Weakness
私は卑怯だ。
まだ、シキのことを忘れられないでいるのに。
まだ、シキのことをこんなに愛してるのに。
こんな私を、好きだといってくれる彼を逃げ道にしてる。
こんなの、お互いが傷つけあうだけだってわかってるのに。
私は彼を拒絶できない。
痛い、小さくつぶやいた私に彼は少しだけ右腕を掴む力を緩めた。
ごめん、かすかな声が私の耳に届いてはすぐに周りの音にかき消されていく。
「知ってたよ。」
私は振り向いて彼を見た。
彼は私の目をじっと見つめたままそこに立っている。
「リアに忘れられない人がいるって、知ってた。」
「なら、なんで!」
身勝手な自分に、いらだった。
優しい彼に甘えてる自分に、自分で決めて離れたはずだったのに、未だシキのことを忘れられずにいる自分に。
気づいたら逆に彼の腕を掴んで声を張り上げていた。
こんなに叫んだの本当に久しぶりだ。
「それでも、それでも譲れなかったんだ。リアを、リアだけは!」
彼が強引に腕を引き、私はすっぽりとその腕の中に納まった。
シキとは違う香り、シキとは違う暖かさ、シキとは違う心拍音。
「離し、「俺を見て。」」
言いかけた言葉が、彼の声によってさえぎられた。
彼の声はかすかだけれど震えている。
泣いてる?
「そいつじゃなくて、目の前にいる、俺を見て!」
耳元で彼の声が聞こえる。
なんで、なんで彼はこんなに真っ直ぐなんだろう。
私は、いつも逃げてばかりで他人と正面から向かい合うことを避けてばかりなのに。
シキ。
いや、シキじゃない。
「清雅。」
「俺のリアになって。」
熱のこもった彼の瞳、少しだけ茶色掛かった綺麗な瞳。
ごめんなさい。
私は抵抗することもせず、近づいてきた彼の目を見つめたまま心の中でつぶやいた。
誰に聞かれるわけでもないその声は、私の中で静かに消えてゆく。
瞳を閉じれば、目の前にいるのは「彼」。
重なる二人の唇、月だけがそれを悲しく照らしていた。
Why do you love such me unfair?




