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やりたいことをしよう

 さて、お兄ちゃんがいなくなったし今日は特に予定もない。


「ルイス、デートしよう!」


「うん!」


 ルイスのやりたいことを消化するんだ!


「ピクニックして膝枕して、恋人の木でキスして、カップル限定のパフェを食べさせあって、帰りに手を繋いで食材買ってきて一緒にご飯作ろう!」


 我ながら完璧なデートコースではないか!


「…………………………」


 ルイスが真っ赤になって倒れた。なんかウゴウゴしている。


「ルイス!?大丈夫!??」


「………大丈夫じゃないよ!そんな一気に僕の夢を叶えたら、破裂する!!」


「何が!?」


 よくわからんが破裂するのは困るから、変更すべき?


「………減らす?」

「いや、耐える!耐えるからやろう!全部やろう!」


 何に耐えるんだろう。破裂は耐えられるものなの??

 

 とりあえずせっかくのデートだからこないだルイスに贈られた可愛いお洋服を着ようとしたら、ルイスにこれを着て欲しいと頼まれた。


「わ、動きやすい」


 ルイスが渡したのはブラウス、カーディガン、なんちゃってキュロットスカート。この世界では画期的なのではないだろうか。一見巻きスカートにしか見えないが、中は七分丈のキュロット…いや長いからズボン?になっている。


「ルイス、ルイスはやっぱり天才だね!」


 私が着替えている間に軽食を用意してピクニックの準備万端です。嫁が有能すぎる!


「うん、やっぱり可愛いね。今日はちょっと活動的に髪をまとめて…メイクは可愛い系でいいかな?」


「うん!お任せします!ルイスの好きにしていいよ。ルイスに可愛いって言ってもらいたいから」


 ヘラッと笑ったら、ルイスが倒れた。


「ぐうっ…エルシィが可愛すぎて辛い……」


「……………」


 私の可愛さは凶器レベルなんだろうか(エルシィはこんらんしている)






 どうにか復活したルイスと近くの湖に行った。今日はピクニックだけど少し遠いので実家から借りた馬で移動してみた。

 湖は一種の聖域だから魔物は来ない。うちからは比較的近いが町からは辺鄙なとこなんで人はめったに来ない。


「んんん…おいしいぃ…!」


 ついたら昼前だったので、先ずは昼食。ルイス特製のサンドイッチとスープを食べたらメインイベントですよ。今日もルイスのご飯は美味しい。


「ルイス、おいで」


 膝をてしてしする。色気のない誘い方だけど、ルイスは真っ赤になって固まった。


「お、お邪魔します…」


 おずおずと私の膝に頭を預けるルイス。頭を撫でるとビクッとしたが、大人しくしてくれている。耳まで赤い。髪はサラサラで極上の撫で心地だ。


「お、落ち着かない…」


 とか言っていたが、ルイスは耳かきしていたら寝てしまった。


「可愛い…」


 穏やかなルイスの寝息。柔らかい光と、輝く水面。穏やかな時間に、心も穏やかになっていく。







「!??」


 しばらくして、ルイスが跳ね起きた。


「あ、おはよー」


「寝てた!?僕寝てた!?」


 ルイスはアワアワしていた。読みかけの本に栞を挟み頷いた。


「うん。寝顔が可愛かった」


「かわっ!?いや、ごめん!エルシィを放置して寝ちゃうなんて!いくらエルシィがいい匂いでふとももが柔らかくて心地よかったからって、本当にごめん!!」


 私、いい匂いでした?筋肉で硬くないか不安だったけど、心地よかったのなら嬉しい。


「えへへ、本読んでたし平気だよ。ルイス、疲れてたんじゃない?いつでも膝枕ぐらいするからね。ルイスが心地いいならいくらでも膝を貸すよ!」


 ルイスはうっかりいい匂い発言やらをしたことにあーとかうーとか暫く呻いていたが、あまり時間もないので馬に乗ってもらいました。ちなみにルイスが後ろです。本当は前が良かったんだけど、ルイスが前だとルイスの方が身長あるから前が見えないんだよね。


 馬を軽く走らせ町方面に移動すると恋人の木はすぐである。昼間だからか珍しく人がいない。定番デートスポットの恋人の木にはたいがいバカップルが来ている。特に夕方にたくさんいる。ここでキスした恋人は永遠に結ばれるらしい。


「ルイス…」


 期待に満ちた瞳でルイスをみつめた。ルイスは真っ赤になって固まっている。ルイスは『恋人の木でき、きききキスしたい』って言ってたから、きっとしてくれるはずだ。期待してルイスをみつめた。





 おい、大丈夫かよ。






 思わず口に出さなかった私を誰か誉めてくれ。いや、ルイスは顔から湯気が出そうというか、人類はここまで赤くなれるのかってぐらいに赤い。もはや顔色ヤバくね!?とチャラ男がチャラさを忘れてガチで心配するレベルでヤバい。


「…大丈夫?」


「だいじょーぶいっ☆」







 ダメだこりゃ。







 口に出さなかった私を誰か誉めてくれ。


「…………やめる?」


 ルイスは首を必死で振る。ナニこの可愛い生き物。私の中の狩猟本能が刺激される。ちょっとかじったらだめだろうか。


「し、したい…」


 これ、録音…いや録画できないだろうか。羞恥で頬を染め、目を伏せて口元をおさえながら囁くようなか細い『したい』って…

 私の中で乙女と肉食女子が戦って…肉食圧勝した。乙女って攻撃力なさそうだもんね。明らかに戦闘力差がありすぎた。乙女逃げてぇぇ……ん?


「エルシィ…………すき………」


 脳内で乙女と肉食がバトルを展開している隙にルイスは覚悟を決めたらしく、チュッと可愛らしいキスをくれた。


「な、なんか…いざするってなると…恥ずかしいね」


 照れ笑いするルイス…



 天使(エンジェル)!!



 この穢れた世界に舞い降りた天使!私に捕獲されて天国には帰れない(エルシィはこんらんしている)


「エルシィ?」


「ごめん。ルイスは天国に帰さない」


「……………何の話?」


 ナニ言ってんだこいつって表情されて、冷静になりました。


「大丈夫。恥じらうルイスが天使みたいでときめき過ぎて思考が明後日までブッ飛んだだけ」


「……それ、大丈夫?」


 持病だから無問題(もーまんたい)です。しかし、あれだね。ルイスと恋人兼婚約者になってから初めてのデートだからかこう…耐性がお互いに無さすぎて愉快なことになってる。


 まぁ、幸せだからいいんだけどね。人がいないのをいいことに、ルイスにひっついてセクハラしました。



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