ルイスのお料理教室
家に到着した。いやあ、今日は充実していたね!しかし、まだ最後のイベントが残っているよ。ルイスとお料理だ!
私は今までの私ではない。私が今まで失敗していたのは、精霊さん達のイタズラという妨害があったからだ!それがない今、普通に料理ができる…はず!
「エルシィ、これ使って」
渡されたのは小ぶりなナイフ。妙に手に馴染む。
「使いやすそうだね。これ、どうしたの?」
「職人さんに習って作った。包丁より扱いになれてるでしょ?」
「うん!ありがとう!」
ルイスはどこを目指しているんだろうか。もはや伝説の装備品職人になれそうな気がする。
皮剥きとかは普通にできる。むしろナイフのおかげで非常にスムーズだ。
今日はシチューなんだって。日本みたいに固形ルウなんか存在しないから、ソースはルイスの手作りです。
「野菜は大きさを揃えてね」
ソースは精霊さんがお手伝いしてくれているらしく、火加減もかき混ぜるのも自動になった。
普段なら『わぁすごい!』ぐらい言う私だが、今はそれどころではない。
なぜなら私の背中に天使がいて、文字通り手取り足取り教えているからだ。
「少し角を取ると………」
ルイス先生!不出来な生徒でごめんなさい!
先生からいい匂いがするし、耳に息が当たってるし、手は握られてるしで全く集中できねえええ!!
今、私の背中にルイスがぴっとりくっついて、私の手にルイスの手が重なった状態で切り方を教わっているのです。
ルイスの顎が私の肩にあるのです。
「大丈夫だよ、エルシィ。もう少し力を抜いて」
ふぎゃああああああ!!
なんかもう、ルイスがエロヴォイス!!私が穢れているせいか、なんかルイスの声とセリフがいかがわしい!!
「?なんで余計力むの?力抜いてったら。痛くなっちゃうよ?」
力の限りナイフを握りしめる私に気がついたルイスが、手を撫でた。
「ひゃっ!?」
「え?そんな驚かなくても……?」
ルイスがついに、私が真っ赤になっているのに気がついてしまわれた。
「……なんでそんな顔してるの?」
「そんなってどんな…?」
鏡がないからどんな表情しているかがわからん。
「涙目、上目遣い、顔は真っ赤で困惑した表情」
「…あざといね」
「うん。すごい可愛いけど、どうしたの?難しくて困ってるとかじゃないよね」
どうしたかって?それは…
「る、ルイスを意識しすぎて緊張なんかしてないから!ルイスからいい匂いがするとか、目を伏せたらまつげ長くて綺麗とか、吐息がくすぐったいとか、ルイスの手が私より大きくてやっぱ男の子なんだなって思ったりしてないから!密着しすぎて鼓動が伝わらないか心配だったり手汗はんぱないかが心配だったりとかしないから!!」
「…………………」
ルイスが真っ赤になって床に転げた。何やら悶えてらっしゃる。
「エルシィが可愛すぎて辛い…普段押しまくるくせに僕がちょっとひっついたぐらいで緊張するとかなんなの?煩悩よ、去れ。僕の使命はエルシィに美味しいご飯を食べさせること…エルシィが美味しそうと思ってもかじってはいけない…己の使命を思い出せ……」
ルイスは転げながらなにやらブツブツ言っている。大丈夫だろうか。いや、大丈夫な気がしない。
「ルイス?」
「いや、なんでもない。続きをやろうか」
そして、下ごしらえをしているのだが……
「ひゃっ!?」
「あ、ごめん」
うなじを撫でられた!いや、これ絶対わざとじゃないの?私はルイスを涙目で睨んだが、ルイスは色気駄々漏れスマイルを見せただけだった。
「な、なんでイタズラするの!」
「エルシィ、力んでるから力を抜いてもらおうと思って」
「きゃう!?み、耳は…」
耳をはむはむされている!あばばばばば!!
「エルシィだってよくやるじゃない。だから…いいよね?」
いいわけあるか!と言いたいが、力が抜けてそれどころではない。立つのもやっとだ。
「エルシィ」
「…………………(ぷい)」
「エルシィ」
「…………………(ぷい)」
結局ルイスに弄ばれた結果、腰が抜けてご飯を最後まで作れませんでした。ふんだ!私は怒ってるんだから!
「拗ねてるエルシィも可愛い」
ルイスよ、反省してないな?まぁ、私もルイスにかまわれて嬉しいから…実はそんなに怒ってないけどちゃんと何が不満だったかは伝えておこう。
「…ルイスとちゃんと最後までご飯を作りたかった」
「……うん、ごめん。エルシィが可愛すぎてつい……煩悩に完全敗北しました」
苦笑するルイス。しかし、あれだけ誘惑してもダメだったのに何故…?あ、北風と太陽的な感じ?
「次はちゃんと最後まで教えてね」
「うん。約束する」
「じゃ、許してあげる」
ルイスをぎゅうっと抱きしめて、許してあげました。また教わればいいしね。
夕飯に食べたルイスのシチューは今日も美味しかったです。




