1話
誰かの声が聞こえる
目を開けると、空が見えた
どうやら俺は初めての転生で気絶してしまったらしい、情けない
正直ここに来るまで99%マリアさんの言うことなんて信じてなかった
けど、さっきまでいたところとは明らかに違う場所に俺はいる
信じるしかないみたいだ
起き上がると頭を打ったのか、少しふらついたが立てるのでよしとする
マリアさんは前で誰かと電話している、さっきもしてたけど相手は魔王だろうか
キョロキョロと辺りを見てみると初めて見るものがたくさんあってなかなか楽しい
空飛ぶホウキや魔法のじゅうたんはないけど見たことのない食べ物や日本では考えられない服装。
俺の服装はどう考えてもここだと浮くと思ったが、誰一人不思議そうに見てこない
他の世界からこの世界に人が来るってことはそこまで珍しくないのか……?
「サト君、今から貴方の住むところへ案内するわ。クローゼットの中にこの世界の服があるから着替えてちょうだい。そのあとマオ・ウ様のところへ挨拶に行くわよ」
住む場所と着替えは用意されているらしい
生活するに問題はなさそうだ
案内されたのは寮みたいな建物
日本でいう「マンション」だとマリアさんが教えてくれた
三階建ての大きな寮
オートロック付きで性能は日本のマンションとそう変わらないようだ
俺の部屋は一階の六号室
マリアさんもここに住んでいて、三階の二号室らしい
言われたとおりに少し変わったデザインのクローゼットを開けて服を取り出してみる
黒色のローブに大きめのとんがり帽
それから杖らしきものに……真っ白なカツラと付け髭?
杖は木でできていて先に赤色の宝石がついている
念のためカツラと付け髭もつけてローブを羽織り、帽子を被って杖を右手に
外でマリアさんが待ってるから急いで部屋を出て入口に向かった
慣れないローブにイラつきながらもマリアさんの元へ走る
途中、ガタイのいい男にすれ違ったが挨拶はあとで行こう。なんたって魔王様だ、遅れたら半殺しにされそうだ
入口が見えてきてマリアさんを探した、しかしそれらしき人はどこにもいない
あれだけ目立つんだ、すぐわかるはずなんだけどおかしい
……いるのは入口のドアにもたれかかってる俺と同じローブの人
もしかしてあの人か
魔王様のところに行くときは全員黒色のローブを着用するっていう決まりでもあるのか
まあそんなことはどうでもいい、黒いローブを着ているマリアさんに話しかける
「いくわよ」
背中に冷たいものが走る
日本でのマリアさんの家に連れていかれる時に言われた「いくわよ」とは違って
まるで別人のように冷たく、恐怖を覚えるような声のトーン
……ビビる
魔王様に会うの、不安になってきた