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商人ギルド加入

年配の職員は『ピエール』と名乗り、試験官二人に急用が入って席を外したことを謝罪した。


商人と言うのは、客に弱いものだから、上得意の客でも来たのだろう、急用と言われればしかたあるまい。



この後はピエールさんが代わって手続きを進めると言うことだからアタシ的には問題なしである。



アタシは知っているはずと思いはしつつも改めて自己紹介をしてから続きを始めてもらった。


どうやらピエールさんはアタシのことを既に知っていたらしく、ネズミ駆除の噂を聞いて一度話しを聞いてみたかったそうだ。


この辺りはネズミは滅多に見ないが、中級商業エリアや低級商業エリアでは良く見かけるので、食品を扱う商売の場合、衛生面でも気にしないといけない。


この砦は長期的な拠点となるために、衛生面を考え建設当時から下水道をしっかり布設していたらしい。だが想定よりも街としての機能が充実してしまい、一般住居エリア以下では下水処理に不足が起きているとのことだ。

そのせいでネズミが大量に産まれており、なかでも低級商業エリアでは被害が酷いらしい。


今更下水処理はどうしようもないが、少しでも被害が少なくなるようにしたいと言うことであった。


確かに、その被害額は購入者に直接降りかかるのだから、アタシも間接的にネズミの被害者になるよね。



対処法なら幾つか思い付くことが出来るが、その前に十二歳の子供に何を期待しているのか気になったので聞いてみる。


どうやらネズミ駆除の際に、アドバイスを置いていったことに繋がるようだ。

アドバイスを受け実践している屋敷は被害が皆無となり、実践しなかった屋敷では、ネズミが再び現れたと言うことであった。


ネズミだって居心地の良い場所を選ぶのは当たり前だと内心思ってしまった。


だが、それだけハッキリ違いが出れば、ネズミの知識があることは明白であるので教えてほしいとのこと。



アタシは、暫し考えるそぶりをしてから、


「被害を軽減する対処法はある。あるけどあくまで対処法なので、根本をどうにかしなければネズミの被害を無くすことは出来ないよ。

アタシのメリットとして考えられるのは、被害額が減ることによる物価が下がることだけかしら。

デメリットとすればネズミの駆除依頼が減るってことかな」と、教えても良いけど報酬はいくらですかと遠回しに聞いてみた。


情報は金なり。世話になっている宿屋の親父や依頼を出してくれた人ならまだしも、商人ギルドに只で情報は渡せない。



デメリットと言っても、冒険者ギルドの依頼は安すぎて受注する冒険者はアタシくらいしか居ない。

それも星二個ランクになったので、砦から旅立つ為にもネズミの被害が減って依頼がなくなる方が良いのだけどね。



そんなことを考えていたら、ピエールさんが拍手と共に「合格」と言ってきた。


その後も、なにやら語ってきていたが、要するに商人の知識が本当にあるかテストをしたと言うことだ。


お金の保管庫として商人ギルドに入るならまだしも、商売をする気があるのなら、しっかり試験をする必要があると。


アタシは保管庫としての利用をする気だったのだけど、親父め。どんな紹介状をしたためたのか。



商人ギルドにもランクが当然あって、保管庫としてだけの利用は、費用は変わらないが出金の手続きをする度に額面に応じた手数料を取られる。


駆け出しでも商人としての登録なら手数料は取らない、その分早く稼いでくれと言うことだ。

その他、商人ギルド内の情報を閲覧できる。何処其処で何が不足しているとか豊作で過剰気味とか、都度書き込まれて資料室に保存されているらしい。


その後、身元保証のギルドカードを渡して金貨一枚を預けたら冒険者ギルドと同じ様に血を取られた。

やっぱり魔力は人それぞれで固有らしい。

魔力の波形は本部に送られてから全支部に行き渡ると言うことだ。

入金はいつでも誰でも出来るが出金は本人以外では死亡が確定しない限り出来ないから注意が必要であると念を押された。

それと最低でも年に一度は出金すること、それで生存確認をとることが出来るからだ。紹介状の内容から新商品の委託販売の売上の一部がアタシの商人としての稼ぎになるから、そこから年会費を引き落とす事になると言う。

冒険者としての稼ぎの扱いは、アタシの場合、副業扱いになるため、そこからは徴収しないそうだ。

冒険者より商人の方が格が上とされている。


商人ギルドからすれば、委託販売であっても収益は見込まれるので、本業は商人扱いとしたそうだ。


保管庫として商人ギルドに加入した冒険者は、本業は冒険者となる為、依頼完遂報酬からの計算となるが、ほとんどの場合、武器装備を修理買替えをすると必要経費として申請するので報酬がほとんど無くなり最低額しか徴収出来ないそうだ。



最後に、渡していたギルドカードが返されたので確認すると。

宝箱とビンに布が掛かる絵の刻印が追加されている。


宝箱はそんなイメージなだけでただの大箱かもしれないが。


どちらでもいいや。


ようやく商人ギルドに加入となった。



商人ギルドを出た時には、外は真っ暗だ。半日で済んで良かったけど、暗い夜道を子供一人で歩かせるなと思ってしまった。


そう言えばネズミ被害の対処法の話しはしなくて良かったのかな?


予想通り長くなった一日を振り返りながら宿屋に向かった。



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