状況把握のち焼肉屋
変わって冒険者達は十二パーティが十パーティに減っている。
結果的にオークの集団を招き寄せてしまった寄せ集めパーティと野営地に残ったパーティが砦兵達と協力しあって防衛していたが砦兵が殺られた穴から侵入され、撤退を余儀なくされた。
怪我の治療中だった寄せ集めパーティは、殆ど抵抗できず一蹴され十人。
野営地に残っていたパーティからは、砦兵達を逃がすために三人。
西から押し寄せてきた大集団に不意を突かれたパーティから六人。
混乱の中で殿を受け持ち撤退中に六人。
合計二十五人が、亡くなったそうだ。
生き延びた冒険者はアタシを含めて四十八人。
討伐隊の四分の一以上が亡くなってしまったと言う。
現在は死亡者が多かった寄せ集め三パーティを集め直して一つにまとめたので、十パーティとなっている。
暫く上空偵察をしていると、討伐隊の足が止まった。どうやら休憩をとるらしい。
冒険者逹も砦兵達に合流し密集陣形をとった。
砦兵の十名程が立ったままでいるが、残りは寝転んだり、座り込んでいたりして仮眠をとっているようだ。
まだ浮いていられるだけの魔力は残っていたが、なんとなく水着を覗かれている感じがして恥ずかしくなり、風魔法を止めて地面に降りた。
立ったままの砦兵、一人一人に話し掛けながら周囲の状況を伝え回った。
その時に聞いたのは、物資は全て野営地に置いてきてしまい。
治療薬が無いので、怪我人の治療も出来ない。
更に厳しいのは、食料だ。
各個人持ちの食料、水、くらいしかないとのことだった。
完全に飢える前に砦にはたどり着けそうだが、腹が減ったら行動に支障をきたしそうだ。
アタシは暫し考えた所で、ウサギを狩りに行くことを告げた。
捕ってくる量に限界があるから過度な期待はしないでと予防線を張りながらである。
それでも、砦兵さんは助かると言ってくれたので、頑張りました。
先程上空から見ていたのでウサギの位置は把握している。
持てる限界の三羽を捕らえて休憩地に運ぶを六回繰り返して十八羽のウサギを狩ってきた。
解体して食べられる肉の重さは二キロ程。
一人につき、五百グラムは食べられるはずだ。
冒険者逹にその量は物足りないと思うが、腹ペコよりはましだろう。
鍋があれば、野菜を混ぜてカサを増やすことが出来るのだが調理器具などは野営地だ。
諦めるしかない。
肉を焼いて、塩コショウを振って起きている砦兵達に配る。好みが分からないので鑑定を使って焼き加減はミディアムに統一している。
砦兵達に、旨いと言ってもらえてホッとしていると。
肉の焼ける匂いに、目覚めた冒険者や砦兵がこちらを見ている。
「少量しか分配できないけど、食べますか?」と聞くと頷き集まってきた。
どんどん焼くが、次々に目覚める人達の為に、焼けた先から無くなっていく。
アランさんもキャサリンさんもケニーさんもダンさんも起きてきて、肉を持っていき旨そうに食べている。
こう言うときの鉄則は形、大きさ、数を同じにすることだ。
守らないと喧嘩に発展する可能性がある。
だから出来るだけ細かく切り分けて焼き鳥の様にして焼く。
途中、討伐隊隊長がもっと食わせろと言ってきたが
「全員に行き渡らなくなるから無理です」
と言って拒否したら憤慨していた。
焼くだけで、計算上アタシの分だって無いのだから諦めてほしい。
最後に焼いた三本を骨折していた三人に届けて、売っていた訳では無いけど完売御礼となった。
最後に食べていない人がいないか一応確認したけど、食べられなかった人は居ないみたいだ。
その時、最初に肉を食べてから行列の整理をしていてくれた砦兵さんが
「あれ?マッキーさん食べてないんじゃないの?」
と、心配して言ってくれた。
「アタシは身体が小さい分、そんなに量を食べなくても大丈夫なの。捕れた量も少なかったから、アタシの分は初めから考えていなかったのよ。心配してくれてありがとう」
と言いつつ、自分の背負い袋から干し肉を取り出してかじる事にした。
ホントは朝から一人でウサギ一羽食べていたことは内緒。
実際、しっかり食べれば中々お腹が空かないこの身体。嘘は言っていないのである。
アタシは干し肉を食べ終えると偵察に行くことにした。
だって、アタシを見る目が優しすぎて怖いのだもの。
逃げる様に、垂直ジャンプして周囲を見渡す。高度を少しあげて百メートル位の位置からだ。
沈み始めた夕日を横目で見つつ、砦の方向を凝視した。
霞む先に辛うじて見える、あと四十キロくらいかな?
それなら明日の今頃には到着しているのだろうな。
そう考えながら、北も見るが、こちらはゴブリンが多いかな?ってくらいで心配する位置でも数でもなかったので安心した。
アタシは少しの間、雄大な景色と風を楽しんだ。




