俺Tueee?
異世界転生小説で良くある、俺Tueeeがやれると思っていた時期がアタシにもありました。
気を使った、この運動能力。
どうやら、身体の筋肉に作用するわけではなく、
身体の外に瞬間的に気を出すようです。
だから、足の裏から気を出せば、跳躍はご存知の通り、二十メートル、
ダッシュは、抑えたつもりでも止まれず、十メートル先の木にぶつかってしまったのは反省点。
使いこなすのに時間がかかりそうです。
そんな能力だったので、重量挙げは無理でした。
持ち上げられるのは、ボーリングの玉くらいの岩がやっとです。
次に、拳に気を纏わせて殴れば、何物でも打ち砕ける。
と考え、絶大な攻撃力が手に入ると
ウキウキしながら、大きな石を殴ってみたら、
凄い勢いで飛んでいったの。
アタシが。
原因は、アタシの体重が軽すぎるからです。
殴った勢いで、足が踏ん張り切れずに、身体が浮いてしまい。
作用反作用の結果、体重の軽いアタシが飛ばされてしまったの。
実際したことは、岩に当たる直前に、気を出しただけだから、当然の結果だったかも。
何故かと言うと、アタシが出した気は、岩と拳の間で潰されて、
元に戻ろうとした反作用で、より軽いアタシをはね飛ばしたってこと。
イメージ的には、壁に、ゴムボールをぶつけた状態。
アタシがボールね。
殴った岩は無傷だし、幸いアタシの拳も無事だったけど、腕が抜けるかと思った。
俺Tueeeしたかったけど、逃げ足が手に入ったのが収穫かな。
なんて、考えているうちに、お日様がオレンジ色になっていく。
そうだ、暗くなる前に、火をおこしてみよう。
生き物は火を恐れるから、動物避けにもなるしね。
枯葉と枝を拾って洞窟に戻る頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。




