洞窟の周辺
これからどうしようかしら。
良く考えたら、小川があるから、水は良いとして、食べ物がないよね。
昨日から何も食べていないのに、お腹の空かない身体に疑問を感じていた。
もしかして食べなくても良い身体になったのかなぁ
って、そんな事、あるわけないか。
お腹が空く前に、食べ物を見つけないとね。
えっと、人間が生きていく中で必要なのは、衣食住だから。
食は、これから探すとして。
衣は、糸(包帯)で、問題なし。
住が必要だけど。
家なんて建てられないしなぁ。
ここは洞窟みたいな場所。
雨風を防ぐには、申し分ないし、水も困らなそうだし、
理想と言えば理想なんだけど、
あれが、気になるんだよね。
バラバラバッタに、どうしても目がいく。
その時、白い繭玉が目に入った。
先程まで、出るのに四苦八苦していた塊である。
おもむろに触る、なでる、叩く、殴る、蹴る、頭突きをしたところで我にかえった。
あれだけしたのに、へこみもしない、ものすごく頑丈に出来ている。
アタシってば、良く出れたものだと思いつつ、調べてみると。
抜け出せた場所は、初めから扉のようになっていることに気がついた。
動かないように岩壁と地面とに、糸で縫いつけて固定もしてある。
中を見ると、綿のような糸が敷き詰めてあり、寝心地は体感済み。
これだけ丈夫なら、平気かな。
でも、むき出しって言うのは心許ないよね。
そうだ、この硬い物質も、糸で出来ていることに違いはないのだから、
その糸で、繭玉を覆う骨組みを作って、ネバネバ糸を使って、そこいらに落ちている石ころを張り付ければ、
カモフラージュになるよね。
これは、良い考えだと自画自賛し、さっそく作り始めた、
幸い硬い糸も真っ直ぐにだけなら簡単に出すことが出来たので、
小一時間程で完成した。
端から見ると、張りぼてにしか見えないが、
真紀は出来映えに満足すると、
食べ物を入手することに頭を切り替えた。
周りを見る。
洞窟と小川と、小さい虫達。
洞窟の奥は、暗くて深そうです。
いずれ調べてみないといけないなぁと考えつつ、外を見る。
洞窟の付近は、砂利でいっぱいで、草がまばらに生えている。
その先は、森らしく切り裂くように小川が流れいる。
そう言えば、暗くて良く見えなかったけど、岩山から見下ろした時に見た感じと似ているよね。
そうなると、再びよみがえる、巨大爬虫類の恐怖。
外に出るときは、気を付けなきゃだね。
慎重を心がけようと、食べ物について考える。
食べ物、小川、って言えば鉄板のお魚!
この小川の幅は、一メートルくらいしかなく、かなりの急流である。
落ちたらあっという間に、遠くまで流されてしまうであろうことは、簡単に想像できる。
覗いてみても、やはり魚は、居ないようだ。
仕方がない、森に行って、食べられるものを探すしかないか。
傍らに置いてある棒の様な物を握り締め、思い腰を上げた。
この棒の様な物は、張りぼてを作るために出した硬い糸の束である。
イメージ的には、束ねた素麺。
ベトベト糸を接着剤代わりに使い、手元でバラけないようにしたものである。
糸の長さがバラバラなので、先端部分は竹ホウキのように広がっている。
落ち葉かきすると、具合がよさそうだ。
そんな武器になるか良くわからない物を握り締め。
真紀は、包帯スクール水着に靴下だけと言う、軽装備で
キョロキョロしながら森に入っていった。