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漆黒の青山  作者: 山田遼太郎
メインエピソード
8/22

第四話~幸福の青山②~

EROGE回第二弾、電気街からお送りします。

前回、予想だにしなかった反響をいただいて、作者は戸惑いながらも嬉しく思っております。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします!

みんなー! EROGEしようぜ!

[side:青山 晶]


 四月二十七日 十一時三十分 とある秋葉の超電気街ヲタシティ


「ふふ、サイテー……こんなコトされてよろこぶなんて兄貴ってマジキモいよね。ほらほら、イ〇んでしょ? お願いしてみなさいよ、もっと踏んでくださいってさぁ……」


 メメちゃんは、全国の豚野郎共を見下すような冷たい目付きで、黒タイツに包まれたあでやかな『おみ足』を振り上げてみせる……。


「……などという台詞がケースの裏に書いてあるゲームソフトなのですが、ご存じないですか?」


 そうたずねられた通行人は、あんぐりと口を開けて首を横に振る。


「やめてえぇぇメメちゃーんっ!」


 ぼくは天下の往来で、苦悩の叫びを轟かす。

 妹にエロゲの趣向をバラされるってどういう羞恥プレイ?


「そうですか。お忙しいところ呼び止めてしまって、申し訳ございません」


 丁寧にお辞儀するメメに向かって、通行人は鼻息を荒くしつつ、


「あの、いいんで。今のやつもう一回だけお願いできます?」


 真顔で世迷い言を吐き出した。なんて事だ、訓練された紳士であったか。


「ほらもう行こう行こう! ね! ……しっ、失礼しましたぁーっ!」


 とりあえず平謝りしてから、妹の腕を引っ張って猛烈ダッシュするぼく。


「そもそも今、お店に向かってるんだってば! 急がないとなくなるゥ!」


「そ、そうでした忘れてました……その、あの……でも、お兄さん」


 慌てて足を合わせたメメは、なぜかほんのり頬を染め、そわそわしてる。


「手、つないでますね……」


 うつむきがちの彼女の口から、因果を超越して敵を討つ伝説の槍みたいな言葉が飛び出し、ぼくの心臓を貫く。殺しにきているというのか、童貞を。

 心なしか、道をすれ違うオタク達の視線が痛い。


「あぁ? なんだあいつら、もしかして既に絶滅したというリア充的なアレ? 見せつけてんじゃない?」


「氏ねし(直球)」


「爆ぜろし(爆)」


「呪ってやる」


「祝ってやる」


 口々に襲い来る声声声!

 待ってくださいよ! どっちかというとぼく、あなた達側の人間ですよ? そもそもなんでカップルだと思われてんだ、この子は単なる妹、で……。

 でも、おてて、やぁらかい。

 いやいやいや、しっかりしろ! と全力で首を振る。義理の妹とただ買い物に来ているだけで、何でもない! こんなのデートなわけない! ない!

 立ち止まってケータイを操作し、ヤブー知恵袋に質問を打ち込んでみた。


『血縁関係のない妹との買い物はデートに含まれるんですか?』


 即答で返ってきた返答が、『黙れカス』。世界がぼくの敵になってる!? ググれカスですらないだと?

 心の中で絶叫するぼくの耳に、くぅ~んと小さな音が聞こえてきた。見ると、メメちゃんがお腹を押さえてしゅんとしている。顔はさっきより赤い。


「あ……もしかして、お腹すいた? だ、だよね、もうすぐお昼時だしね。店行く前にどっかによって、軽く食べてからいこっか」


 提案したら、彼女はふるふると全身を揺さぶりながら拒否した。可愛い。


「いいです。そんな道草していたら、えろげが無くなっちゃいますし……」


 ちょっとむくれた顔で呟く姿が、妙に光り輝いて映る。

 どうしてだ? 意識してるっていうのか? ぼくは、妹のこの子の事を。


「我慢しない! いいから来るんだよ、ほら!」


 惑う気持ちを振り払うべく、ぼくは半ば強引にメメちゃんをリードする。背後で上がった、「あっ」という短い悲鳴にすら、心臓が激しく動悸する。

 なんだよこれ? なんなんだ。




 うさみみメイドカフェ『心ぴょんぴょんハウス』。

 目的地からできるだけ離れていない近場の喫茶店を探し求めた結果、仕方なくここを選択した。

 ドアを開けると、カランコロンと鈴が鳴る。クラシックな雰囲気漂う店内で、ウェイトレスがプロ意識フルスロットルの営業スマイルを向けてきた。全員が色違いのエプロンドレスと、兎の耳付きカチューシャを着用しとる。


「ご主人様にお嬢様、お帰りなさいませ! さみしくて死ぬとこだったぴょん!」


 怖いな! なんだそのキャラ! とぼくは内心恐々としたが、メメはちゃんは、いたく感動したご様子でまなこをきらめかせている。


「ふおおおお、カワイイぃ~っ! わたし、こういうところ初めてです!」


「そうだね可愛いね……ハハ、ぼくも初めてだよ。さて座ろうか」


 二人で窓際の席につく。ぼくは真っ先にメニューを確認し、唸った。やはりというべきか、どれも結構えぐい値段するな。オムライス九百円か……!

 まァ去年バイトで稼いだお金を余分に持ってきてるし、大丈夫だろ。

 思案してると、うさぎ耳に燕尾服を合わせたイケメンウェイターが、スタッフ名とイラストが載ったプラカードを持ってくる。


「ご新規様に当店のサービスを説明させていただきますぴょん! 名簿からお好みのうさぎを選んで、餌をあげたり撫でたりして可愛がれますよお!」


 風営法にえらく攻め込んだシステムだなぁ!? 大丈夫なのかここ?


「えー! じゃあ~、この端っこのうさぎさんでお願いします! 楽しみですねえお兄さん! どんな子が来るんでしょうね?」


「かしこまり! おーいサミーちゃん、ご指名だよ~!」


 メメちゃんが無邪気に楽しんでるから良しとしよう。誰を選んでもさほど変わらんだろうし、写真とかはないわけだから本人が来るまでわからんし。


「はーい! 拙者、サミーと申す者ぴょん! 可愛がってほしーぴょん!」


 キャラ盛りすぎてワケわかんない一人の少女ウェイトレスが、近くのカーテンの向こうから現れた。わざとらしく内股を作り、アヒル口を意識したと思われる愛嬌抜群のスマイルで、ふりふりと耳を揺らしてポーズを決める。

 うわー、これできるって相当メンタル強いなと、ぼくは感心してしまう。

 でも、うん、やっぱもったいない気がするや。サラサラの黒髪ストレートがとても綺麗で、眼鏡が知的な印象を与えるクールそうな美人なのに……。

 って、え?

 相手の顔を間近で確認して驚いたのは、向こうも同じだったらしい。


宇佐美うさみ?」


あきら、くん……」


 瞬時にして火を吹かんばかりに赤面した幼馴染みは、可愛らしいポーズで硬直したまま、おぼんを取り落としてしまう。

いかがでしたでしょうか。

前回、励みになる御言葉をくださった方々や、拙作を読んでくださった方々に感謝いたします!

今回も、ご意見ご感想お待ちしております! 切に!

次回は怪しげなカフェでの怪しげなサービスがあったり、ついにEROGEのお店にたどり着いたりしますよ。

御期待ください。


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