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制圧よりも難度が高いミッション

 気絶したクソを無理矢理起こし、この国の最高責任者が誰かを聞いた。


「あ、あの男です…」


 クソの面影がある壮年の男性。さっきの爆発で気絶している。なので捕縛し針でチクッと刺して起こした。


「痛っ!?」


 騒がれると嫌なので、口をふさいで簡潔明瞭に伝えた。


「こんにちは。拐われた聖女のエルシィです。人質の不当な扱いに激怒したので城内で大暴れしてここまで来ました。全力で抗議しちゃうぞ。というわけで、国の滅亡か、服従か…選べ」


「!??」


 さらに、口を塞ぐ手に力を込めて殺気を浴びせる。


「服従するか?」


「!!」


 あくまでも、相手に選択させる。幸い国王は必死で縦に顔を動かそうとしていた。手をはなすと、息ができなかったらしくぜぇぜぇしつつ呼吸を整えていた。


「さて、では服従すると賢い選択をした国王陛下。ここからが正念場です。私も無駄な血が流れるのは正直本意ではありません」


「…あれだけ私を(物理的に)振り回しておいてか?」

「ふん!」


 余計な発言をした王太子(クソ)を容赦なく床に叩きつけた。国王は真っ青です。クソはいい見せしめになったらしい。たまには役に立つんだね。


「私は『無関係な一般人』の血が流れるのは避けたい。ただし当事者である貴殿方の血が流れるのはかまわない。実行犯の王太子はもちろん、計画を止められなかった上層部…つまり貴方も含まれる」


 あれ?息してなくね?白目をむいているような??


「エルシィ、殺気を出しすぎだ!クソも呼吸止まってるぞ!」


 他の重鎮を捕縛しつつ増援に警戒していたシルスの指摘に殺気を抑える。だってさぁ、シルスにした事を考えたら超絶イラッとするしなんでクソ達が悪いのに激おこルイス達を鎮めなきゃいけないんだよ。理不尽だよ。いや、罪もない人達のためだから仕方ないけどさぁ。


「マジか。まったく、人が話してるのに気絶するとか失礼なやつらめ。てい」


「げほっ、痛い!」


 またしても針でチクッと刺して起こした。この針、実はルイスの作った魔具で不寝番の時によくお世話になりました。刺すとすっきり目が覚めます。けっこう便利。


「どこまで聞いてました?」


「む…息子を止められなかった私にも責があると…」


 よしよし。気絶しつつも大体は聞いていたらしい。説明は不要だね。


「この国の存続は冗談抜きで貴方の謝罪にかかっています。私の本当の婚約者は私に危害を加えた人間、言い寄った人間、彼と引き離そうとした人間に一切容赦がありません。私よりも残忍かつ苛烈な手段を取るでしょう」


「現時点で王太子(クソ)はスリーアウトだな」


 王太子(クソ)は静かに泣いた。学習能力があるらしく、声は出さなかった。


「正直、簡単には死ねないと思っといて」


「ルイスだもんなぁ…今回、わりと冷静に魔王とかを連れてきたのも逆に怖い」


「…………………うん」




 まったく否定できない。





 マオ君より父様よりお兄ちゃんより、ルイスがどんな反応するかが恐ろしい。


「魔王はエルシィに絶対服従だから、聖剣の呪いがなくても大丈夫だよな」


「…うん。マオ君は話せばわかる。わからなかったら拳で語るから問題なし」


「…それは問題なしなのか?………まあ、よし!ヒルシュ伯爵は俺がどうにかする」


「うん」


 父様はシルスがお気に入りで、本当はシルスと結婚して欲しかったらしい。シルスなら大丈夫。


「お兄ちゃんは多分さして怒ってないから。私よりも国益を取る。頑張って誠意を見せてね。ただ、誠意が足りないと他を積極的に唆してこの国を滅ぼしちゃうかもしれないから気をつけて」


 国王陛下の肩をポンと叩いた。なんか、長年尽くしてきた会社にリストラを言い渡された中堅社員ってこんな感じ?


「「問題はルイス」」


 シルスに対して八つ当たりをする可能性が高いので、私とジェリーちゃんでやるしかない。


「ジェリーちゃん、ルイスはどうしてる?」


『百聞ハ一見ニシカズデス。オ見セシマス』


 ジェリーちゃんの視界とリンクする。マイダーリンが鉈を磨いでいた。呪いの言葉を紡いでいらっしゃった。


「…シルスさん」


「ん?」


「ルイス様はとてつもなく荒ぶっておいでです」


 状況を説明したところ、シルスは真顔で返してきた。


「想定内だろ。ルイスはお前にいい顔してるだけで、お前がいないときはそんなもんだ。ルイスこそお前以外じゃどうにもできん。魔王はまだ話がわかるし、ルイスにドン引きだろうから最悪魔王も引き受ける」


 魔王以上に実弟が厄介だと判断したシルス。私の仕事はルイスを鎮めることに決定したようだ。

 正直、この城を制圧するよりも大変な気配がして仕方ない。




「とりあえず、城を無血開城してください」


 私は私なりに頑張るだけだ。そして、なんで味方を迎え入れるのにこんなに緊張しなきゃいけないんだとツッコんだりしない。しないったらしない!!

わりとどうでもいい補足。


 ルイスは基本エルシィの前で猫をかぶっていますが、エルシィはそれなりにルイスの所業を知っています。

 ただ、あくまでもエルシィが知ってるのは一部なのでシルスの方が把握しているし、エルシィより危機感があります。

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