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青い月  作者: にゃろめ
8/22

Kiss

後悔はしていない。

あの時間は私にとって大切で。

無くてはならない時間だった。

だから、この関係が間違いだったなんて。

私は絶対、思わない。


日本に来て早一ヶ月、だいぶこっちの生活にも慣れた。

日本での大学生活も、一人暮らしの生活も、はじめは慣れないことばかりで大変だったけれど、なんとか形になったものだと思う。


「リア、準備は?」


ここ最近、彼は私に付き合っていろんなところを案内してくれている。

彼のおかげでやっと一人で地下鉄に乗れるようになったところだ。


「今、最終チェック終わったところよ。」


私は全身鏡の前に立ち、部屋のドアから顔を覗かせる彼を鏡越しに見た。

私よりもはるかに大きい背丈に、黒い髪。

私は鏡に映る彼にそっと触れた。


「似てないよね、私たち。」


そっとつぶやくと、彼は一瞬目を丸くしてうつむく。

そのあとに続く沈黙、私はずっと鏡の中の彼を見つめていた。


「似てなくて、よかったと思ってる。」


ゆっくりと顔を上げた彼は表情がいつもより硬かった。

私は彼に捕らえられた視線に小さく息を呑む。


「神様に感謝、かな?」


首を傾げて微笑む彼に、私はひどく安心した。

ゆっくりとこちらに近づいてくる彼。

心臓の音がやけに大きく聞こえてなんだか少し恥ずかしく思った。


「神様、信じてるの?」


真後ろまで来た彼に、首だけで振り返る。

するとひんやりとした長い指が、私の頬を捉えた。

近距離で彼と目が合う。

頭の中が真っ白になるのがわかった。


「信じてない。」


耳元で聞こえた聞きやすい低温の声。私はぎゅっと目を瞑った。


短い夢への招待状。


そして私たちは、

始まりのキスをした。


Kiss with sweet start with you.

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