はじめてのおつかい
なんというか、ちょくちょく討伐依頼が来ちゃうのでいまいち花嫁修業が捗らない今日この頃。ルイスにおつかいを頼まれました。
「はい、買う物は書いてあるからね。他にいい食材があったら買ってきてね。ちゃんと値切るんだよ」
「はーい」
ドードー鳥のモモ肉、ルッコラ、ハーブを数種類……全部森で狩ってこれるものだね。買うより狩った方が早いかも。節約にもなるよね!よーし、いいお嫁さんになれるよう頑張るぞ!
ドードー鳥は罠を仕掛けておき、ハーブとルッコラは近所の農家さんが分けてくれた。お礼に屋根の雨漏りを修繕した。その後罠に狙い通りドードー鳥がかかり、そのドードー鳥を食べようとしていた闘牛鳥も狩ることができた。大漁である。
さらにデザートにヤマモモをたっぷり収穫して帰宅した。ヤマモモは私とルイスの好物だ。きっと喜ぶ。
「ただいまー」
「お帰りー。たくさん買ってきたんだね……あれ?お金が全く減ってない…エルシィ、どうやって手に入れたの?」
「え?ドードー鳥は罠仕掛けた。闘牛鳥は罠にかかったドードー鳥を食べようとしてたからおまけで狩った。ルッコラとハーブは村のゼフじいさんが分けてくれたから、お礼に屋根の雨漏りを直してきたよ。ヤマモモもたくさん採ってきたんだ!」
「そう…狩ってきたんだね………ゼフじいさんの方はいいことしたね。わあ、ヤマモモもたくさん…夕飯のデザートにして、残りはジャムにしようかな」
「わーい、楽しみ!獲物は新鮮な方がいいから捌いてくるね!」
「…まさか買い物に行かせるはずが狩ってくるなんて…エルシィは何があっても生き延びそうだなぁ…」
幸い、肉を捌きに行く私にルイスの呟きは聞こえなかった。
裏庭でドードー鳥と闘牛鳥を精肉する。果たして、闘牛鳥は鳥なのか牛なのか…顔は牛…上半身も牛……下半身は鳥……味は部位で異なる。上半身は牛っぽい味。下半身は鳥っぽい味がする。まあ、どうでもいいか。
ついでに燻製も作り、精肉したモノはルイスに渡した。ルイスは今日の夕飯をステーキにすると言っていた。楽しみー。
夕飯のステーキはヤマモモソースが絶品でした。焼き加減も絶妙で肉汁滴ってました。
「ルイス、天才!肉がとろける~!おいしい!おいしいよ、ルイス!おかわり!」
「ふふ、おかわりたくさんあるからね。エルシィが新鮮なお肉を狩ってきてくれたからだよ」
「ううん、私だと串焼きぐらいしか出来ないもの!ソースが最高!ん~!しあわせ…」
「エルシィは本当に美味しそうに食べるなぁ…うん、おいしい」
お互い笑顔の夕飯となりました。ルイスがにこにこしてると、ごはんがもっとおいしくなるのです。一緒に暮らせて、毎日幸せです。
お風呂後はルイスが私の髪を魔法で乾かしつつ、丁寧に櫛ですいてくれる。同居してから私の髪は毎日ルイスが結い、ルイスが手入れをしている。
自分でやったら櫛が折れたのは苦い思い出である。ルイスの手入れがいいのか、髪は侍女達に手入れをされていた時より艶々している。そういえば…肌の調子もいいな。ルイスのバランスがとれた食事のおかげかもしれない。
まあ、しょっちゅう修業でアウトドアしまくってたせいもあるけどね。
ちなみにルイスの髪は私がすいていますが、ルイスの髪はサラサラストレートなので触り心地がよいし艶々なのです。
「ルイスの髪、綺麗だよね」
「僕はエルシィの髪の方が好きだけど」
「……私はルイス(の髪)が好きだなぁ」
「……………ぐは!」
ルイスが急に丸まった。何故だ?しかし、これでは櫛が使えない。
「ルイス?丸まったら櫛が使えないよ?」
「……ごめん。髪だとわかってても動揺した」
「?」
「いいんだ。続けて」
ルイスは耳が赤かった。のぼせたのかな?髪をリボンで軽く結ったら、フラフラと部屋に戻っていった。やっぱりのぼせたんだね!
ちなみに家の分担は
掃除➡私とルイス
料理➡ルイス
洗濯➡ルイス
買い物➡ルイス
出稼ぎ➡私
あれ?
なんか、ルイスが奥さんで私が猟師か冒険者の旦那さんみたくなっているような…………き、気のせいだよ!私、節約できるいい奥さんにきっとなれるよ!ルイスの嫁力が高いだけだよ!
私はしばらく己に言い訳をするのだった。
本日のエルシィの成果
職業レベル
・聖女 99【MAX】
・勇者 99【MAX】
・狩人 85【+1】
・村人 23【+1】
・大工 32【+1】
・嫁 -35【+1】
・女子 8【+1】
・狩人➡獲物ゲット
・村人➡じいさんと仲良くなった
・大工➡雨漏りを修繕
・嫁➡旦那をときめかせた
・女子➡ちょっとかわいくなった(ルイスのおかげで)
取得物
・ドードー鳥の肉
・闘牛鳥の肉
・ハーブとルッコラ
・ヤマモモ