表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/134

二つ名は勝手に広まる

たっぷり眠れて、気分爽快な朝だ。


寝る前に色々考えていたけど、気分爽快な目覚めでどうでもよくなった。


どのみち急ぐ旅ではまったくないので、オークの動向を見てから、そのあとに考えよう。


すぐにオークが砦にやってくると決まったわけではないし、もしかしたら来ないって可能性もあるしね。



オークが来ないと分かれば、後の事を憂いなく出発することが出来るよね。


そう思うことにした。



日課のラジオ体操もどきをしおえた時に、相変わらずベストタイミングで宿屋の親父に朝飯が出来たぞと声を掛けられた。


食堂でゆっくり朝御飯を食べているときに、親父に今度厨房を借りても良いかと聞いたら、忙しくない時間帯なら良いとのこと。


薪を含めた材料は、全てアタシが自分で準備。鍋などの調理器具は使用後に綺麗に後片付けすれば良いけど、料理に自信が無いなら買ってこいと。


鍋を焦げ付かすのではないかと心配らしい。


この風体なら仕方がないとは言え。トホホ……である。


頭を切り替えてギルドに行き、アランさんから聞いていた更新の手続きをしようと、やや混んでいる受付に並ぼうとしたら。


支店長が呼んでいると言う。今回の用件も知っていたらしく「更新の手続きはやっておきますからギルドカードを提出下さい」と言うので。指示に従いカードを預け応接間に行くと。


やや緊張した面持ちの支店長が声を掛けてきた。


「アランに伝言していた更新の手続きに来たところだと思うが、呼び出してすまない。今回呼んだ理由は……」


支店長の話しは、アランさんに聴いた内容と被るうえ長かったので、要約すると。


ギルドランクアップの理由として、討伐隊への貢献、魔力、魔法の実力が挙げられており、何故か討伐隊隊長及び副隊長からの推薦もあったとのこと。


副隊長には、偵察情報による撤退具申をしているので好意的に見て貰えているならば、分からないこともないが、隊長とは肉の配給量でぶつかっただけだからホントに分からない。


支店長にその事を聞いてみたが「能力に対してランクが低すぎる」と言われたということだ。


知らない間に過大な評価を貰えていたと思えば、頑張ったかいがあり嬉しいことであるが、何か裏がないかと勘ぐってしまう。


それから、まだ諦めていなかったのかアントニオ・バーンさんの娘でない事を確認された。前回の対峙を思い出し。


「アタシの父は、タローです。タローです。タローです。」


と言ったら「それは勘弁してくれ」と急に怯えだしたので、その後は普通に受け答えした。


バーン家からその後も問い合わせがあったが、アタシの父の名前を伝えた後、問い合わせは来なくなったらしい。


一先ず安心である。


その時に星一個になったら書いて貰える事になっていた書類を受け取り、次に更新されたギルドカードを受け取った。


銀色のプレートに刻まれているランクは星二個。

パーティ名『白い風』リーダー、クラン名『青く澄み渡る風』

裏面には『槍』が描かれていた。


槍の絵は見たことがなかったので不思議に思い聞いてみると。

裏面に描かれるのは主に使用する武器の絵となることが決められていると言うことであった。


なので斧を使う者は『斧』の絵、鞭を使う者は『鞭』の絵と比較的マイナーな武器まですべてあるらしい。


だが『ホウキ』の絵は無いらしく『槍』としたとのこと。


新しいギルドカードと書類を背負い袋にしまった。



その後、雑談となったときに、直ぐに旅立つのかと聞かれたが、もう暫く暫く砦に居るつもりですと、今朝考えていた事を話した。



話しが終わったので退出しようと席を立とうとしたら

「異名が ネズミ苦女子 にならなくて良かったな。これからも色々大変だろうが依頼も宜しく頼むぞ」とわざわざ言ってきた。


それを聞いて、アタシは『白い風』が広まったと思って「ありがとうございます。これからも頑張りますね」と返して退出したが、実際はとんでも無いことになっていた。




それは応接間から出てロビーについた瞬間に分かってしまった。

アランさんがせっかく合わせてくれてたのに、アタシが油断していたからこうなったのは事実だけど昨日の今日で、


ナンデ コウ ナルノ。



ロビーは人でごった返していて、誰もが目で牽制しあい、一触即発の雰囲気である。


何事が起きたのか知る為に、人が居る割には誰も並んでいない受付の人に聞くと。


原因はアタシだと。


集まっている理由は、風のように走り、空を飛び、白い閃光を放ちオークを撃退し、

ブラン砦筆頭の冒険者パーティの『漆黒の鉄槌』のダンさんをも負かす実力者。

しかも星二個ソロパーティと聞いたら。



『白い風』パーティに入るべく自身の売込み、魔法技術を知りたくて弟子入り、自パーティに取り込むべく勧誘と言うことであった。



しかも酒場で広まった噂で、現在進行形にて二つ名が生産されていると言う話だ。


受付さんが耳にしただけで『白い風』なんて緩い二つ名では呼ばれていなく。


『閃光の乙女』『光の妖精』『白の衝撃』『風の妖精』『戦場の女神』『魔法少女』『心の女神』『眼福少女』『空飛ぶパンツ』


何か変なものも混ざっているようだが、もう中二全開である。



その話しを聞いて脱力し肩を落とした瞬間。


背中へたくさんの視線が集中した。


逃げることはいつでも出来るが、意思表明は早くにしっかりとした方が良いと考え、ロビーに振り返った瞬間に、間髪入れずに宣言した。


「アタシこと『白い風』のマッキーは、何処のパーティにも入りません。理由がありパーティ参加募集もしません。まして魔法はアタシの生命線、弟子をとって教えるなんて十二歳の子供には出来ません。では悪しからず。」


いきなりの宣言にロビーに居た人達は面を食らったように固まっていたので、そのままギルドから脱出することが出来た。


今後も、こんな事が続くなら、さっさと旅立った方が良いかもしれない。


そう思ってしまったマッキーであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ