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現実逃避

真紀は洞窟の外に出てみたが、変わったものは何もない。


でも、振動は外に出たことで、よりはっきり、より鮮明に感じられた。


何これ、恐い。


心の底から感じる恐怖。



何が起きているか判らないし、岩山を登ってみよう。


そう考えた時に、辺りが一瞬暗くなった。



思わず、空を見上げると、巨大な何かが真紀の真上を通過していった。


あまりにも大きく、更に逆光のため、まったく識別出来ない。


その直後、突風が真紀を吹きとばした。


真紀の身体は、木の葉の用に舞い、地面を転がり、岩山に叩きつけられる用にして止まったが、意識を失った様で動かない。



強い風であったが、周囲の木々は、その根っこで耐えきったようで、何事もなかったかの如く、以前の静けさを取り戻していた。



岩に叩きつけられてから数分後、ようやく意識を取り戻したようだ。


アタシはどうしたのだろう。


確か、振動を感じて、外に出たら、とんでもなくデカイ物が飛んでいて、風が吹いたと思ったら、岩山が迫ってきて、ぶつかった?



慌てて身体の状態を確かめようと、身動きした瞬間、全身を痛みがはしった。


あまりの痛みに混乱して、七転八倒するが、それは痛みを助長するだけである。


あまりの痛みに、再び意識を失った。



人間とは、痛みに強い生物である。

一定以上の痛み受け続けると、脳内から痛みを緩和する物質が作られるのである。


痛くて動けないでは、たちまち食べられてしまう。


それは、自然界を生き残るための、防御能力の一つである。




数分後、意識を取り戻した真紀は、あまり痛みがなかったので、

今の自分の状態を確認し始めた。



目は見える、耳も聞こえる、鼻は血の臭いがするけど大丈夫かな。


口は開くし、「アタシは真紀」、喋れるから大丈夫。


右手は動く、左手は小指と薬指がダメ、折れているのかな。


両腕も痛みがあるけど動く、両足も動く。



胸からお腹は、見た目は問題なし。


背中は見えないけど、痛みはないから大丈夫そう。


身体を起こして、痛い部分を目で確認。



左手の二本の指は、三倍くらいに腫れてまったく動かせない。



左の二の腕は、裂傷があり血が流れ出ている。



右腕、両太ももは打撲のようだ。


赤く腫れている。



無事な右手で、顔をさわる、後頭部、オデコ、左頬に痛みがあるが、後頭部とオデコは、見事なたんこぶになっているので大丈夫であろう。



そこまで確認したあと、痛みで力が入らない身体を叱責しつつ、なんとか立ち上がり。



ふらつきながらも、洞窟に戻ることが出来た。



まずは、治療をしなければと考え、小川から水をすくって左腕にかけた。


しみるが気にせずに、浴びるように水をかけた。


飛び散る水滴が、腫れた部分にもかかり、気持ち良い。


あらかた傷口を洗い流した真紀は考えた。



とうとう大怪我をしてしまった。


元の世界なら、このくらいの怪我なら病院に行けば、問題なく治療できるのに。


このまま左手が使えなければ、木登りして果実をとることも出来ない。


食べ物が自力で取れなければ、衰弱するし襲われたらお仕舞いだ。


ズキズキ痛む、左腕を見て、ため息をついていた。


アタシは、このまま死んでしまうのだろうか。




真紀が持っている治療具は包帯しかない。




包帯を巻いたら怪我が治らないかしら?




死への恐怖が、思考を麻痺させて、現実を拒否していた。




そう言えば、以前やっていた剣と魔法のゲームで、そんな設定があったなぁ。


あの頃のゲームは夢が詰まっていたよね。



包帯巻きに成功すれば、HP(生命力)が回復するし、能力が上がると、死者蘇生まで出来てしまうと言う、とんでも設定。


包帯巻き中に、邪魔が入ると、『指が滑った』って回復量が減るのよね。



その時のアタシのキャラは『MACKY』。


みんなから、そのままだけどマッキーって呼ばれていて、

『マッキーが巻き巻き中』って言いながらダメージを受けた仲間を包帯で回復させていたなぁ。



アタシはゲームスキルが低いから、戦闘は殆どおまかせしていたよね。


強い敵が居るところに行く時は、安全地帯で身を隠して、次々に戻ってくる魂を復活させていたなぁ。



ほんと、あのゲームのように、包帯巻いたら治ればいいのに。


その時、腰にくくりつけてある網の中の黒い石ころが砂になった。



真紀は気づかず、おしりから包帯を出して、血が出続ける左腕に巻き始めた。


片手で巻いているので、巻きづらく、何度か手を滑らして失敗していたが、巻ききることに成功した。


その瞬間、痛みが一気に緩和し、巻いていた包帯が消えた。



何が起きたのか判らないまま、腕を見ると痛々しい傷はあるが、血は止まっていた。


まさかと思い、再び包帯を巻き始めた、一度巻いていたので、要領は掴んでいる、失敗は一回で済ませて巻き終えると、


やはり包帯は消え、更に傷も消えていた。



アタシの包帯って、なんて凄いのだろうと思ったが、

以前、火を起こそうと小枝を擦ったがササクレで怪我をした時に、包帯を巻いたが、今の様には治らなかったはずだ。


思い当たるのは、黒い石ころ。


数を確認すると、七個に減っている。



どうやら、包帯を巻くと回復する能力を与えてくれたようだ。




早速、折れている左手の指を巻いてみた。


包帯が締まる度に激痛が走り、何度も指を滑らすがなんとか巻き終えると、痛みが緩和した。


二回目で、腫れが引いてきた。

三回目で、腫れが引いたが、まだ動かせない。

四回目で、なんとか動かせるようになり。

五回目で、完全に元通り動かせるようになった。


その後、身体のあちこちを巻きまくったら、アザも残さず怪我は完治した。


巻きまくった事でわかったことだが、巻いた周囲に怪我がないと、包帯はそのまま消えずに残ると言うことだ。


その後、急激に怪我を治した反動なのか、お腹が空いた。


洞窟に保存していた全ての食べ物を食べきったが、若干物足りない。


だが急激に眠気を感じ。


そのまま、繭玉(まゆだま)に潜りこんだ。



明日は、まず果実を採りに行かなきゃと、思いながら真紀は眠りについた。



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