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早朝の戦い

その後ゴブリン討伐を続けようとしたが、見かけることがなかった。


もしかしたら、あのオークによって追い払われた後なのかもしれない。



そう考えると、この辺りはオークの領土だとも言える。


強化個体一頭でも苦労したのに、オークの領土で対多数又は連戦となったら厳しいとアランさんは判断したようだ。


周辺調査をしつつ、砦に戻ることになった。


アタシは隠す必要がなくなったので、広範囲を走り回りながら調査を行った。


ここから北東に五キロの地点に、十頭前後のオークがたむろしていること、東に三キロの地点に、大きなゴブリンの群れがあること等を報告しておいた。



今は、最初に夜営をした場所である。周辺に魔物が居ないことは確認済み。調査のついでに狩って下処理済みのウサギを焼いてみんなで食べた。


焼き加減が最高だと喜んで貰えて嬉しかった。



普通に了承されたので、今夜も二番目の火の番である。


周辺の見回りに行くように見せ掛けて、少し離れた所で風魔法を使っていた。

お尻から風を出したり止めたりは、プロペラの回転を速くしたり遅くしたりするイメージで考えていたより簡単に出来たので、

大ジャンプをして空中移動をしてみようかと足先に気を集めていた時に、夜営地点に何かが動く反応があった。


慌てて戻ると、アランさんが起きていた。


交代の時間にはまだ早いのに、どうしたの?と聞いたら。



正式に青い閃光パーティに加わらないかと言うことであった。


強化個体のオークに対して今のパーティでは戦力不足が否めない。

だから強さの解らないオークとこれから戦うつもりはないので、

これからはゴブリン狙いにするがマッキーさんの索敵能力があれば効率よく戦うことも出来て、更に初めて会った時のような危険に飛び込む可能性が下がる。

いざ戦闘になれば俺とケニーが敵の引きつけるから、マッキーさんもかなり安全に狩りができると。


なんだかしどろもどろ感が拭えないけど、リーダーとして戦力強化を図りたいが、アタシに対する良い口説き文句が思い付かないって状態みたいだ。


今の話では、アタシには利点が殆どない。良いように使われるだけだもの。


なので、アタシの旅には目的があるので長い間、ブランの砦に居続ける気はない。身分証明書を得られたら早い時期に旅立つ予定なのでパーティとして活動できる期間は非常に短いから正式に加わることは出来ない。と、遠回しだがはっきり伝えた。


ハッとした顔付きをして

「そう言えば初めて会った時にも言っていたよね。勧誘なんてしてしまって、申し訳ない。」

アランさんはそう言いながら頭を下げた。



あの時とは状況がまったく違うし、アランさんが焦る気持ちも解るので、お返しとばかりに今度はアタシの都合の良いように話した。


「今回みたいに、臨時パーティ的に組むのは問題無いよ。アタシもランク星三個の青い閃光がバックに着いていて貰えれば、変なゴタゴタに巻き込まれなくて済むだろうからね。それにアランさんが保護者みたいな物なのだから、アタシが星一つになるまでしっかり面倒を見てくださいね」


アランさんは、そう言えばとかなんか口にしていたけど、アタシが手を差し出したらしっかり握手してくれた。


その後、交代の時間にケニーさんがきっちり起きてきたので変わりにアタシは寝ることにした。




夜明けと共にアタシは普段通り目が覚めたので起きあがると、ケニーさんと目が合った。


ケニーさんは、金髪を短く刈り込んでいるのんびり顔の細マッチョ系で、

子供思考と言うか、少し我儘な所もあるが、基本的には良い奴だ。



目線をずらすと、アランさんは何故か寝ているようでシャープな顔が腫れてくずれている。


アタシが寝ている間に何があったのだろう?


視線をケニーさんに戻すとニヤリと笑い、草原を指差し歩いて行った。


何がなんだかわからないが、とにかく着いていったら。


いきなり小枝を投げつけてきたので、思わず受け止めてしまった。



「お前の強さを見せてみろ」

ケニーさんはそう言いながら自身も持つ小枝を降り下ろしてきた。


思わずサイドステップで避けてから大きく飛び下がった。


ケニーさんは追い駆けてきて小枝を振る。


アタシは避ける、避ける、また避ける。


意味が解らない。


避け続けるアタシに、業を煮やしたのかケニーさんが、

「この青い閃光に加入したければ、この俺に一撃入れてみろ!」

のんびり顔に合わない叫びだ。


って言うか、アタシは加入する気はないのに、どうしてこうなった?



ケニーさんの攻撃を避けながら、加入する気は無いと何度も言ったが、まったく聞く耳を持たず。


段々、腹が立ってきたので、

「人の話しを聞きなさい!」

と、以前もやった高速反復横飛びで、何ちゃって分身の術を使い、

ケニーさんの動きが止まった瞬間を狙い、顎先をかするパンチを当てた。



脳震盪を起こして動けないでいるケニーさんから小枝を奪い取り。


普通の包帯で後ろ手に両手を縛り膝かっくんをしてしゃがませて両足も縛った。


アタシはケニーさんの正面に回り腕を組んで待機。


数秒後、ケニーさんは意識を取り戻したので、出来るだけ低い声で。

「話しを聞く気になったかぁ?」

と、言ったら。


初めは呆然としていたが、自分が縛られて座らせられていると解ったのか、頭をブンブン上下に振って了承を伝えてきた。



「アタシは青い閃光に加入する気は無い。だからこんな試験を受ける必要も無い。いい?解った?」


ケニーさんは再び頭をブンブン上下に振って了承を伝えてきた。



アタシは溜め息をついて、すぐにケニーさんの包帯を解いた。草原で縛って放置だなんて、殺人と変わらないからだ。



ケニーさんの主張はさっきの通りで、火の番をしている時にアランさんが、勧誘した事を話したそうだ。

ケニーさんとしては、先日仲間を三人失ったばかりで、直ぐに仲間を増やす気がなく勝手に仲間を増やそうとしたアランさんと喧嘩になり、

防御一辺倒のアランさんの隙をつき、殴り倒した所でアタシが目を覚ましたと。


ケニーさんの頭の中では、臨時パーティを組むと言う事で、アタシが加入に前向きだと思い込んだらしい。


それで、こうなったと。



ケニーさんもすぐに謝ってくれたから、別にいいけど。


あれからアタシの事を姉御と言い出したよ。


ずっと嬢ちゃんって言っていたのにさぁ。


見た目とのギャップがありすぎではないかい?



のんびり顔が似合わない、戦闘狂のケニーさんだと解った早朝でした。




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