アルハレナカッタヒ
やっと続きです!
待っていてくれた方がいるのかは分かりませんが(笑)
とはいえ、プロローグだけなので短いです
二、三日中には続きを上げたいな……○| ̄|_
雨の日だった
それは、晴れの日の憂いを洗い流すかのような
はたまた、晴れ間を除かせる前に、精一杯英気を養おうとしているかのような
そんな、雨の日だった
瞬間、灰色の宙空にスッと、一文字の亀裂が走った
亀裂は、ゆっくりと時間をかけて線から面へ、そして面から円へと姿を変えていく
そして、円が丁度直径一メートルほどのフラフープ大まで広がった頃だろうか
それは、突如としてこの世界に舞い降りた……
雨の日だった
一人の、まだ幼い少女がぼんやりと窓の外に広がるモノクロの世界を眺めていた
少女は、目を瞑り、一つゆっくりと息を吐いた後、
目の前に現れた存在に目を見開いた
「……わぁ」
小さな感嘆の声を上げた後、少女は手に持っていた一冊の絵本に視線を落とし、
顔を上げた。
瞬間、
「……!」
先ほどまで確かに「存在」していたはずのものが消えていることに気づいた
「……?」
少女は少し考えた後、いつものようなおっとりとした口調で、
「みぃちゃった〜み〜ちゃった〜♪水のようせいさん見ちゃった〜♪」
自作の歌を調子はずれに歌いながら廊下を歩き出した
雨の日だった
一人の少年が、鏡に映った自分の背中を眺めていた
上半身裸で、体と首をひねり、一見すると少しばかり悩ましげなポージングにも映るが、
彼に露出やナルシズムといった前衛的な趣味は無い
唯一、彼が気にしているのはその色素の薄い肌に浮かび上がった、
薄いピンク色の痣だった
それは、一見すると何かの文字のように見え、
一見すると小さな翼のようにも見えた
少年はしばらく、体をひねり、首もひねり、
背中のそれに視線を送るという作業を続けた後、
諦めたように、Tシャツの中に痣をしまった
少年自信もいつできたのか?
いや、
いつ「浮かび上がって」きたのか分からない痣は
少しばかりの熱量をどこへでもなく放っていた……