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裁縫中

鑑定能力を得てから十日経った。


その間の生活でも、都度鑑定能力を使い続けていたのだが、経験したことが反映されると言うのは、素晴らしいことだと実感した。



毎日のように、食べている肉。

最近は薄い石を見つけたので、かまどの上に石を載せて熱くなった頃に肉を置き焼き肉にしているのだが。

初めの頃は、指でさわって温度を確かめていたので、火傷しそうになっていた。

でも今では、鑑定の能力欄に、『焼き肉に適した温度』と出るようになった。



焼き肉の焼き加減も、生肉→芯が生な肉→芯まで火が通った肉→しっかり焼けた肉→こげた肉→元は肉だった炭と、一目でわかる内容もあるが、鑑定出来てしまう。


リンゴを二つに切った時に、中に虫が居たことがあったのだが、それ以後は、切らなくても虫入りなのか、そうでないのかも分かるし。



旅用に、薫製肉を作り始めているのだが、薫製用にリンゴの樹から落ちた枝も、間違わずに拾えるし、途中でつまみ食いをしたから、好みのスモーク加減もわかるし。


鑑定をしながら見渡すだけでも、サツマイモの葉っぱを発見できる。


食べ物関連ばかりだが、かなり有能だとわかった。



そんな鑑定能力だが、弱点として、見えない物は鑑定出来ない。



サツマイモの葉っぱは見つけられるけど、サツマイモ自体は土に埋っているので鑑定出来ない。


ただ見えなくても経験したことなら鑑定出来る、金属製の箱の中身は自分で入れた経験から鑑定すると判るのだ。


でも知らない間に、誰かに中身を盗られたら、どんな鑑定結果になるのだろう?




そんな日々の中、今はチクチクと裁縫中。


硬い糸を針の代わりにして、包帯を重ねて行く。


ベトベト糸は、完全に乾くと硬化することがわかったからである。


金属箱を開けた時に、貨幣を入れた袋を触った時に気が付いた。


完全に乾いた袋は、袋と言うより、箱であった。


巾着の様に、口を縛っていた糸をほどいた所で、形は変わらずそのまま。


中の物を取り出すことは出来なかった。


包帯包丁で包帯袋を切り裂いて、貨幣を取り出す事が出来たが、そんなことがあったので、手間が掛かるけど、特に夜は時間があるので、裁縫することにしたのである。


貨幣を入れる巾着程度ならすぐに出来た。


今は、背負い袋の製作に夢中である。



金属箱と、薫製肉とかの非常食くらいが入れば良いので、そんなに大きく無くても問題ないが破けないように目を細かくしっかり縫っている為、時間が掛かっている。




背負い袋の次は、雨対策を兼ねるマントだ。


蜘蛛の糸は、揮水性なので、水弾きが良いのである。


フード付きのマントにすれば雨の日も安心だね。


まぁ、こんな状況だし、型紙が無いから、イビツになるのは仕方が無いよね。



その後は、防具。


ベトベト糸が、乾いたら硬化するのなら、上手く作れば軽くて丈夫で身体にフィットする、プロテクターみたいな物が、出来る気がする。



そうすれば、包帯水着ルックから卒業だ。



製造に精を出し始めたのは、日課にしている岩山登りと気の訓練の効果が現れてきたからである。


全身に筋肉が付いた上に、気の扱いにも慣れたので、全力で気を使った踏み込みでも着地時に、身体が流されることによる転倒がなくなった。


だが、気を全力で使う移動は、方向転換しようとすると、全身がバラバラになりそうな程の痛みと負担が掛かるので、宝の持ち腐れ状態。


直進専用としても、負担無く着地するには、二十メートル以上の減速できる平地が必要である。


森の中での全力使用は、無理な話である。



と、色々と言ったが。

そもそも、森の中での移動は常に警戒しながらとなるので、狩りや戦いの場以外では、全身を気で覆うことによる、蚊や、ハエなどの虫避けにしか使えないのである。




ついでに発火能力に関しても、日々使い続けることで向上した。


相変わらず、おしりからしか火を出せないのだが、持続力と火力がおかしなことに。



初めは、ライター程度の火を数十秒出し続けると消えてしまい、その後は倦怠感に襲われていたのだか、

今では、ガスバーナーレベルの火も出せるようになり、持続時間も十分を超えた。


火が消えるまで出し続けたら、今でも倦怠感に襲われ動けなくなってしまうのだが、眠り込んでしまうほどでは無く。


しばらく休めば、動けるようになる。


真紀の感覚では、向上したと言っても、勢い良く火が出るようになったので、焚き火がしやすくなった程度であった。



最後に、包帯での回復に関しては、真紀が指先を火傷したくらいしか怪我をしていないので、能力に進情報はなし。


でも、何処を怪我しても、包帯が巻けるように、練習している。


右手が使えないとか、左手が使えないとか、両手が使えないとか、色んなシチュエーションを考え練習している。


包帯巻きの技術は向上しているようだ。



包帯を鑑定することにより、普通の包帯と回復する包帯と分けて出せることが分かった。


回復包帯は巻いても折り畳んでも回復包帯であり続けるが、加工をすると能力が消えてしまう。



なので、回復布とかは作れなく、当然ながら回復マントや回復服は作れない。


でも怪我をしていなければ、直接身体に巻いていても包帯は消えないし、回復能力も消えないので、いざと言うときに、ある意味期待が持てそうだ。



真紀は、自分の能力を確認しつつ、今夜も眠くなるまで裁縫を続けていたのであった。






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