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まさかの……

それにしても、ここは不思議な場所だなぁ。



ハダカ女から包帯スクール水着女になれたことで、漸く、周りに意識を向けることができたようだ。




暗いのに、こんなにも良く見えるなんて。





周囲を見渡すと、

天井も、地面も、左右の壁も、落ちている石ころも、同じ色、同じ艶、どれも同じ物質のようだ。



なんとなく近くの壁に触ってみると、ヒンヤリとしていてるのに、何故か暖かく感じた。



軽く叩いてみたが、どうにかできるような堅さではないようだ。



やっぱり不思議な物質だ。



足下を見ると、石ころがかなり転がっている。


ここを素足で歩くのは、無理そうだなぁ。




(失敗)怪人 蜘蛛女の格好は、包帯をスクール水着状に巻いただけだ。


手足は完全に露出している。



そうだ、さっきの包帯(糸)で靴を作ればいいんだ。



早速、包帯(糸)を出そうとしたが、おしりは包帯(パンツ)で覆われている。


このまま出したら、お漏らししたようになるよね。


かと言って、糸を出す度に包帯を巻き直すのは、たいへんだし。



恥ずかしいは、恥ずかしいけど、やっぱり巻き直そう。




そして巻き直した姿は


前から見たら、何も変わっていないが、後ろから見ると、

半分おしりの一部が見えている。



良く考えたら、糸を放射状に少し出したままにすれば、隠れるよね。



見た目はまるで尻尾のようだ。



これで、露出部は最小限に抑えられたかな。


靴の分の包帯(糸)を出して、足裏だけでなく足首を痛めないように脛までしっかり巻く。




そうだ、ここに落ちている石ころも拾っておこう。



なんて言う石かわからないけど、すべすべして綺麗だし。

日本なら、危険な生き物は居ないと思うけど、

いざというときに、ぶつければ良いしね。



それに、石ころが落ちない程度の網なら、ちょっと太めの糸で作れるから

持ち運びも、問題なし。



さて、さっそく作るかな。



まず、糸を束にして、真ん中をしっかり結んで。


束の中の隣り合う糸を、拾う石ころの半分くらいの大きさで結ぶ。


全部の糸を結んだら、また隣り合う糸を結ぶ、それを延々と繰り返せば、


ほら、スイカとかサッカーボールとかを入れてる網の出来上がり。


スイカとか入れる網よりも目は細かいけどね。



それをもう1つ作り。

握りこぶしより、やや小さめの石ころを5個ずつ入れて両腰に縛りつけた。



これで漸く、準備ができた。



そして、いざ出発と行きたかったが

どちらに向かえば良いのだろうか?


ここは、天井、床、左右に壁と囲まれている通路みたいな所。


イメージ的には洞窟の真ん中あたり?

最深部手前とか、出入口手前とか、かもしれないけど。


悩んでも仕方がないから、あっちに進もう。





こうして、アタシは洞窟のようなところから

出ることが出来たのであった。







って早くない?

アタシもそう思うよ。


でも実際、進んで角っぽい所を曲がったら、その先が周囲よりも明るく見えたの。


明るく見えたこと事態は、さっきまで居た、黒い岩肌のあった場所とは違う物質の岩になっていたからだけど。



でもやけに明るいから天井を見たの、そしたら天井はなくて、空が見えたんだ。


青空ではなくて、星空だけどね。



後は、そこをよじ登って、脱出成功って感じです。



実際には、高低差二十メートルはある垂直に切り立った崖で、

とてもじゃないけど、登れないと思ったの。


だけど、アタシって怪人 蜘蛛女でしょ。



もしかしたらと思って、指を掛けたら、あらあら簡単に指だけでも登れたのよ。


それならと考えて、足の指先だけ露出させたら、

もう自由自在に、壁を移動出来たの。


怪人 蜘蛛女の面目躍如って感じです。



でも何があるかわからないから、命綱の代わりにならないかなぁって

そもそも蜘蛛って、巣を作るときに、ベトベトする横糸と、

そうでない縦糸を出し分けることが出来るでしょ。


「ベトベト糸、出ろ」ってやったら、見事成功。


かなり安全に、崖登りが出来ました。


新たな能力を発見して意気揚々としてたのも束の間。



おしりから糸が出たことさえ霞む、驚愕な事実を突き付けられたの。



当たり前だと選択肢からも外していた大前提が

間違っていたのね。


ここってアタシの暮らしていた地球でさえなかったのね。


だって、


「なんで月が二つもあるのよ!」



そう叫んだ後、座り込んだアタシを、大きな月と小さな月とが見つめていた。



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