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デートと冒険者

久々登場なので一応。


シルス

➡ルイスのお兄さん。エルシィの冒険者仲間。隠れ攻略対象。

 さてさて、ルイスのおかげで装備は万全!なんとアクセ・靴・鞄まで揃えられ、爪まで美しく整えられました。爪は切るのではなく削るものだとはじめて知りました。爪もピカピカです。


 いざ、デート!と思ったら、用事を思い出してしまった。


「ごめんルイス、冒険者ギルドに寄っていいかな?」


「かまわないよ。こないだの奴?」


「うん。早く出さないと忘れて鞄に入れっぱなしになったりするし…」


 私のポーチは大容量・時間停止魔法付与の優れもの。鮮度的な意味での問題はないけど、特に大物はこまめに出しておかないといけない。何を狩ったか忘れちゃうからね。

 気まぐれで鞄の中身整理した時に、部屋が魔物の死体まみれになりかねない。部屋も服も汚れてえらいめにあったことが実際にあったのだ。


「じゃあ行こうか」




 町に来たときは必ず寄っていく冒険者ギルド。迷わずカウンターに行き受付のわんこ獣人さんに買い取りを依頼しようとした。


「……………………(ぽ~)」


 あれ?いつもなら、いらっしゃい!エルシィさん!とか言ってくれるのに、ボンヤリしている。目の前で手を振るが、気がつかない。


「お嬢さん、依頼ですか?」


「………………は?」


 たまにパーティ組んで依頼を受けるボーデンが寝ぼけたことを言っていた。私は依頼する側ではない。基本的に依頼をこなす側である。


「はっ!い、いいらっしゃいまへ!!冒険者ギルドへようこしょ!!」


 犬獣人君がようやく再起動したが、盛大に舌を噛んだ。痛そうである。


「……大丈夫?」


「らいじょーぶでひゅ!」


 大丈夫では無さそうだが、本人が大丈夫というならいいんだろうか。


「邪魔すんなよ、犬っころ!俺が彼女としゃべってたろうが!」


「………」


 いや、受付の彼と話していたのを乱入したのがお前だろ。呆れた視線をボーデンに向けた。


「買い取りをお願いします」


「は、はい!」


「大物なんで、中庭借りれます?」


「へ?はい……?どうぞ??」


 鞄からキングワイワイバーンとバーニングバーガーベヒモスの死体を取り出した。どちらも象並みにでかい大物だ。


「あ、ワイバーンの皮膜はコラーゲンたっぷりだからお肌にいいよ。片方は夕飯にしようよ」


 ルイスが言うので、片方の腕と皮膜は切り取って鞄にしまった。ちゃんと血抜きしといたから服が汚れなくて良かった。

 夕飯が楽しみだなぁ。あれ?また受付の彼が固まっている。今日は体調でも悪いのかな?


「ぎ、ギルマス呼んできましゅ!!」


「え?」


 別に査定してくれるなら誰でもいいんだけど?と思いつつ、受付の彼を見送った。そして、周囲を見回したら、皆ハニワみたいな顔をしていた。なんで?


 ちなみに冒険者ギルドは基本最低でも2階建てである。低ランク向けが1階。高ランク向けが2階になっている事が多い。ギルマスが対応しているギルドが多かった。高ランク冒険者になると機密関連の依頼もあるため、当然の措置と言える。

 余談だが、このギルド5階建て。2階とは別階段で

3階に上がれる仕様である。入ったことはないが、3階~5階は宿になっていて冒険者は割安で泊まれるらしい。


「も~、なんだよ~。めんどくせ~な~」


 ボサ髪に不精髭のやる気が微塵も感じられないギルマスが、受付の彼に連れられてきた。


「お~、こりゃ大物…………」


 ギルマスがフリーズした。


「あの…」


 ギルマスはまるで巻き戻しみたいに直立姿勢で後ろ歩きをして建物内へ戻ってしまった。


「え?」


 そして、数分で走って戻ってきた。私はギルマスが走ったことに驚いた。普段ちんたらしていて機敏な動きができるようには見えなかったからだ。見たことないくらいに身なりが整っている。案外イケメンだ。全く好みではないけども。


「初めまして、美しいお嬢さん。お名前をうかがっても?」


「あ、えと……」


 なんの冗談かな、ギルマスよ…何度も会ってるじゃないか。意味わからん。ギルマスが私の手を取ろうとした。


「ひあ!?」


 ギルマスの手が触れそうになった瞬間、ルイスが私の腰を引き寄せた。ううう後ろから抱きしめられてるぅぅ!!ルイスがイケメン過ぎてどうしよう!


「すいません、彼女は買い取りを依頼しにこちらに来たのです。さっさと仕事してください。他人(ひと)の女に手ぇだしてんじゃねーよ」


「ああ?」


 ギルマスとルイスがにらみ合う。え?私、ルイスの?は、はわわわわ。私がアワアワしていると、更にボーデンが反応した。


「げっ!?鬼畜弟!てことは、まさかこの美少女は………」


 美少女?キョロキョロと探す。ボーデンが美少女と言うからには、相当な美少女なのだろう。ボーデンはアホだが、女性の趣味はいい。清楚可憐系が好みで、一緒に美少女探しをしたりもする。探したが、美少女は特に見つけられなかった。通りすぎちゃったとか?


「あれ?ルイスと……エルシィか?」


「シルス」

「げっ」


「げって言うなよ…兄ちゃんは悲しいなぁ」


「髪が乱れる!エルシィとデート中なんだからやめてよ!」


 シルスに髪をぐしゃぐしゃにされて怒るルイスもイケメンです。

 あれ?皆またハニワみたいな顔してるよ?


「エルシィさぁぁぁん!?」


「うん。こんにちはー。買い取りをお願いしまーす」


 受付の彼に軽く挨拶した。どうやら、私だとわかってなかったらしい。


「エルシィィィ!?」


「うっさいよ、ボーデン。そうだよ」


 ボーデンも気がついてなかったのか。つまり、最初のはナンパ?後でシルス辺りとからかってやろうと思います。


「嘘だと言ってくれ!俺はようやく運命の女性に出会えたと思ったのに、まさかの規格外人型最終兵器のエルシィだったなんて」


「人をなんだと思ってんですか。いいから仕事してくださいよ」


 ギルマスも気がついてなかったのか。規格外人型最終兵器って何さ。失礼な!


 周囲からも騙されたとか嘘だとか言っている声が聞こえてきた。ふと窓にうつる自分の姿を見て納得する。

 そういや、別人みたいだと自分でも思ったわ。だから皆、謎の美少女(笑)だと思ったわけか。


 理由は理解したが、ボーデンをはじめ、床にたくさん人が転げているしギルマスが働く気配がないのだがどうしたら……


「買い取り、俺が後で金届けてやろっか?ギルマスああなると長いし、俺も他に用事あるから」


 なんていい奴なんだ、シルス!


「いいの?」


「馬鹿兄にしてはいい提案だね」


「…………ルイスは素直に兄ちゃんありがとうとか言えねぇの?」


「アリガトウ、ニイサン。僕、今日は帰ったらエルシィとイチャイチャしまくる予定だからお金は明日の夕方以降によろしく」


「前半の棒読みもヒデェが、後半!エルシィに何する気だ!?」


「エルシィ次第かな」


「え?」


 なんかいかがわしい気配がしたが、そもそも私はルイスに全裸を見られている。そりゃ、ルイスがしたいなら………


「エルシィ、いや?」


 悲しげなルイスの上目遣いに……もはや脊髄反射で返答した。


「ルイスがしたいならいいよ!」


 ルイスがにんまり笑った。はやまったかもしれない。悪い笑顔も素敵です。


 結局買い取りについてはシルスにお願いして、ついにデート本番です!

その後ギルドでは、昼間から自棄酒大会が開催された……らしい。


シルス

「いいから買い取りさっさとしてくれよ…」



 ちなみにシルスはエルシィが夜会なんかでおめかしした姿を見たことがあるのですぐエルシィだとわかったらしいです。

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