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生きるための糧(グロ注)

そのまま放置することも考えたが、とどめを刺すことにした。


刺すとは言っても、鋭利な物は持っていないので、消化液をカマキリの頭に向かって吐き出す事にした。


次第に顔の形が崩れてきたが、蜘蛛糸の中では身体はまだ動いているようだ。


更に消化液をかけていると、何故かチーズのような香りがしてきた。



その香りを嗅いだ真紀の表情が緩みだした。



真紀は乳製品が大好きだ、特に大量のチーズを乗せてトースターで焼いたパンを食べるときの幸福感は計り知れない。




生き物の脳は、好物の香りを嗅ぐと、あまりの喜びに思考が麻痺することがあると言う。




チーズの香りがして、美味しそうなだなぁ



蜘蛛糸でグルグル巻きにされていているので元カマキリの形は判らない、

どちらかと言うと、壺に見える。



その頭部を溶かしたので、さながら壺スープのようである。



真紀は、チーズの香りに負けて、ついすすってしまった。



口の中に広がる芳醇な風味におもわず。



「美味しい」



これは、そう、ドリアンだ!

フルーツの王様と呼ばれていて、アタシが食べたのは臭いはひどかったけど、味は表現できないくらい美味しかった果物だ。



見た目は壺なので、真紀は消化液を出して溶かしたカマキリを、どんどんすすっていく。



そして、満腹感を感じて我に返った時には、半分程、食べていた。



「あ、食べちゃった」


と、思った瞬間、身体中から溢れんばかりに力がわいてきた。



それもそのはず、ここ数日は、果実だけでタンパク質を摂取していなかったのだから。


持久力を着けるため、過度の運動を繰り返していた身体は、待ち望んだ栄養にうち震え。



その情報を脳に伝えた結果だろう。



アタシは、虫を食べることを受け入れた。



でも、あれだからね。

他に食べる物とかない時に、仕方なく非常食としてだからね。


旅に出たら、何があるかわからないから、そんな時にだけだからね。



誰に対して言い訳を言っているのか判らないが、そう言うことらしい。



みなぎる力を、もて余しながら、その後は何事もなく、洞窟に帰りついた。



真紀は、果実ばかりの食事を反省して、肉も食べようと考えた。


肉を得る方法は、多分簡単だよね。


動物は、振動感知で探して、見つけたら糸で絡めればいいしね。


でも、問題はここからなんだよね。


まず、刃物がない。


捕まえた動物にとどめを刺すなら、石で殴り続ければいつかは死んでくれると思うけど。


死んだら、血抜き?喉元にある太い血管を切り裂いて、逆さに吊るすんだっけ?


その後の皮はぎ?解体?


やり方なんて、とうぜん見たことなんてない。


小説で、よく出てくる単語だから、知っているだけだ。



バッタやカマキリと同じように、消化液で溶かしてすすれば良いのでないかと思ったけど。


消化液は虫専用だと考えた。

なぜなら、皮膚や肉が溶けるくらい強力なら、アタシが溶けているはずだからだ。


包丁もナイフもカッターもカミソリもない。


カミソリ?


そこで思案した。

アタシのおしりから出る糸は、極細から包帯まで出すことが出来る。


更に、フワフワな柔らかさから、叩いてもへこまない固さの糸も出すことが出来る。


と言うことは、

硬い包帯を出せば、カミソリ見たいに使えるかも。



実験用にリンゴを準備してから、早速十センチくらいの、硬くて薄い包帯を出して両側を持ち、押し当ててみた。


ほとんど抵抗を感じずにリンゴは真っ二つになった。


実験は成功だ。


でも、あまりに薄いのでペラペラする。


太く硬い糸を出してベタベタ糸で接着して芯にして、

たき火用に拾った枝に取り付けた。


これで、なんちゃってカミソリ包帯包丁の出来上がり。


早速、リンゴの皮むきに挑戦してみた。



いい感じでむけたので、二個目はウサギむきにした。


切れすぎるのでリンゴの芯取りをした時に、力加減を間違えて、危うく手を切るところだったのが失敗だったが。


問題は無さそうだ。



包帯包丁の出来に満足した真紀は、すっかり暗くなった外を見て、今日一日を振り返りつつ繭玉(まゆだま)に入り眠りについた。



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