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ネズミの呪い

これが火の魔道具なんだ。


鉄の棒にビー玉大の魔石が先端部に付いていて良くみると小さく『火』となんとか読める漢字が書かれていた。


話を聞くと、鉄の棒の部分を持って魔力を流しながら『火よ出ろ』と言えば、小さな火が魔石を包むように出るとのこと。


この質とサイズだと、数秒で消えてしまうから、基本的に着火する為の道具なんだって。


サイズは分かるけど質ってどう言うことなのか聞いたら、これは元々ゴブリンの持つ小さな魔石で、何個か融合することによってビー玉サイズにしてあるから、魔力の蓄積力も低く、弱い魔術しか出来ないものだから質が悪いとのこと。



そんな最低レベルの魔道具でもお値段、銀貨十枚。


ゴブリンの魔石は一個で銅貨十枚だったから、ビー玉サイズにするには、十個程必要だとして、鉄の棒と融合加工費が掛かるから。



利便性を考えてもちょっと高い値段と思われる。



サイズの大きい魔石は、火の玉を飛ばすことまで出来るので金貨何枚ってレベルだ。


書かれている文字も『火飛直進』とやはり型崩れしている。


その他、光や風、水の魔道具も同じ様に書かれていた。


因みに、水の魔道具はコップ一杯分の水を出せて、光や風は一時間位出せる。


大きくて質の良い魔石なら、出る量も力も強くなるが、お値段も同じ様に高額になっていく。



こっそり鑑定をしながら、説明を聞いたので、魔道具の鑑定も出来るようになった。


色々聞いてしまった手前、無手で帰るほど度胸はないので、大きめの水の魔道具を一つ買ってお店を出た。


これならいざという時の為に持っていても無駄ではないよね。



散財してしまったのでギルドに戻り、依頼を受けようと掲示板を見ていたら、受付さんに名前を呼ばれた。


カウンターに座り話を聞くと、ネズミ駆除の指名依頼があると言う。


どうやら老夫婦が、ネズミ駆除の手際のよさ、その後まったく見なくなったと言うことを知り合いに話したらしい。


指名依頼完遂は、ギルドへの貢献度も高く、更に依頼料も色がつくとのことで、引き受けることにした。


訪ねた屋敷は、広いと思っていた老夫婦の屋敷の倍もあり、気分的に気後れしつつも、ノッカーを叩いた。


話を聞くとネズミは日中、裏の物置小屋周辺で良く目撃されていて、夜になると天井裏を走り回っているらしい。


今までもネズミ駆除を依頼したが、罠を仕掛けて何匹も捕らえたのにも関わらず相変わらず騒がしいらしい。


さっそく振動感知を使いネズミの分布を調べると、物置小屋周辺に三十五匹、屋敷にも十三匹いることがわかった。


なるほど、罠で五、六匹捕らえたくらいでは、焼け石に水だったのね。


さっそくネズミ駆除に乗り出した。


アタシのネズミ駆除は老夫婦には、手際が良いと言われていたが、実際は非効率な方法である。


ネズミがいる場所はわかっているので、取り零すことなく一匹ずつ確実に駆除しているのである。


ネズミの居場所まで同行していた老夫婦からすれば、全ての部屋をみて回る事もなく、ネズミのいる場所にだけ見に行くというのが効率的にみえたのだろう。


この屋敷でも同じく、必要最低限の部屋にしか入らず、かつ最終的には多数のネズミを捕らえるのは不思議な光景であったのだろう。


合計四十八匹捕らえて、依頼完了のサインをもらった。


その時に、屋敷の外壁の見えづらい場所にネズミの通れる穴が何ヵ所かあったので、塞いでおいた方が良いですよとアドバイスしておいた。



ギルドに完了報告すると、ギルドカードが更新されて、星無しから星半個に昇級となった。


これで砦外に出て薬草採集等の依頼も受けられるようになったのである。



宿に戻り一人祝杯をあげていると、昇級の事を知った宿屋の親父がフルーツの盛合せをつけてくれた。




翌日、今日は薬草採集を受けようと、ギルドに行ったら、ネズミ駆除の指名依頼が二件あり、その次の日は四件に増えて、更に八件に、ねずみ算式に増える依頼をこなしながら、これってネズミの呪い?と砦の外に出れない日々が続きましたとさ。



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