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逃避行 よみがえる恐怖

朝になり日が登った。

いつものように、目が覚めまぶたを開けたけど、やっぱりこの世界である。

願いが叶えられなかった事を残念に思いながら蜘蛛糸警報装置を解除した。


朝になったら砦に戻ろうと思っていたが、どうしてもそんな気が起きない。


今の状況は二ヶ月くらい前までなら当たり前でいた生活状況だ。


暫くはこのままで良いかな。


アタシは誰も見ていないし作業着を脱いで包帯をほどき、裸になった、そして新しい回復包帯を出して巻き直す。


作業着は出来るだけ小さく折り畳んで包帯を巻き、今までハタキがあった腰にくくりつけた。



目標はオークの動向調査、期限など決めていないからアタシは二ヶ月前とは逆に北に向かい森の中を慎重に歩いて行くことにした。


沢山の人が住む砦に居たから感が鈍っていないか心配したが、そんな事はなく逆に鋭さが増したみたいだ。

戦いの経験があったからかもしれない。


鑑定はあってもステータスは見れないから何とも言えないけど、ゲームの様にレベルアップでもしたかな。


そんな事を考えつつ、途中になっていた土魔法を実験し、火魔法、水魔法、風魔法の可能性も模索しつつ日々を過ごす。


四日後にオークが大群で居た野営地の東側の森、キャサリンさんとジェニファーさんの火の玉魔術がオークに効果があると始めて知った位置に着いてしまった。


本当に調査と言うか偵察しにきたのなら、もっと手前でも良かったのだが、

目的がなくなったら砦に戻らないといけなくなると思い、ずるずるとここまで引っ張ってしまったが、

流石にこれ以上は引っ張れずに、諦めて森から出ることにした。



今のアタシにはマントが無いので、空中浮遊は出来ないけど、見る方向は決まっているので問題ないだろう。


アタシは気を足の裏に集めて垂直ジャンプをした。

頂点に達した後、久し振りの無重力を体験したが引力に引かれて地面に降り立つ。


あまりに想像外だった為、今見たものが信じられなかった。


深呼吸をして心を落ち着かせてから、アタシはもう一度垂直ジャンプをした。



野営地に居たのは、巨大なドラゴンであった。



ドラゴンは逃げ惑うオークの大群に首を突っ込み咀嚼している。


オークの肉の味は豚肉の様に美味しかった事を考えると、あの食べっ振りも納得である。


美味しいは正義なのだから。


時間を於いて三回目、四回目のジャンプを行う頃にはオークの一万に届きそうであった大群は、半分以下に減っているように見える。


散り散りに逃げているから何となくとしか分からないけど。


ドラゴンがオークの大きめな集団に向けて野営地から移動した時に見えた足元は大量のオークが潰されていた。


その後も執拗に追いかけては喰らっている。


暫くオークを追いかけていたドラゴンは満足したのか、羽ばたき一つで宙に浮き、北の空に消えていった。


その時に、アタシを見たような気がしたが、気のせいだと思いたい。


北の方向はアタシが現出した岩山がある方向である。


まさかと考えていた時にドラゴンが飛び立つ際に発生したと思われる強風が遅れて届き、ジャンプ中のアタシの身体を翻弄した。


なんとか体勢を保ち、無事に着地出来たが、考えている事は岩山で突風に吹き飛ばされて重傷を負った時のことだ。

今更ながら恐怖を覚えた。


あの時の巨大な黒い影はあのドラゴンでまず間違いないだろう。


なぜなら巨大な肉食生物が同じエリアに複数頭居られるはずはないからだ。

強いてあげるなら、つがいとその子供くらいだろう。



つがいとは関係無いだろうが岩山の裏にいた草食系ドラゴンもデタラメなサイズだった事を思い出す。



アタシは巨大ドラゴンの無慈悲な食事を見て興奮してしまっていたようだ、飛び去ってしまった今でさえ動悸が凄い事になっている。


興奮覚めやまないアタシは、今なら比較的安全に魔石を得ることが出来ると予想して野営地に赴いた。


予想は的中していた。


ドラゴンの脅威の直後だから、魔物どころか肉食動物も居ない、まして生きているオークも居ない。


アタシは次々にオークから魔石を取り出して、誰も居ないことを良いことに、盛大に作った蜘蛛の巣ネットに放り込む。

取れ高は上々で、これ以上は引きずって行くのも大変な量になったところで、この場を離れた。


ちなみにネットの下は丈夫で固い包帯をソリのように並べているので摩擦でネットが破けたりしない。


森の近くにまで戻ったときに、ジャンプして野営地を見ると、ゴブリン、コボルト、肉食動物が争うように死体を食べている。


もう一度ジャンプして逃げていったオークを見る。

完全にバラバラに散らばっていて、どこかに集結するそぶりも見えない。


これなら、オークの再進行は当分先であろう。


何となくほっとした。



落ち着いたところで、水魔法を使って、魔石に付いているオークの地肉を洗い流した。


洗い流しながら数えた魔石の数は、五百九十八個。


後二個で六百個丁度だったのに残念である。


オークの魔石の標準サイズである小石大がほとんどだが握りこぶしより遥かに大きい物も一つある。


意外とこの魔石の宿り主がオークの大群を率いていたリーダーだったのかも。


六百個近く集めたアタシが言うのもなんだけど、これは野営地とその周辺で圧殺されていたオークの死体から取り出したもの。


しかも、半分くらいしか回収していない。


喰われたのはその周囲にいたオーク達であって、死体が残る筈はない。


ドラゴンがどれだけ巨大だったかと考えると恐ろしく思う。


イワシの群れが何千、何万匹集まろうとクジラにはかなわない。


あんな巨大生物からしたらオークも人間もイワシみたいな物であろう。


どんな高性能の武器をもっていたところで、関係なくまとめて喰われるに違いない。


逃げ切れば勝ちと割りきって対応するしかないが、あの巨体が自由に空を飛ぶなんて。


羽ばたき一つで宙に浮く事を考えると、特殊スキルか魔法が使われていると考えるしかない。


元の世界の科学では、宙に浮くどころか、存在さえ説明出来ないだろう。



今度見かけたら何を置いてでも逃げ出すことにしようと思うマッキーであった。




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