Blue Moon
それは、あなたと私の秘密の言葉。
それは、あなたと私の合言葉。
見上げた空には金色の月。
私にはそれで十分。
指輪も、永久の誓いも、必要ない。
二人でいられるこの瞬間だけが、私の宝物。
二人で歩くこの道。何度こうやってこの道をあるいたのだろう。
二人で手を繋いで、たあいのない話をしながら、他の恋人たちとなんら変わらない様子で。
真っ暗で、綺麗な満月ときらきらと散らばる星たちが見下ろす空の下。
また今日も私は大きな猫の隣で歩く。
「シキってさ、大きな猫みたいだよね。」
私の唐突な言葉に、彼は眉を真ん中に寄せ、あからさまに怪訝そうにこちらに顔を向けた。
「猫?」
何で?とつぶやく彼に私はなんとなく、とあいまいに答え、冷たい彼の指先を包むようにして私は手を握りなおした。
「この間、『我輩は猫である』っていう本を読んだときに、ふと思ったの。」
彼はそう、と小さくつぶやいたあと、しばらく黙り込んでしまった。
何を話しかけても、小さな相槌しか返してこない彼。
もしかして怒らせてしまった?と不安になり、なんだか私は落ち着かなくなった。
どうやって謝ろう、それだけが頭の中で一生懸命回っていた。
「月が、青いですね。」
数分後、突然口を開いた彼から発せられた言葉は、私の理解をはるかに超えたものだった。
横を見ると彼はまっすぐ前を向いたまま表情を見せない。
私は小さく首をかしげる。
月が青い?
私はそっと空に浮かんだ満月を見上げる。
あぁ、そうか。小さく笑う声が私の口から零れ落ちる。
「月、ね。青いよ。」
そっと彼のほうを向くと、彼も小さく微笑んで私のほうを見ていた。
どうして彼はこんなにも愛しいのだろう。
私はまた彼の手を握りなおした。
今だけは彼と離れてしまわないように。
今だけでも彼を見失わないように。
今宵、私の瞳には青い月しか映らない。
It will be on the blue moon that shines to the sky tonight.




