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弱肉強食

翌朝、空腹は感じなかったが、リンゴとオレンジを一個ずつ食べて、日課として始めた岩山登りをしおえて、座りこんでいる。


持久力をつけるために始めたが、これって筋トレも兼ねている気がした。



腕や足だけでなく、腹筋も背筋も疲労している。


間違いなさそうだ。




岩山を背に休憩していると、森の方から大きめな生き物の振動が近付いてきた。



この振動は知っている。


間違いない、奴だ。



そう、バッタである。



反射的に、四つん這いになりかけたが、意思の力で抑え込んだ。



でも、美味しそうと思ってしまう感情を抑えるのはかなりつらい。



今の真紀の身体にとっては、実際に美味しいものだから。



近くで食欲を抑えている生き物がいるとも知らず、バッタは草を食べ始めた。


その時、新たな振動を感じた真紀は、近くの岩影に隠れた。



知らない振動は、やはり森から現れた。


バッタより、一回り大きいネズミだ。


ネズミはバッタに気がつかれないように慎重に近より、飛びかかった。


バッタはギリギリのタイミングで跳ねて、ネズミの攻撃をかわしたが、

着地に失敗して横倒しになってしまった。


倒れたバッタに、ネズミは飛びかかり、両手で押さえ込み、長い前歯で後ろ足を噛みちぎった。


後は、もうネズミの天下。


どんどん食べられていく、そんなバッタを見て、真紀は悔しそうだ。


狩る気はなかったが、横取りされた気分である。


バッタを美味しそうに食べているネズミをうらやましそうに見ていると。



新たな振動を感じた。


森を見ると、キツネっぽい尻尾かふさふさな生き物が現れた。



キツネは、バッタを食べる事に気をとられているネズミをあっさり捕らえ、

重そうに引きずりながら森の中に消えていった。



弱肉強食の世界、ここにありである。



真紀は、その衝撃的な営みを見て、真の意味で弱肉強食を実感した。


この世界で生き残るには、油断は禁物である。



襲われる前に、相手を見つけないといけない、

襲われたときは、相手が上手であり、助かる余地は、ほとんどないと言うことが、はっきりわかった。



視界の効かない森の中で、振動感知は、絶対のアドバンテージである。


現に、今も生き物が姿を表す前に接近を感じることが出来たのは、能力のおかげである。




真紀は、興味を失ったあと、振動の反応が小さいこともあり、出来るだけ気にしなくしていた。



人間も、見えているのに、見えないことがあるのは、よく知られていることで。


例えば、蚊が目の前をウロウロしていたら、とうぜん見えるし、血を吸われる恐れがあるから脳が気にして、普段よりはっきり見えたりする。


でも、二メートル先をウロウロしていても、目に見えたところで、血を吸われたりする恐れはないと判断して、脳が見えなくしているのである。




今回も、普通に立っていたなら、感知範囲外であったが、

座っていたおかげで、地面との接点が増え、感知範囲が広がっていた。


更に、初めに現れたのが、美味しいバッタであったことで、脳がいち早く識別したことにより、存在に気が付くことが出来たのである。


一度気にし始めれば、次々に情報が繋がって、ネズミやキツネの接近に気がつけたのである。



先程も少しふれたが、振動感知の識別範囲は


走る<歩く<立つ<座る<手をつく<寝転がる


の順に広がる。



今後の日課に、振動感知の訓練が追加されたのは、当然である。




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