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パフェは美味しい

早朝に目が覚めたけど、お魚さん達の一番の活動時間帯なんだよね。


魚釣りをするなら良い時間らしいけど、出来るだけ安全に渡りたいアタシはそんな時間に出発する気もなく。


最終点検をしつつ、のんびりと川を見ていた。


水鳥達も川に浮かび、時折潜っていき、魚をくわえて出てくる。


そんなのどかな時間が過ぎ、頃合いかなと感じた時に出発した。



川の流れに、そのまま流されながらも、オールを使い少しずつ対岸へと進み、何事もなく三十分で到着。



あんなに警戒して、準備して、出発してからも、魚が跳ねる度にビクビク、緊張しながら渡ったのに。


あっさり渡りきれた。


何かあったら困るから、ないに越したことはないのだが、なんか納得いかない気分になりながらも、無事に渡れたことには安堵した。




でも、対岸には着いたけど、このままイカダに乗っていった方が、楽だし早くないかしら?と思ってしまった。



確かに、川を渡る三十分で、たぶん十キロ近く流されたと考えられる。


歩いて移動していたら二時間くらいの時間が、三十分で済むのは魅力的だ。


でも、川の中では振動感知が効かないので、常に周囲を気にしなければならない。


しかも、何が飛び出してくるかもわからない。



でも、目的地が川沿いの上、距離はまだまだ遠い。



どうしようか悩んでいたら、川から何か視線を感じる。


そんな事は、元の世界でハイティーンの頃にグラマーな友達と三人で一緒にプールに行った時に感じたいらいだ。


ナンパが煩わしくて、思い切りプールで遊べないから、妹の振りしてくれって友達に頼まれて行ったのだけど。


アタシだけスリムって言うか、身長百五十センチのチビッ子の上、出てるとこ無いから、ナンパ師達に、妹連れ?とか勘違いさせられるって考え。


取りあえず、声を掛けられなかったから作戦成功だったけど。



終始、あいつが居なければ、どっか行けば良いのに、邪魔だって感じで睨まれていたなぁ。



グラマーな友達も視線だけで済んだから、久しぶりにたっぷり遊べた、ありがとうと、帰りがけにパフェをおごって貰ったなぁ。



って、良く考えると、同級生の友達から妹扱いだなんて、しかも喜んでパフェ食べたし、なんて黒歴史……




っと、今はそんな昔の話を思い出している場合ではなく、視線の元がある川面を良く見ると。



三角形の小さい目がたくさん浮かんでいる。



ぎょっとして川岸から森の方に後ずさると、一対の目がイカダに近寄り、食らいついた。



三角形の目の正体は、大きなワニ。


全長五メートルはありそうだ。


イカダは頑丈に作ってあるので、その程度では壊れる様子もなかったけど、二匹、三匹と食らいついてきて、水中に引きずり込もうとしていた。



見慣れない白い物体に引き寄せられたのだと思うけど、それ木だから。


食べても美味しくないよと、突っ込みたい気分である。



その後も代わる代わるワニが噛みついてきて暴れる内に、大岩に簡単に係留していた糸がほどけたらしく、イカダは流されていってしまった。


大量のワニと共に。




結果的に、イカダがなくなったので迷うことなく歩きを選択できた。


川の中で、ワニに襲われなくて良かった、そう無い胸を撫で下ろす真紀であった。



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