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後始末が大変そう(他人事)

 跡形もなく焼失したお城に戻ってきたお兄ちゃんはご機嫌だった。


「あはははは!すごいねー、聖剣!城は吹き飛ばしても、人は死なせてない!」


「聖剣エクステリアも無理矢理封じられてキレちゃったみたいで…咄嗟に範囲を絞って皆を逃がすだけで手一杯だったよ」


「いやあ、勇者な聖女様のコントロール能力高すぎだよ~。全力で暴走させたのに、この程度に抑えちゃうなんて~。本当ならこの国全土を滅ぼすつもりでやったんだよ~」


「え」


 お兄ちゃんにもエクステリアことエッ君の声が聞こえたらしく、顔をひきつらせた。

 私はあの瞬間それも理解していたので驚きはしない。それだけエッ君はお怒りだったということだ。


「勇者な聖女様は歴代でも最高最強の使い手だよね~。私の本質を本能的に理解してぇ、極限まで扱えるんだも~ん。今回だって不意をついたから暴走を完全に抑え込めなかっただけでぇ、平常時だったら完全に抑えちゃってたよね~。あの一瞬で範囲をあそこまで絞りこんで生き物全てを待避させるなんて、神業だよ~。その勇者な聖女様のコントロールをかいくぐって悪いやつらを残した伴侶様も相当だけどね~」


「やっぱりルイスの仕業だったか…」


 お城の上層部が一昔前の爆発コント落ち姿になったのはルイスの干渉によるものだったらしい。まだクソをいたぶるルイスを見た。シルスが止めようと説得しているが無視である。


「ルイス、ソレより私にかまって。エッ君がこの国の上層部の方々にお話があるそうです」


 聖剣を顕現させた。どうせなら人の姿の方がわかりやすかろうと美しい青年…この国の神、シヴァ神の神殿像姿に似せてみた。なかなかの出来だ。神々しく見える。ただ、ひれ伏すのが黒焦げアフローズなので絵面がとんでもなくシュールである。


「私は聖剣エクステリア…神に魔王への対抗策…人と魔族のバランスを保つために神から遣わされた。エリューシオンの上層部に物申す!お前ら、ウザいんだよ!」


 エッ君、最初は神々しかったが後半から普通にキレた。


「私の使命はあくまでも『人と魔族のバランスを保つこと』なの!だからどこの国に属するとかないの!最初、魔王の本拠地が近かったからエリューシオンに遣わされただけで、私はこの国のモノじゃねーんだよ!!」


 エッ君、エッ君。言葉遣いも荒々しくなってきちゃったよ?よしよししてやるが、エッ君の怒りはおさまらない。


「毎回毎回毎回毎回!聖女はお前らにイヤ気がさして城出たって気づけ!最初に城出てった聖女はなぁ!頭がちょっとお花畑だったけど、騙されてなんかない!あんたらの選民思考にイヤ気がさして、このままじゃ被害が拡大するから出てったんだよ!」


 まさかの歴史的新事実。ビルドの初代国王に惚れただけじゃなかったのね。そりゃそうか。一国の王女が国を出奔…相当の覚悟をしての行動だろう。


「その後もしつっっこく『聖剣は選ばれし民の国・エリューシオンのもの』だと?ふざっけんな!別に神はてめーらだけを愛してないわ!神の愛は…多少のえこひいきはあるけど基本平等だっつーの!!国単位でひいきなんぞしてねーわ!私がこの国を滅亡させようとしても、神は救わなかったろうが!!」


 いやん、痛烈ぅ。

 上層部の方々、魂抜けたみたくなってる。しかし、長年鬱憤がたまっていたのね…


「しかも、ようやく…ようやく『真の主』を得て使命も終えて、主と幸せに穏やかに生きていたのに、私を無理矢理封印しやがって!あの枷は聖女が私を悪用したときの最終手段なんだよ!それを…てめーらの私利私欲で使いやがって!お前らなんか大嫌いだ!滅んでしまえ!!」


「よしよし、エッ君。もう封印もなくなったし、大丈夫だよ」


「でも、勇者な聖女様ぁ……」


 エッ君は納得がいかないようです。大丈夫だよ。私はちゃーんと考えてるから。




「この国が二度と私たちに手を出せないよう呪いをかけよう」






「流石は勇者な聖女様!」


 エッ君が納得しました。こういう輩は口約束しても無駄だからね。子々孫々…末代まで続く呪いをかけとかないと。次代の聖女(こども)達のためにも。


「さて、聖剣エクステリアは納得したけど…安心するのはまだ早いよ。私達は納得していませんからねぇ」


「我らの真の王への非礼と俺に無駄な仕事をさせたことも併せて償ってもらおうか!」


「うちの娘は優しかろう?破壊したのは城だけだ。だが、私はあんた達を許せんな!」


「魔王さん、おじさん!落ち着いて!!」


 シルスがマオ君と父様を慌てて止める。ルイスはあちらに加わらないようだ。エッ君はいい気味だとニヤニヤしている。


「エルシィ、マオ君辺りを止めてきたら?」


「…ルイスは?」


「僕?今は動かないよ。きっちり調べて真綿で絞めるから」


「そっか…ん?いいのか?」


 マオ君の殺気に呼応して魔族が今にも襲いかかりそうです。


「皆、来てくれてありがとう!落ち着けぇぇぇ!!」


 とりあえず、魔族は全員殴ったら大人しくなりました。なんか殴られて悦んでる奴もいたけど、気のせいです、きっと。


「あっはっは。私の勇者な聖女様は今日も元気だなぁ」

「あっはっは。うちの従妹(いもうと)は元気だなぁ」

「あっはっは。今日もうちの娘は元気だなぁ」


「エルシィが元気そうでよかった…」


「母様、元気ソウデナニヨリデス」


 なんかほのぼのと魔族をボコるとこを眺められていた私。逆にエリューシオンの民は実力差を目の当たりにしたので大層ビビったそうな。

 おかげで交渉が楽勝だったと上機嫌なお兄ちゃんから高級なお菓子をいただきました。鉱山とか色々せしめたらしい。

 もちろんお菓子はルイスと美味しくいただきました。え?ルイスの復讐?


 エリューシオンが2年後、地図から消えました。ルイスが何をどうしたのかは不明ですが、クーデターが起きたりしたらしいよ?

 ただ、確かなのはエリューシオンが冒険者ギルドと商人ギルドという二大巨頭を敵にまわしたってこと。商人ギルドはルイスだろうなぁ…商人ギルドも『伝説の職人』の機嫌を損ねたくはないだろう。

 

 因果応報…手を出した相手が悪かったみたいだね。

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