やりたいこと、ちょっと脱線
ちゃんと仕事しているまともそうな店員さんが、ジュースとパフェを運んできました。
「ごゆっくりどうぞ。店長、ちゃんと働かないとオーナーにチクって給料大幅にダウンさせますよ」
「喜んで働かせていただきます!!」
店長さん以外はしっかりしているようだ。ホッとした。
それにしても、ベッタベタなラブラブバカップルメニューだな。流石は特別仕様。
ジュースもベタに先はひとつだが吸い口はふたつ。真ん中がハートになってるストローにハートに切られた果物が飾られている。
「エルシィ、あーん」
「あーん」
私のルイスからのあーん!天国はここに……ん?
「…んー?」
「どうしたの?」
「やっぱりルイスの作るお菓子の方が美味しいかも。なんかクリームが違う?」
ルイスによりすっかり胃袋をつかまれ、舌が肥えてしまったらしい。なんかクリームがイマイチな気がする。
「どれどれ?…そうだね。泡立てが足りない。切り方も雑。エルシィ、ちょっと待っててね」
ルイスがにっこり笑って立ち上がりました。これはあかん。私はルイスの職人スイッチを押してしまったらしい。
「お待たせしました」
そして机に並ぶルイス特製ラブラブスイーツ。あ、カスタードパイもある…いや、これはカスタードパイと見せかけて、カスタードアップルパイ!アツアツカスタードに、ハートのリンゴ煮…赤いのはワイン煮だから?
「美味しい~」
「そう?よかった」
「ルイス、ありが………」
「エルシィ?」
なんということだ。
ギャルソンエプロン!
カフェ店員衣装!!
うちのルイス、尊い!!
「エルシィ!?なんで涙を流しながら僕を拝むの!?」
残念な店長さんが親指をグッと立てた。私も親指をグッと立てた。お姉さん、グッジョブ!!
「いや、ルイスが素晴らしくて…すごくカッコいい。似合ってる。今すぐ結婚しようか」
「落ち着いて!まだ年齢的に結婚はできないから!」
「すいません、この制服売ってくれませんか!?なんなら倍額出しますから!」
すっかり残念さを発揮する私。だってカッコいいんだよ!
「…エルシィはこういう服が好き?」
「中身がルイスなら、なんでも好き。コックコートも女装も似合うと思う」
「女装はしない。コックコートは着てもいいけど」
「マジで!?あと、騎士服!騎士服着ない!?正装版!絶対似合うよ!魔法騎士の制服!!」
「そう?騎士服は別にかまわないけど…冷める前におやつ食べてね?はい、あーん」
ギャルソンエプロン姿のイケメンマイダーリンにあーんをされるなんて……幸せ……
「美味しい…この飴、綺麗でカリカリパリパリ…クリーム最高!」
「エルシィ、これは?」
「美味しいぃぃ…」
はっ、おやつが美味しすぎて忘れてたけど、ルイスにも食べさせなきゃ!
「ルイス、あーん」
「ん…」
ああ、楽しい!一緒にパフェやお菓子を食べさせあう。照れながらだけどルイスも幸せそうだ。
「ありがとうございます、店長さん。まさか、ルイスにカフェ店員さんのコスプレがこんなににあうなんて…」
「お嬢さん…私とズッ友になってください。貴女は、私に近い萌えスピリットを持っている…私にはわかる!!アキハバーラ!!」
お姉さんはジャッポネーゼのじゅもんをとなえた。
「ま、まさか貴女は…乙女ロード!コミーケ!!」
エルシィは、OTAKUのじゅもんをとなえた。
「お嬢さん…やはり貴女は私のソウルメイトだったらしい。お名前は?」
「エルシィ=ヒルシュです」
「エルシィ=ヒルシュ!?店長!今すぐ土下座してください!!誠心誠意無礼を心から詫びれば許してもらえるかもしれません」
真面目な店員さんに無理矢理頭を下げ…いや、床に額をぶつけられている店長さん。いや、そもそも怒ってないし。
「あの、別に怒ってないです」
「マジですか!?ありがとうございます!超心が広いお嬢様に感謝しろよ、馬鹿店長!クソ貴族だと靴をなめろとか言ってくるんだからな!?」
店員さんは貴族にひどい目にあわされた事があるんだろうか。今もクソとか言ってるし、とんでもない失言をぶちかましたのかもしれない。
「いや、しかしまさかヒルシュ領のプリンセスとは思わなかったよ。お詫びにサービスしちゃうよ」
この店には個室があったらしい。知らなかった。そして、私は今………
萌えの伝道師と化していた。
猫耳と尻尾。メイド服のスカートはマイクロミニ丈。屈むとパンツが見えてしまう。当然ガーターストッキング装備です。
「ご主人様…」
ルイスにひざまずいて上目遣いでおねだりをする。
「可愛がってほしいのにゃん…」
ルイスのハートを盗る猫ですぞ!店長さん、私は頑張るよ!!
しかし、この衣装無駄にエロいなぁ…上からだと胸が丸見え……めっちゃルイスが胸を見てた。
「ご主人様のえっち…」
慌てて胸を隠して拗ねたふりをしたのだが…
「ぐふっ!!」
ルイスが鼻血を噴き出して倒れた。
「ルイスううう!?」
すげー鼻血!!と、とりあえず止血!?
ルイスを抱き寄せて回復魔法を発動した。
「ちょ!エルシィ胸が当たってる!余計止まらないから!!」
「ルイスったら、えっち~。変なこと考えたでしょ」
「好きな子がえっちな格好してても平静でいるのは無理だから!反応しないのは不能だから!思春期男子の妄想力を甘く見ないでよ!僕、そこまで枯れてないから!!」
とりあえず、メイドさんごっこをして楽しく過ごしました。ルイスは何度も鼻血噴水を発生させたよ。店長さんと今度色々お話ししようと思います。




