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悪役令嬢の親友ですが彼女を助けます!~ループに囚われた登場人物達~  作者: さくらもち
学園祭実行委員会の発足編
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23

2019/08/15 校正+加筆

 


 グラムと話した翌週の月曜日、突然その事件は起きた。

 今日はそれによって本当に最低な日になった。

 ひとつは、月のものが来てしまい、朝から気持ちは沈むし貧血で頭が痛い。

 体調が悪そうな私に、スティは心配して横になった方が良いと気遣ってくれたが、せっかく発足した実行委員会の管理をしなければ示しが付かないと強引に体を起こす。

 こう言う時に常備品の鎮痛剤とかがあればいいのだが、この世界にはそんな物はないだろう。諦めていた。

 そして、もうひとつは……――


 〝速報、シャルティエ・フェリチタは、グランツ王太子殿下に婚約者がいるにもかかわらず親密な関係に〟


 大々的に書かれていたのは、このカーディナル学園でも一番目に付きやすい各教室の壁いっぱいの黒板だった。

 いつも通りスティと通学していると、道行く生徒が私の顔を見るなりひそひそと話をしていた。

 一体どんな噂をしているのだろうと横目に見て考えながら教室へ入ってみればこれだった。

 ほんの一瞬だけ、ふらりと眩暈がした。

 しかし、ふらつく足元を踏ん張ってこらえる。

 眉間に皺を寄せないように、表情を殺して半目で〝それ〟を睨むと、周りからそれを見てそれが相当怒っているという事は誰にだって察しがついたはずだ。


「い、今すぐ消しますわ……!」


 スティの取り巻きだった女子一人が、私の姿を見るなり慌てて黒板の方へ向かおうとするが、ズキズキする頭を片手で押さえながらそれを止める。

 最善の行動をしたいのに上手く思考が回らなくて、余計にイライラしてしまう。

 しかし、彼女に罪はないから極力声色はいつも通りを装って声をかけた。


「いえ、結構です」

「ですが……!」


 なぜ止めるのかとこちらを咎める様子があったが、それでもいいのだと首を振る。

 それだけで、痛む頭が刺激されてもう微動だにしたくなくなった。


「――皆さんお静かにお願いします。一度だけしか言いません……」


 もう色々と精神的にピークで、自然と声のトーンが下がる。

 今までで一番、自分でも驚く程の地を這いずるような酷い声をしていた。

 その私の威圧が周りに通じているのか、全員がシンッと静まり返る。

 その様子に、スティも止める事なく見守ってくれている――もしかすると、止めても無駄だと思っているのかもしれない。

 周りに伝わる私の威圧がビリビリと放ってきた頃に、目を閉じて口を開いた。


「――今すぐにここに出てきなさい。これを書いた人間を知る人は、問答無用でここに差し出してください」

「し、シャルティエさ……ま……。わたくし、朝の教室の花瓶を最初に来て変えた時、マーニー様を……見ましたわ」


 背後から怯えた声色が聞こえてきて、目を開きゆっくりと振り返ると、私の顔をみてびくりと肩を震わせていた。

 あまりの不機嫌オーラで怖がらせてしまい、本当に申し訳ない気持ちになる。

 そして、マーニーの名を聞いて周りに聞こえ無いように、小さく舌打ちをしてしまった。


 ――やっぱ突き出すべきだった……! 悔いても仕方ない……早く捕まえないと。


 本当に彼女は、私を怒らせるプロなのだろうか。才能かも知れない。

 もしかすると、パフォーマーとしてお金を取れるかも知れない。

 私の高圧的な態度に周りが膝から崩れ落ちる様子を見ながら、スティに鞄を預けてスカートを翻しながら歩き出す。

 しかし、私の口元は笑っていた。

 怒るピークを超えると、私の場合は笑えてくるのだと知った。

 私の行く道を、野次馬達が怯えるようにあけてくれる。まるでラスボスのような扱いではないかと自嘲気味に笑った。

 歩みを進めていると、騒ぎを聞きつけたクリス様が目の前に立ちはだかっていた。

 その姿が見えただけで、先程の自分の放っていた威圧がスゥッと消え失せる。


「……シャル、おはよう。昨日は、送ってあげられなくて悪かったね」

「…………おはようございます。昨日はグランツ様に送っていただきましたので大丈夫です」


 まだ痛む頭をこらえながら無理してふわりと笑うと、周りも少し安堵した様子に変わる。

 よっぽど私が怖かったのだろうと察するが、それよりあんな噂を広めてまわるマーニーに話を聞くまでは私の腹の虫が改善されないと、彼女の居るであろう教室へ向かおうとするが、目の前に立つクリス様が邪魔をする。


「シャルの行き先は保健室だ」

「……そんなにひどい顔していますか?」

「体調がとても悪そうだよ。連れて行ってあげるから、あとはグラムとスティに任せて」


 優しく刺激しない低すぎない、高すぎない調度いい声色が、耳の鼓膜を刺激するが不思議とそれが安心して現実逃避するように目を閉じる。

 次第に、ズキズキと頭の中を侵食するような頭痛の酷さに耐え切れなくなった私はそのまま気を失った。


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