を戻すと、目の前で、怪鳥が壁を完全に突き破って、中に入ってきている。
『気が付いたか。』
劉の声が俺の中から聞こえた。えっ?劉?どこなの??
なんで劉の声が俺の中から?
『今俺は半分お前と同化して、俺はお前の中にいる。』
なんで!!!???
『説明は後だ。龍斗、自分の中に力を感じないか?』
「?ああ。なんとなくだけど。」
『なら、お前の中にある力を思いっきり出してみろ。』
やってみるか。俺は手を前に突き出し、劉に言われた通りに力を押し出してみた。
すると手から勢いよく黒い霧が吹き出て、それに当たった怪鳥がゴミの壁まで飛ばされた。
「なっなにコレ!?」
『それが、お前の力だ。龍斗。
その感じで刀をイメージして、
聖霊武器召還と叫んで見ろ。』
コレが俺の力!
分かった。やってみる。手から力を押し出し、霧を刀に変えるイメージをする。
「――聖霊武器召還!!!――」
手に柄の感触が伝わる。
霧は柄が真っ黒な鋭く光る刀となった。
「――現創刀――
―――黒影龍!!!―――」
俺の手には、黒い柄の鋭い刃をした刀が握られていた。
「ホントにできちゃった!!!」
刀を俺は両手で持って、前に構える。
そして、刀から怪鳥に目線を変えると怪鳥が突進してくる。
『龍斗!まず右に半歩避けて、羽根を斬れ!!』
「斬れって、俺にそんな力ねぇよ!!!!!」と言いながら、俺は、劉が言ったのと同じように、半歩右に下がって、羽根に向かって刀を振るった。
「熱っ!」
怪鳥からの熱すぎる体温感じながら、怪鳥の羽根が宙に跳ぶのが見えた。
羽根が斬れた!!??
普通あんなモノを斬るには、それなりの力が必要だ。
でも、感触があまりない。
斬れた羽根は、赤い煙を上げながら消えていった。
『邪鬼は、人間が、邪でできた邪殻を纏ったモノだ。
邪殻を人間の体を傷つけずに取れば、その者は、元に戻る。』
なるほど。あれは、土屋の体が変化したものじゃないんだ!
「じゃあ、どんどん斬ればいいのか?」
『元の人間を傷つけてしまったら、どうする。
見ると頭に体が有るようだ。
首を狙え。大概、あそこを斬れば、全ての邪はなくなる。』
体を傷つけずにっか・・・・・・
了解!!
怪鳥は飛べなくなったからなのか、こちらに向かって、無数に炎弾を打ってくる。
クソっ!!!あれじゃ近づけない!!!
『右っ!!!次は上に跳べ!!!』
俺は、劉が教えてくれる通りに体を動かす。
少しずつだけど、確実に近づいている。
伏せて、跳んで、
右に避け、左に避け、
炎弾を避けていく。
『次は壁を作って、前に跳べ。』
壁を作る?さっきの刀みたいにか?
壁をイメージして、また手から黒い霧を出す。
真っ黒な壁ができ、壁が炎弾を防いだ。
それによってできた煙に紛れて、怪鳥の首めがけて、前に跳ぶ。
「はあああああああ!!!!」
怪鳥の首を斬った。
「やった!!!」
「ギィアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
耳にくる断末魔を上げて、変な世界と共に怪鳥は消えていった。
「土屋は!!???」
世界も俺も元の姿にに戻った時、土屋がいないのに気が付き、辺りを見渡す。
『土屋 ルレなら此処だ。』
劉はそう言いながら、自分の足元を指した。
土屋はぐったりと眠っていた。
『疲れてはいるが、体、魂ともに無事だ。』
「よっ良かった!!無事で!!!」
奈美も無事だ。
みんな無事でほんとに良かった!!!!
『ほら、眼帯をしろ。
そしてさっさと帰るぞ。』
劉は腕を組ながら、呆れた様子だ。
「にしても劉っていいにくいなぁ。」
俺は、龍斗で劉は劉・・・・・・
(俺の前世らしいが)年上っぽいし・・・・・・・
んー、劉さん、幽霊、先輩、相棒・・・・・・・いやそれは、漫画と被る。
なんか、劉って俺とは正反対だけど、なんとなーく顔が似ている。
兄弟って感じ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「兄貴!!!兄貴って呼んでいいか!!??劉!!!」
『何だ。唐突に。まぁ別に好きに呼べ。』
よし!兄貴の許しを得た!!!
俺は土屋を救えたことに安心し、兄貴が新たな家族になったことを喜んだ。
これから、様々な事が大きくなることなんて、夢にも思わずに・・・・・・・・・・・
「んじゃあ、これから宜しく!兄貴!!」
『ああ、宜しく。龍斗。』
こうして、俺の非日常は、始まった。
【第一話、俺・完】
やっと第一話が書き終えることができました!
もう一年以上経っていることに気が付きましたが、こんな長さで大丈夫なんでしょうか・・・・・・・;;;;
しかも2000ヒット越えていました。
なぬぅ!!!???
本当に読んでいただき有難うございます!!
感想をくれた方々も感謝いたします!!
―斬影―は速度を変えて投稿するので、これからも宜しくお願いします。