~終~
皆さんこんばんわ!
青山は一応の完結を迎えますが、よかったら感謝エピソードの方も覗いていただければ幸いです!
さて、お世話になっている皆様に今回お送りするのは、全くエピローグになってないエピローグになります。
解釈は受け取ってくださった方々に委ねます……
それではどうぞ!
[side:名無の組織]
■月■日■時■分 この世界の『外側』より
私は不愉快だった。
不愉快な出来事のあと、不愉快な気持ちのままで、不愉快な連中と顔を付き合わせ、不愉快な会話を聞かされる。この事実が何よりも不愉快だった。
『不協和音がひどいな、宇宙が軋んでいるようだ。どうなってる? あのような不確定要素、有史以来どの水泡でも観測されてないはずだ』
《さーあ、とんとわかりませんな。まるで未知数。だからこそ実に興味深いとも言える。まぁ、個人的には今後に期待したいところですわ。最近マンネリ気味だったし、ちょうど良いスパイスになってくれそうじゃないですか》
〈ふざけんな、お遊びじゃねえんだぞ? このまま好きにさせといて何もかも台無しになったら責任とれんのか、アァン? 無害なうちにブッ叩いて修正するっきゃねーだろう! ここで動かねーで、何のための『組織』だ?〉
〔そんな事よりお腹すいたよ!〕
連中の会議とやらはいつだって平行線で、一向に進展の気配を見せない。
こんなのは無意味に同じシーンが続く映画みたいなものだ。時間を金に変えて返せと叫びたくなる。
『軽率な発言は慎みたまえ、〈 〉くん。記録されているぞ』
〈ですが、『 』さんっ!〉
『我々の役目は何だ? 傍観者に徹し、あるがままを観測する事だ。組織がなぜ名無と呼ばれているか、そこから説明せねばならんか』
《ハッハ、言われちゃいましたなぁ?》
〈るせぇ……後で殺すからな《 》〉
〔ねぇ~、なんか食べ行こうよぉ~!〕
本当に愚かな、末端の末端の末端ども。自らの糞にまみれて死ねば良い。
まァそのさらに末端の走狗である私には、この失笑を禁じ得ない馬鹿馬鹿しいやり取りに口を挟む権限すらないのだが。まったく、腹立たしい限り。
『そういうわけでだ夘号、君には再び任務に戻ってもらおうか。此度の報告に感謝する』
「了解しました」
『うむ……世界に正しき終末を』
《世界に》
〈正しき〉
〔終末を〕
いつ聞いても肌寒い、合言葉の唱和が反響した。連中の気配が闇に溶けると、残った静寂だけが、かえって五月蝿いくらい肌にまとわりついてくる。
一息ついて髪に手櫛を入れながら、背後を振り向く。
そこには、内部の空洞を瑠璃色の液体で満たす、ガラスの柱が存在した。
中には『彼』が眠っている。
「やっと『二人きり』だね。ちょっと会いに来ただけだっていうのに……何でこんなに不快にならなくちゃいけないの? 一発殴ってもいいかしら?」
まァ無理なんだけど、と付け加え、無機質な柱を撫でる。
触れる事すら叶わぬ相手の温もりが、ガラスを通じて伝わってくるわけもないのに。
虚しい事とはわかっていても衝動を御しきれず、私は柱を抱くようにして体重を預け、全身を幾度となく擦り合わせていく。顔を、胸を、脚を……。
息が荒くなり、脳髄は恍惚に蕩ける。
彼の唇に最も近い部分に、自らの唇を宛がう。
案の定、ひんやりとした感覚が伝わるだけだ。
まるで自慰そのものじゃないか、恥ずかしい。
私は自分を嘲笑い、心の底から憐れんでから、もう一度語りかけてみる。
「ねぇ……いつまで『夢』を見ているつもり?」
返答はいつもと同じく無反応のはずだったが。
「●●●くんっ!」
私は思わず声を張り上げ、呼び掛けてしまう。
動けないはずの彼が僅かに、それでも確かに、
二つの瞼を開けたのだ。
いかがでしたでしょうか!
前置きにも書いた通り、これからも不定期に更新していきますので、晶くん達の新たな暴走とイチャイチャラブにもご期待ください!
それではまたお会いしましょう!
意外とすぐ戻ってきますが(笑)




