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アタシ、マッキー四十歳

パーティリーダーと思われる人が指示をだし、倒したゴブリンの身体から何かを取り出している。


何をしているのかと聞いたところ。


『魔物』には『魔石』と言われる物が体内で作られるらしく、これが討伐証明となり冒険者ギルドで換金することが出来るとのこと。


アタシも見よう見まねで、自分が倒したゴブリンを解体すると、心臓近くに爪先程の半透明な物を見つけた。


七体分解体して相手に見せると、頷きつつ。


魔石を加工すると『魔道具』の材料になると説明してくれた。



この世界でも、ゴブリンの名前はゴブリンなんだって。



全てのゴブリンを解体し終えたころ、こんな至近距離でゴブリン集団に遭遇したことを報告と、怪我の治療をするため(剣を落とされた人も打ち身程度の怪我)砦に戻ると言っていたので、簡単にアタシの事情を話して同行を申し入れた。


事情と言っても、元の世界の事は伏せて、草原の向こうにある森で親と一緒に生きてきたが、親が病気で亡くなったのを期に、旅をすることにしたこと。

ずっと森で生活していたので、世間知らずであること。

だから、ここは何処で砦とは何なのか分からないと言うような感じである。


心の中で、あなた達を助けたのだからアタシも助けてねと言っているなんて、なんて恩着せかましい奴だと思いつつも、折角のチャンスをものにしたくて重ねてお願いしたら、あっさりと了承を得た。


だから、魔物や魔石のことを知らなかったのかと、納得もしてくれた。


戻るのに何日も掛かるような場所であったなら、きっと怪しい人物として、断られていたであろうが、砦まですぐの距離であることが幸いしたようだ。


砦に戻る最中に色々な話をした。


ずっと話している、ショートヘアの金髪碧眼の剣士はアランと言い、このパーティのリーダーをしているとのこと。


ここはブラクソン王国の最東端で、この砦はブラン砦と言って川向こうに生息している恐竜(巨大爬虫類)から国を守るために建てられた防御のかなめとなっており。


砦の中には街があり、辺境なのにも関わらず沢山の人々が生活しているとのこと。


アタシは横文字の名前らしくしておこうとゲームで使っていた『マッキー』と名乗っておいた。



その時に真っ白なマントや武器について聞かれたので、正直に蜘蛛の糸を摘むんで織ったマントとホウキですと答えておいた。



蜘蛛の糸を摘むんで作った所は、凄いね時間が掛かったんだろうねとか言っていたが、武器はホウキと言った瞬間、やっぱり……だよね……と驚き半分納得半分って感じであった。


その後、アランさん達のギルドからの受注依頼を聞いて驚いてしまった。


あのオークの討伐依頼だとのこと。


このメンバーなら、オーク二頭までならギリギリ相手に出来ると言うので、つい三頭居たらどうするのか聞いたら、迷わず逃げると即答された。


やっぱりオークは、かなり強いらしい。


三頭のオークが気になったらしいアランは何でそんな事を聞くのかと質問してきたので、これまた正直に三頭のオークと冒険者五人が、ここから歩いて二日の場所で戦っていて、オーク一頭に手傷を与えたものの、冒険者は全滅したのを見たと答えた。


それを聞いたアランさんは、真っ青になり細かい状況を聞いてきたので、答えつつ、回収出来た四枚のプレートと背負い袋を見せた。



アランさんはプレートの名前を確認すると、悔しそうに「バカ野郎」と吐き捨てた。


仲間達も同様に悔しそうだ。


ジョンさん率いるパーティ名、赤い閃光はアランさん率いる青い閃光と交流の深いパーティで、良く合同で狩りに行き、突っ込み気味の赤い閃光パーティを青い閃光パーティでフォローする事が多かったが、セオリー無視の五人で(普通はオーク一頭につき、三人で責める)オーク三頭を倒したこともある攻撃力を誇るパーティであったとのこと。


アランさんは、赤い閃光パーティは、確か四日前に出発したはずだから、まさかと思ったが、やっぱり、そうなんだ……と肩を落としていた。



しばらく、立ち止まっていたが、心の整理がついたらしく、プレートをアタシに返して、今の話をギルドに話して貰えないかと言われたので、快く引き受けた。



その後、砦に着くまで、みんなの雰囲気が暗くなっていたので、色々な話を振ってみたが答えてくれるものの雰囲気は変わらず、足元ばかり見ているわりにはつまずいていたり、時折顔を上げても周囲への警戒が疎かで何も見えていないようだ。


その証拠に、血の匂いに引き寄せられた肉食動物達が遠巻きに見ているのに、誰も反応しない。



アタシは踏み込もうとする動物達を目線で征し続けている。



二十代にしか見えない若者達だから、すぐに割り切る事は難しいと思うが、今後の事を考えると、年配者としては心配になり少し活を入れることにした。



アランさん達の先頭に躍り出て、高速反復横跳びしつつ猫だまし。


『パッパッパッパッパッパッパッーン』


その音でアランさん達は反射的に身構えたが、原因がアタシだと気づくと、なんだ?とばかりに視線を向けてきた。


全員に注目されたところで、話したアタシが悪いけどと前置きして、


「あんた達死ぬ気かい?周りを良く見てみな。弱った生き物が居ると感じて、肉食獣がヨダレ垂らしているよ。知り合いが亡くなったと知ったばかりで、落ち込むのは解るけど、落ち込むのは安全な場所だけにしなさい!」


あまり言い慣れていないから、へんな言い回しになってしまったと、恥ずかしさに顔が火照ってしまったが後悔するまい。


真っ赤になっているアタシを見て、物凄く怒っていると勘違いしたのか慌てて謝り始めたので。


「年長者が注意をするのは当たり前。これからは気をつけてね」


と、さらりと流したつもりが、何故か渋い顔をされたので、どうしたのかと聞くと。


誰が年長者なのか訪ねてきたので、

「アタシ、四十歳よ」と答えたら。



みんな目を点にしてた。



すっかり忘れていたけど、アタシってこの世界で産まれてから、まだ半年も経っていなかったのだよね。


精神は四十歳、身体は子供?(産まれたてのチビッ子)その正体は、失敗怪人蜘蛛女マッキー



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