2話
15分程歩いてついた場所は寮の数倍ボロくて大きい建物。マリアさんが迷わず中に入っていくので慌ててついていった
ところどころにクモの巣があったり壁や床がボロボロだったりと、かなり不気味だ
機能していないエレベーターやエスカレーターを通り過ぎてたどり着いた場所は、階段の踊り場
マリアさんはしゃがみこんでボロボロの床になにかをかいている
「ふぅ……」
小さく溜息をついて今度はローブの中から杖を取り出した
その杖で床を一突きするとマリアさんがかいた魔法陣らしきものが光った
「ピレントリア」
静かにそう呟くと、ボロボロだった建物が洞窟のような場所へと変化した
「ごめんねサト君、誰かにつけられてたみたい。だからちょっと遠回りしたわ」
「大丈夫です、それよりも今のって……」
「魔法よ。さっきまでいたところは私が作り出した幻、そこからワープ魔法で魔王様の場所へつながる洞窟に来たの」
さっきまでの冷たい雰囲気とは打って変わって出会った時と同じように明るいマリアさんに戻っている
つけられてたって、一体何者……魔王様の手下か
「忘れてたんですけど、このカツラと付け髭はなんですか?」
「ああ、ゴンザレス……本当はここに来るはずだったおじさんの要望よ。おじいさん魔法使いのが強そうだからって」
一理あるな、これからも使おう
「それとこのローブの説明がまだだったわね、このローブは特殊な素材で作られていて魔王様の元へ行くときに楽に行けるわ。魔物やトラップに認識されないから手間が省けるの、魔王の手下の証みたいな感じね」
そんな便利なものだったのか
「だからこのローブを狙って襲いかかってくる馬鹿な奴もいるのよ、選び抜かれた者にしか与えられないこのローブを羽織ってるってことはレベルが飛び抜けて高いってこと。ざっくり言えばかなり強いんだから勝てるわけないのに」
「え、それって俺なんかが着てても大丈夫なんですか。雑魚敵すら倒したことなんてないレベル1の一般人ですよ」
「だから言ったでしょう、あなたには才能があるって。じゃなきゃゴンザレスの代わりなんてやらせてないわよ」
才能とか自分じゃわからない
話聞いた限りだと、マリアさんって相当凄い人なんじゃないか?
中ボスになる、なんて軽々しく言ったけどそれってかなり難しいことなんじゃ……
まあいい、今は魔王様への挨拶を考えることに専念しよう