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意識革命

真紀は、コボルトとの戦闘を経て、自分はまったくの無力ではなく戦える事に気がついた。



今まで、戦うことを選択出来なかったからだ。


なぜなら人間とは、非力な生き物である。


敵を引き裂く爪もなければ、食い千切るキバもない。


握り潰す腕力もない。


それでも、生き抜くことが出来たことの一つに、複雑に考えることが出来たからだ。


石が当たると痛い。

それなら石を持って叩けば敵も痛い。

数回叩けば、敵は動かなくなる。

でも至近で叩けば、敵からの反撃を受けるし怪我をする。


長い木の棒で叩く、敵からの反撃は受けづらくなったが、何度も何度も叩かなければならない。


長い木の棒の先に石を括り着ければ、敵の反撃を受けづらくなる上に、一撃で倒すこともできる。



それでも、倒せるのは人間を襲わない、草食動物まで。



肉食動物は狡猾だ。


気がついた時には、地面に倒されている。


一対一では、どうしようもない。


人数を増やせばいい、みんなで周囲を警戒すれば、襲われる可能性がさがる。


ほとんどの肉食動物は、単独で行動するからだ。



集団で襲ってくる奴等もいるが、割愛する。



とにかく、真紀の中では人間は一人で肉食動物とは戦えるはずがないと思い込んでいた。


近所の犬、猫にだって先に襲いかかってこられたら、勝ち目はない。



それほどに、肉食動物は恐ろしい生き物だから、真紀は警戒し近寄らなかった。


当然である。


だから、旅に出た後も逃げること、隠れること、しか考えていなかった。



だが、今後も先ほどのように、意図せず遭遇してしまったら、戦わなければならない。


この世界の生き物は異常だ。


普通そうな生き物もいるが、とにかく大きい。


大きいって事は重量があるという事。


それだけで凶器となる。



キツネにあっさり捕らえられた大ネズミだって、体重は五キロくらいはあるだろう。


そんな生き物が、体当たりでもしてきたら。


怪我だけでは済まないだろう。


例えその場では倒すことが出来たとしても、怪我をしたら、実際は敗けに等しい。


特に味方がいない状態では、怪我が治るまで、変わりに戦ったり、食べ物を獲ったり、誰もしてくれないのだから。


そんな弱った生き物は、すぐに食べられてしまう。



話はそれだが、そんな異常な生き物と、いつかは戦わないといけなくなる事は分かっていたが、

勝てるかどうか判らない生き物に、自分から戦いを挑み怪我をする訳もいかなかったからだ。



もしかしたら、強い生き物ではなかったかもしれないが、幸いにも怪我もせずに肉食動物との戦いを経験出来たことに少なからず自信を持てたのであった。



再び真紀は、洞窟に帰るべく小川を横に見つつ、振動感知を繰り返した。



帰り道、ゴブリンやコボルト、オークなどのファンタジー生物の振動は感知しなかった。


どうやら、洞窟と言うか岩山周辺は、テリトリーから外れているようだ。



でも、中型生物の振動は感じられる。


しかも洞窟の方向。


迂回しても、タイミングが悪いことに、そこにもいるみたいだ。



今朝までの真紀なら、大きく迂回するか、洞窟方向にいる何かが、どこかに行くのを待つかの二択しかなかった。


でも、今の真紀には、追い払うと言う選択肢が増えている。



しばらく考えて相手を見てから考えると決めた。



一瞬、石を投げ込もうとも考えたが、藪をつついて、ヘビが出たら、たまったものではない。


念には念を入れてベタベタ糸を出して、落ち葉のハリボテを作り、隠れながら接近した。



はた目にはギャグにしか見えないが、本人はいたって真面目だ。


少しずつ近より、相手の姿を捉えた。



見た目、体長は一メートルを越えている。

特徴的な、大きな鎌のような腕を持つ昆虫界のハンター、カマキリだ。



カマキリは、何かを待つように、じっとしている。


それもそのはず、狩りの基本は待ち伏せである。



何も知らずに、目の前を通過しようとしていたら、たちまち鎌のような大きな腕で捕らえられて、カジられていたであろう。


サイズ的に真紀の方が大きいので、何もできずに食べられてしまうことはないだろうが、間違いなく大きな怪我を負うことになるに違いない。


それで、The END。

この世界では生き残れないだろう。



真紀は微妙な相手に、悩んでいた。


このカマキリに常識が通じるなら、近付かない限り、襲われる心配はないからである。



やっぱりここは、コボルトに出来なかった事を試してみるしかないよね。



真紀は初めて自分の意思で、四つん這いになり、おしりをカマキリに向けて付き出した。


でも、股の間から顔を出した時は、やはり恥ずかしそうだ。


待ち伏せしているカマキリに向かってネバネバ糸を発射、命中。



突然の異変に暴れだしたカマキリだが、暴れれば暴れるほど絡まる蜘蛛の糸に自縛していく。



ネバネバ糸を出すのを止めて、真紀は様子を見ている。


どうやらカマキリの力では、糸は切れないようだ。


最悪、糸の拘束から逃れ、立ち向かって来ることも考えていたが杞憂だったようだ。



捕らえたのは良いが、このデカ物を、どうしたらよいか悩む真紀であった。




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