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双神記  作者: 青嵐
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16・噂話と過去の話と雑談(仮)


「え。ディリア様の双神だったリティア様?…莉丁亜ちゃんどこでそんなこときいたの。」

マスターが買い物に行っていている都合で、代わりに『仄香』の留守番をしていた莉丁亜は、すっかり顔馴染みとなった常連客の時野さんとカウンター越しに駄弁っていた。


「ディリアからだけど…?」

「…⁉︎ディリア様が彼女のことを話すなんて…珍しいわね…。まあいいわよ、実際私はあったことが無いものだからそう話してあげられる事も少ないのだけれど。」

「うん。他にマスターとかに聞いたんだけど『少女ちゃんは人生経験少ないものねぇ…』って話してくれなくて…。」


もちろん蘭娥にも聞いたのだ…揃いも揃って黙り込んだところを見れば無理に聞き出すことは出来なかった。知っているけれど口に出して消えてしまったリティアさんの思い出を語るのが辛いのだと、思う。

(何しろ、二人は何しろ長生きだから生きているリティアさんとも顔馴染みだったようだと思われるからなぁ…)


「私は、前に自己紹介したように時の番人といって、ドロール神に仕える一族の一人でね。…その役目のおかげか噂話には好かれていて、三年程昔に聞いた話なんだけど…。


リティアという神は初め名前を持ってる無かったようで。リティアという名前もディリア様から付けて貰ったらしい。

リティア様とディリア様は本当に仲が良かったようで、ディリア様に至っては一種の庇護欲もあったと思う…リティア様はお身体が悪いようで病弱だったようだから。

え、病弱な神なんているのか、って?

そりゃ、いるんじゃないかしら…実際彼女がそうだったんだもの。

まぁそんな二人も彼女の消滅…死と表現していいのかもしれないわね、それで終わってしまうのだけれど…なんだディリア様からここのくだりは聞いたのね?

…なんだ、私が話せること無かったじゃない。」


時野さんはすっと、レモンティーを一口飲む。

「そういえば、貴方の秤見の件…私達の仕事のほうにまわってきたのよね。」


「へ?時の番人のほうに、なんで?」

「あ、知らなかった?…私達は過去を見せることができるの。ドロール神の許可と、一定の条件が整えばね。」

「へー、凄いね!なんかファンタジーみたいでワクワクする…!」

「まあね〜〜凄いでしょ?で、莉丁亜ちゃんの過去に何があったのか貴方の正体を明かすために、過去を遡れ、と。」

「正体って…笑。私生きてた頃の記憶はぼんやりとだけどあるよ?

事故で死ぬ前、少ないながらに友達と楽しく過ごした学校生活。短気な母とちょっと頼りない父に優しい二人の姉…父と母が急死した後は叔母が面倒見てくれてて、変な人だったけど好きだったなぁー


…死んで赤の他人になったとはいえ、記憶の中で家族だった人に会えないのは寂しいけどね…」

そう言った私に、

家族という単位も、魂が死んで生まれてを繰り返すからずっと家族だなんて事はないのだと、マスターが教えてくれた。

…それはそうなんだろうけど、でも。


「それは、白小袖莉丁亜としての記憶で、魂の正体はわからないでしょ。

…大丈夫。私だってこんなとこにいるけれど、普通の人として生まれて、その理屈も知ったけど兄弟姉妹が例えこの一生だけの血の繋がりだとしても、大切だし会えない日々が続いたら寂しいよ。」

「…うん。」

「それに、家族というものは前世、来世でも何かと縁があるからね〜。って暹霧様言ってらっしゃったし。」

暹霧様の言いようを思い出したのかカケラはくすりと笑った後に言った。

カケラ曰く、暹霧様というのはドロール神らしい。


「…その繋がりを、大切にしてあげてね?」

「え。あ、うん。?」


その返事を聞いたカケラはよしよし〜〜いい子だね〜と莉丁亜の頭をなでた。


「私、小ちゃい子じゃ無いよ?」

「あ〜〜ごめんごめん。私のところ年の離れた姉と兄がいっぱいいて…よく頭撫で撫でして貰ってて、それでかな?従兄弟とかに撫で撫でしてたから…つい…。ゴメン、気に障ったかな。」


「まぁ、いいんだけど。…あれ?そっか。…きっと、兄弟姉妹で仲いいんだねー。いつも兄弟姉妹でどんな感じなの…?」


「うーん。ま、私が末っ子だから。…私より2歳上に姉がいて私より5歳上に三つ子がいて…他、もっと上に姉と兄が一人ずつ。」

「うわぁー!結構大家族だね…。」

「まあね。…ところで、莉丁亜ちゃんはこっちにもう慣れた?まだ1…2ヶ月ぐらいでしょ。」


「うん。それぐらい経ったのか…はやい。まぁ、慣れた…かな?

いや、だって天国?っぽい場所だけど向こうにあるもの大抵あるし…そういえば時野さんってこっち…じゃなくってあっちの人だからおんなじように思った事、無いの?」

「うーん、私は正確に言うとこっちに来れる向こうの人、ね。」

…実際死んでないし。カケラはそう口に出そうとして…少し、思う所あってやめた。



「そーね、うん。あるわよ。だって、食べ物ある時点であれ…?だし、魂が睡眠取ってるし、電気あるさはガスもあるし…今思えば、らいふライン揃ってるんじゃ無い⁉︎…しんじらんない…。えーっと、あと…えっと、それから郵便局もあるし学校…あるし?」


「…学校って…死んでまで勉強するの…?」

嫌だなと顔を顰める莉丁亜


「あ、良かったら莉丁亜ちゃんも行く?申請と書類やっとくけど?」

「…え、やだ。」


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