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15歳と春の日射し

作者: 苔海苔

(…まるい…)

鏡に映る自分の姿に愕然とする。

もう高校生になるし、思いきって美容室に行きたかったけど、やっぱりお母さんに言うのが恥ずかしくて、いつもの床屋でいつものおばさんに切ってもらった。

髪型なんてどうせ決まってるでしょって顔で

「今日はどうするの?」って聞かれたから思いきって「少し長めに…」って言ったのにいつもと同じ短さの上に、いつもよりまるい…。

やっぱり恥ずかしがってないで美容室に行けばよかった…。

「あら、大人っぽくなったわよ!」

床屋のおばさんに強めに肩を叩かれた弾みに、愛想笑いが飛び出してしまった。

違う…。本当は気付いてた…。

あたし、途中で気付いてた…。

あそこで止めてればって、わたしこの30分の間に5回は思ってた…。

だって…だって…なんて言って止めたらいいのか分からなかったんだもん…。

なんて言ったらここまでまるくならなかったか分からなかったんだもん…。

こんなことなら昨日、雑誌から切り抜いた写真を床屋のおばさんに見せればよかった。

いっつもお財布しか持ってこないから、鞄を持ってきたら、受付んとこで預けるって知らなかったから、どっちにしろ出せなかったんだけどさ…。

「はい。ありがとー!またいらっしゃいねー!」

床屋のおばさんが笑顔であたしを見送る。

ふと、鏡に映った自分と目が合う。

あれ…?

眉毛…濃い?あれ…?

…あ…切りたての前髪…ちょっと眉毛に乗ってる…。

あれ…なんか…あれ…?

目が…小さい…?

あたし…目が…小さい…?

あれ…?

表に出ると強い日射しに、あたしの細い目(さっき気付いた)は更に細くなった。

自分の目が小さい。

そんな小さな発見があった15の春でした…。

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