Senses (シキside)
Temperature のサイドストーリーです。
微妙な表現がございます。
苦手な方はご注意ください。
月明かりに浮かぶ白い肢体。
あまりの美しさに息を呑んだ。
まるでピンで留められた蝶のように。
俺は貴女に目を奪われた。
もう、とめられない。
どうして彼女はこんなにも愛しいのだろうか。
隣で聞こえる穏やかな寝息に俺は小さくため息をついた。
流れるような綺麗な黒髪をそっと手で梳いてやると、甘い香りが俺の鼻を掠める。
どうして彼女はこんなにも俺を狂わせるのだろうか。
俺はゆっくりと上半身を起こすと携帯を探し、時計を見た。
まだ、3時。
布を纏わない露わになった肌、先ほどの熱が嘘のように引いている。
どうして彼女はこんな俺を受け入れてくれたのだろうか。
“シキ”
彼女が俺の名を呼ぶのがうれしくて。
俺を、俺だけを感じてくれるのがなんだか恥ずかしくて。
休むまもなく彼女を攻め立てた。
理性なんてものはどこかに吹き飛んで、彼女を感じることしか考えられなかった。
彼女は麻薬だ。
彼女のすべてが俺を狂わせる。
彼女は知っているのだろうか。
その潤んだ瞳が、俺の名前を呼ぶ声が、俺を引き付けて離さないその香りが、どれほどの破壊力を持つかということを。
俺はそっと眠る彼女の顔を覗き込んだ。
戸惑いの影なんてどこにも見当たらない、安心しきった安らかな寝顔に、俺は胸が締め付けられたような気がした。
やっと手に入れた。
欲しくて、欲しくてしょうがなかったもの。
でもその一方で失ったものがあるのも事実。
そっと彼女の唇に顔を寄せた。
もう、戻れない。
「リア」
願わくば、彼女の未来に俺が存在することを。
The gentlest kiss to you in the world.




