表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双神記  作者: 青嵐
13/15

12.帰る道


コツコツと靴が鳴る。その沈黙に耐えかねてか莉丁亜は口を開いた。

「体調…大丈夫なの?」

「アズバがなぜ莉丁亜を私の元に連れてきたか、分かるか?」

「…?ううん…」

「そうか。…昔私には双子の神、双神となる片割れの神がいた。その子は私の双子の妹でリティアと言ってね。」

「この前言ってた対になる神のこと…?私と同じ名前…?ちょっと発音違うけど。」

「そう、だからだろうな。…もしかしたら私が死にゆくのを止められるんじゃないか、と。知らないとは思うが、私は陰の気を持つ神でリティアは私とは反対に陽の気を持つ神だ。…無論、私の中に少しは陽の気があるがもともとが陰の気が多くて、それを逆に陽の気が多いリティアといることで釣り合わせていた。」

少し言葉を切り、

「それがリティアが死んでバランスが崩れてだな…陰の気が多ければ器にあまりあるチカラになるわけで。

…要するに、強くて身を滅ぼすってわけだ。」

「そんな…ディリアは、死ぬ、の?」

そのリティアさんって言う少女が…そんな神が死んだ様に。

…神さまなのに…?…。

そう不思議そうに莉丁亜が言葉を紡ぐ。

「ん?あぁ…、そうだな…人は死んだら、こちらにくるが、神々にもそんないく場所はあるのだろうかな。」

もしあるならば、リティアにまた逢えるのか。


それならば、もう良いと思ったのか。

…命が終わるのも、全て。


「着いたぞ。」

「うん。…そう、なんだけど。」

「どうした?ー大丈夫、まだ当分は死ねない。心配しなくていい。」

「そ、っか。…止められないの?」

「無理だー心配してくれるとは…嬉しいな、ふっ…じゃ、またな。」


それに、このまま死ぬわけにもいかない理由もある。

踵を返したディリアは一つ息を吐く。

…怯えさせるには、あまりに可哀想だったのだ。

莉丁亜に言えなかった事がある。

陰の気で狂った神はただ単に身を滅ぼして死ぬのではない。

陰の気に呑まれた神の行く先は決まっている…。


ー強く禍々しい心壊れた災いの神になるのだー



死んだ神の居場所など、知らない。知らないままで良い。

たとえリティアがそこにいたとして、逢う事はきっと、叶わない。叶ってはならない。


行き着くとこなど、せいぜい地獄とも呼ぶに釣り合うべき所なのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ